一人親家庭の貧困率 OECD最悪
一人親世帯の「相対的貧困率」が54.3%(07年)との報道があった。私が注目したのは、98年63・1%、01年は58・2%、04年は58・7%と数字では低下していること。
・1人親世帯の貧困率54.3%、先進国の中で最悪水準 朝日11/13
・ひとり親家庭の貧困率54% OECD「最下位」の水準 共同11/13
相対的貧困率は、可処分所得を高い順からならべた中央値の半分未満という計算なので、格差が拡大し、中央値が低下すれば、率が下がるからである。可処分所得は世帯あたり、この10年で100万円低下している。
・20年国民生活基礎調査・年次別の所得の状況
・19年度国民生活白書 家計、資産格差・所得格差
国民生活基礎調査では、
児童のいる世帯の可処分所得は、1996年~2007年の間に、781.6万円から691.4万円。
全世帯では、94年の664.2万円、96年の655.2万円から、07年の556.2万円。
と低下している。
実際はもっと深刻ではないか。相対的貧困率だけでは実体がわからない。絶対的貧困率の測定、相対的剥奪の調査などがどうしても必要である。
【1人親世帯の貧困率54.3%、先進国の中で最悪水準 朝日11/13】
厚生労働省は13日、子どもがいる一人親世帯の「相対的貧困率」が07年調査では54.3%だったと発表した。親が複数いる世帯に比べて5倍以上。1人親世帯の子どもを取り巻く経済環境の厳しさが浮き彫りになった。国として初めて算定したが、先進国の中で最悪の水準だった。
相対的貧困率は、貧困層が占める割合を示す。所得から税金などを差し引いた世帯の「可処分所得」を1人当たりにならし、高い順に並べた時の真ん中の人の所得を「中央値」と設定。今回の中央値は年228万円で、その半分の114万円に満たない人の割合が「相対的貧困率」となる。
18歳未満の子どもがいる現役世帯(世帯主が18~64歳)の貧困率は12.2%。そのうち大人が2人以上いる世帯は10.2%だが、大人が1人では過半数を占めた。
経済協力開発機構(OECD)の08年報告書(00年代半ばのデータ)で子どもがいる1人親世帯の貧困率を比べると、日本は58.7%と加盟30カ国中で最も高く、平均の30.8%を大きく上回った。
この日会見した山井和則厚生労働政務官は、とりわけ母子家庭について「子どもを抱えながら正社員になれない」ことが一因だと指摘。子育て支援策を強化していく必要性を強調した。
10月に初めて公表された全体の貧困率は、15.7%。
【ひとり親家庭の貧困率54% OECD「最下位」の水準 共同11/13】 厚生労働省は13日、2007年のひとり親家庭の貧困率は54・3%だったと発表した。経済協力開発機構(OECD)の「相対的貧困率」の考え方に基づき、これまでの国民生活基礎調査のデータから算出した指数。理論上、ひとり親家庭の半数が厳しい生活状態に置かれている可能性を示している。 同省の山井和則政務官は記者会見で、OECD加盟30カ国でも「最下位(の水準)だろう」との見方を示した。今後、削減目標を設定する考えをあらためて強調した。 背景には、多くのひとり親家庭の母親や父親が子育てに追われてフルタイムの勤務が難しく、賃金が安いパートなどの非正規労働を選んでいる事情があるとみられる。 厚労省は1998年の貧困率が63・1%、01年は58・2%、04年は58・7%だったことも発表した。山井政務官は、07年の数値が04年より4・4ポイント低下したことについて「全世帯の所得が下がっただけで(実態は)改善していない」と述べた。
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