認可外保育 死亡事故発生率15倍
5年余の間の死亡事後 認可保育所19人、無認可33人。利用者数が認可204万人、無認可23万人なので、発生率では、認可10万7368人に1人、無認可6970人に1人。実に15.4倍も違う。
・<保育施設>乳幼児死亡、認可外33人 認可で19人 毎日12/7
・保育中の死亡、5年半で49件…7割が0~1歳 読売12/7
・保育施設における死亡事例について 厚労省12/7
職員の資格・数、施設の面積・環境などが影響していることは明白ではないか。
「子どもの最善の利益」(こどもの権利条約)を考えれば先進国で最低レベルの基準を引き上げると共に、認可保育所を増設することが本筋だ。
「人生最初の社会保障」として子どもの発達を支え「貧困の連鎖」を断ち切るうえで、保育所のもつ力は大きい。
待機児童解消は重要だが、「子どもの貧困」の解決という大きな視点での議論がもっとあってよい。そうしたら基準緩和などの話は出てこない。
厚労省では「専門家のコメント」として以下の内容が示されている
【長野県立こども病院副院長 田中哲郎氏】 (1)現状について ○認可外保育施設の事例の中には、保育体制の不備や観察不足があったと考えられ、認可保育所よりも事故の発症率が高い。 ○認可保育所がこれほど増えていることや、子どもの育ちに様々な課題がある中、死亡件数は増えておらず、保育所が事故防止に努めていることがわかる。(2)保育現場における取組
○法令を守り、基準を遵守し、事故防止策を講じることは、保育所の責任の根幹に関わるものであり、そのためには、カリキュラムや教育内容に加え、その前提となる健康・安全管理、事故防止を含めて保育の質を保持する必要がある。
○保育士が事故防止のため、子どもの活動を狭めたり、消極的な保育に陥ることのないようにしたい。
子どもの発達や状態をよく理解して十分に遊んだり、子ども自身が身体能力を高めていくことも大切である。(3)情報の共有化
○ほとんどの認可保育所では大きな事故は発生しておらず、新聞報道されるもの以外は情報として共有できておらず、それらの情報は、多くの園で共通点もあり、他園での事例を通して、自らの保育環境や対応を見直すことが必要である。
また、ニアミスやインシデント(一つ間違えば事故になったと考えられる出来事)を園内で確認し報告し合うことがまず大事、重大事故を防止するためには小さな事故から学ばなければならない。
○保育施設における事故の発生要因を分析し、関係者で検討し、防止策を講じ、全国の保育現場に周知することこそ重要であり、できれば、そうした分析・評価を行う委員会などを機能させてシステム化することが望ましい。
○子どもの命を守ることは大人の責任であり、事故報告やその分析、評価を現場に還元しながら(プライバシーには十分配慮して)事故防止策を広めていくべき。(4)保育士への配慮
○事故に遭遇したり、保護者の苦情等により保育士が働き続けられなくなることのないよう働く人のメンタルヘルスにも配慮が必要。
ところで、毎日の記事からは15.4倍の差という計算ができるが、読売では、認可2万3千カ所、事故19件。無認可1万1千カ所、事故30件としか配信されてない。これでは1園あたりの事故発生率が3倍ということで、ことの異常さの伝わり方が弱い。タイトルも認可、無認可の区別が見えない。意図的??
<保育施設>乳幼児死亡、認可外33人 認可で19人 毎日12/7 厚生労働省は7日、04年4月~今年11月に保育施設で起きた乳幼児の死亡事故は49件あり、52人が死亡したと発表した。認可保育所が19件19人で、認可外保育施設は30件33人だった。今年4月1日現在の認可保育所の利用者は204万人、08年3月末の認可外保育施設の入所者は23万人で、認可外の事故の発生率が高くなっている。保育施設での死亡事故を巡っては、遺族らでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」(櫛毛冨久美会長)が先月、1961~08年度に240件起きたとの調査結果を厚労省に提出し、認可保育所の基準を緩和しないよう申し入れている。これを踏まえ厚労省は、自治体からの報告を基に事故の詳細が分かる04年度以降に限って集計、初めて結果を公表した。
死亡児の年齢は、認可保育所では0~2歳がそれぞれ4人ずつで最も多く、認可外保育施設は0歳児が19人と突出し、次いで1歳児が9人だった。就寝時の死亡が多いが▽本棚の中で熱中症▽園庭のミニトマトを食べて窒息▽園外保育中の交通事故--などもあった。
厚労省は事故防止のポイントとして▽窒息事故防止のための観察の実施▽複数の目で点検しチェックリストに記入--などを挙げた。【佐藤浩】
【保育中の死亡、5年半で49件…7割が0~1歳 読売12/7】 厚生労働省は7日、全国の認可保育所と認可外保育所で2004年4月~09年11月に、通所や保育時間中に計49件の死亡事例があったとする調査結果を発表した。 それによると、保育所内(園庭を含む)の死亡事故は43件で、園外は6件だった。本棚の中に入り込んだまま出られなくなって熱中症で死亡したり、浴室で水死したりした事故のほか、乳幼児突然死症候群による死亡もあった。全体の約7割が0~1歳の低年齢の児童だった。 全国で約2万3000か所ある認可保育所で19件、約1万1000か所ある認可外保育所で30件発生。認可保育所の方が事例数が少ないことについて、同省では「職員全員が保育士の資格を持っていることなどが影響しているのでは」としている。 長妻厚労相は、待機児童が多い都市部に限って認可保育所の居室面積など設置基準の緩和を表明している。これに対し、事故で乳幼児を亡くした家族らでつくる市民団体が同省に実態を調査するよう申し入れ、今回初めて公表された。
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