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ミニ経済白書 課税の累進性の弱さ指摘

2009122408_01_1
 子ども手当ての支給、高校授業料の実質無償化など子育て支援の強化は歓迎したい。ただ扶養控除の廃止・縮小は問題など庶民増税と抱き合わせで、階層内の水平的対応で、大企業・大資産家優遇など階級間格差を埋める垂直的公平さをもとめるものになってないのが最大の問題である。
内閣府のミニ経済白書「日本経済2009-2010」が、累進性の弱さを指摘している。
・第3章・第2節 財政と貯蓄投資バランス

「我が国では景気循環に伴う受動的な財政収支改善の程度が相対的に小さいということは、逆に、景気後退局面では、財政による景気の自動安定化機能が働きにくい」としその原因として、日本は政府支出の小ささ、課税の累進性の弱さから「ビルトインスタビライザー」が働きにくいと、生活小国、格差社会の現実を反映したものになっている。

報告は、「日本はアメリカや韓国等と並んで自動安定化機能の弱い国として分類される。他方、高福祉高負担の北欧諸国などヨーロッパ諸国は概して自動安定化機能の強い国と分類されている」「課税最低限の扱いや種々の特別措置などを含めた実質的な税の累進性が、日本はアメリカやユーロ圏に比して小さいことが示唆される」
などをとりあげている。

 そして「日本の財政構造を踏まえれば、景気循環による受動的な財政収支の改善には限界があり、多くを期待することはできない。」「財政構造的にも景気持ち直しによる収支改善を期待しにくい状態にある。」と経済、財政構造の問題を指摘している。

また、
第2章・第1節 景気回復における企業と家計の関係
では、「日本の特徴は景気拡張局面を通じた実質賃金の弱さ」を指摘している。

【「日本経済2009-2010 -デフレ下の景気持ち直し:「低水準」経済の総点検-」】 第3章 物価動向と財政金融政策 第2節 財政と貯蓄投資バランス (日本は財政の自動安定化機能が働きにくい) 循環的財政収支の変動は、例えば、景気拡大期には税収増や失業給付減などの受動的な財政緊縮(収支改善)によって景気の過熱を防ぐ効果、景気後退期には税収減や失業給付増などによって財政が景気拡張的に働く効果を表していると解釈できる。こうしたことから、循環的財政収支の規模は、いわゆる財政の自動安定化機能の働き度合いを示しているとされる。

そうすると、我が国では景気循環に伴う受動的な財政収支改善の程度が相対的に小さいということは、逆に、景気後退局面では、財政による景気の自動安定化機能が働きにくいことを意味する。それでは、なぜ日本では財政の自動安定化機能が働きにくいのだろうか。

財政の自動安定化機能を左右する要因としては、経済規模に占める政府部門の大きさ、あるいは税の累進構造や失業給付など社会保障の制度設計の違いなどがある。OECDの分析によれば、こうした国ごとの財政構造の違いを考慮すると、日本はアメリカや韓国等と並んで自動安定化機能の弱い国として分類される。他方、高福祉高負担の北欧諸国などヨーロッパ諸国は概して自動安定化機能の強い国と分類されている。
確かに、一般政府の支出規模(名目GDP比)について、日本、アメリカ、ユーロ圏の3地域を比較すると、日本が37.1%と最も小さく、次いでアメリカが39.0%、ユーロ圏が最も大きく46.8%となっている(OECDデータによる2008 年の値)。第3-2-2図で見たように、景気循環に伴う受動的な財政収支改善の程度が、日本はアメリカやユーロ圏と比べて小さいことと整合的である。また、政府の支出規模に加え、日本の場合、財政規模に比した税収の割合が低いことも自動安定化機能を弱めている要素になっていると考えられる。

(日本は個人所得税など累進的な税収弾性値が低い)
次に、税率の累進構造などを含めた財政の景気に対する感応度を調べてみよう。具体的には、OECDが循環的財政収支を算出するために用いている各国の税収等のGDPに対する弾性値を比較する(第3-2-3図)。その結果の要点は以下のとおりである。
第一に、日本は法人税収の弾性値こそアメリカやユーロ圏に比べて高いものの、個人所得税や社会保険料(アメリカでは社会保障税)などのGDP弾性値が低い。一般に、個人所得税や社会保険料は所得に対して累進的な構造を有する場合が多いことを考えれば、課税最低限の扱いや種々の特別措置などを含めた実質的な税の累進性が、日本はアメリカやユーロ圏に比して小さいことが示唆される。

第二に、失業給付などを含む経常支出のGDP弾性値もアメリカやユーロ圏に比べ日本は低い推計となっている。ただし、税や社会保険料に比べればその差は小さい。こうした結果、GDPの変動に伴う循環的な財政収支全体の変動は、日本はアメリカと同程度かやや小幅であり、ユーロ圏と比べれば明確に小さいものと試算されている。

以上のような日本の財政構造を踏まえれば、景気循環による受動的な財政収支の改善には限界があり、多くを期待することはできない。日本は債務残高のGDP比など財政状況が他国に比して悪いというだけでなく、財政構造的にも景気持ち直しによる収支改善を期待しにくい状態にある。また、景気改善とともに物価や賃金上昇率が高まれば、年金や医療給付費等の経費が連動して増加する面もあり、税収増による収支改善はある程度減殺されると見込まれる。財政健全化に当たっては、経済成長による果実を期待するだけでなく、意識的な財政収支の改善が求められる。


第2章 自律的回復への課題
第1節 景気回復における企業と家計の関係
2 景気回復と雇用情勢

(日本の特徴は景気拡張局面を通じた実質賃金の弱さ)
まず、日本について、実質雇用者報酬の伸びを雇用者数と1人当たり実質賃金の寄与に分けてみよう(第2-1-4図)。過去3回の景気拡張局面の前期に着目すると、雇用者数、実質賃金ともにマイナス寄与、あるいはプラスの場合も寄与は小さい。一方、後期については、雇用者数のプラス寄与が大部分を占め、実質賃金は小さなプラス、又はマイナス寄与となっている。全体として、雇用者数が後期に伸びることで雇用者報酬が回復する、というパターンが共通して観察される。
 次に、他の主要国について、過去の平均的なパターンを日本の場合と比べてみよう。前期においては、日本と違って雇用者数が増加する国が多い。例外はドイツであり、日本よりも雇用者数のマイナス寄与が大きい。実質賃金はプラス寄与の国が多いが、アメリカではマイナス寄与となっている。一方、後期においては、いずれの国でも雇用者数が大きくプラスに寄与している。日本との違いは実質賃金の寄与であり、ドイツ以外はプラスとなっている。全体として、日本の特徴は景気拡張局面を通じた実質賃金の弱さという点に見出せる。

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