地域限定で風穴? 保育制度
保育制度に、まずは指定制度の導入、地域指定という2つの面から規制緩和をすすめ、憲法25条に風穴をあけようとしている。
保育所設置基準を都市部で緩和 長妻厚労相が方針、権限委譲へ 産経11/4
待機児ゼロの名の下に、無認可保育所も待機児童にカウントしない。定員を緩和して収容・・・そうした認可保育所をつくらないという方針の矛盾が出たわけで、規制緩和の口実にするとは・・・
子どもの権利条約にもとづいた真剣な検討がいる。
そもそも保育制度については、子どもの権利条約どう位置づけているか。
「乳幼児期における子どもの権利の実施」に関する一般的注釈 第7号(2005年)
どう規定しているか。
乳幼児期は決定的に重要だとして・・・
「6. 乳幼児期の特徴 乳幼児期は子どもの権利を実現するために決定的に重要な期間である。この期間は以下の特徴を有する。
(a) 乳幼児は、人生のこの時期において、その身体および神経系統の成熟、運動性、コミュニケーション能力および知的能力の向上、ならびに、その関心および能力の急速な変化という点において、最も急速な発達と変化を経験する。
(b) 乳幼児は親およびケア提供者(caregiver)に対して感情的愛着を形成し、その個性およびその発達しつつある能力を尊重する、いたわり、ケア、指導、および保護を、ケア提供者に、求め、要求する。
(c) 乳幼児は同年齢および異年齢の子どもとの重要な関係を確立する。乳幼児は、これらの関係を通して、共通の活動を取り決め、調整し、紛争を解決し、他人に対する責任を引き受けるようになる。
(d) 乳幼児は自分自身の活動、ならびに、他の子どもおよび大人との相互作用を通じて漸進的に学習することにより、自分が住んでいる世界の物的、社会的および文化的側面を能動的に理解する。
(e) 乳幼児期の初めの数年は、子どもの肉体的および精神的健康、感情的安定性、文化的および個人的アイデンティティ、ならびに発達しつつある能力のための基礎となる。
(f) 乳幼児が経験する成長および発達は、それぞれの個性、性別、生活条件、家族構成、ケア、および、教育制度に応じて多様である。
(g) 乳幼児が経験する成長および発達は、子どものニーズと適切な取り扱いに関する文化的信念、および、家族と地域社会における乳幼児の能動的な役割に関する文化的信念により強力に方向付けられる。」
そして、サービス提供については
「非政府的サービス提供者(営利的および非営利的それ)に対して、本条約の原則および規定を尊重すべきことを要請し、これに関連して、本条約の実施が締約国の第1次的な義務であることについて、締約国の注意を喚起する。」「政府セクターおよび非政府セクターの双方における乳幼児期の専門家は、行き届いた養成、現職研修、および適切な報酬を与えられるべきである。これに関連して、締約国は乳幼児期における子どもの発達のためのサービス提供に責任を有している。」と述べている。
この基準にもとづいて検討すべきである。
「32.サービス提供者としての私的セクター」
本委員会は、2002年の一般的討議において採択された「サービス提供者としての私的セクターおよび子どもの権利の実施に関するその役割」する勧告(CRC/C/12, 第630‐653パラグラフ参照)に関連して、締約国が、プログラムの実施のための回路としての非政府セクターの活動を援助すべきことを勧告する。本委員会は、さらに、すべての非政府的サービス提供者(営利的および非営利的それ)に対して、本条約の原則および規定を尊重すべきことを要請し、これに関連して、本条約の実施が締約国の第1次的な義務であることについて、締約国の注意を喚起する。政府セクターおよび非政府セクターの双方における乳幼児期の専門家は、行き届いた養成、現職研修、および適切な報酬を与えられるべきである。これに関連して、締約国は乳幼児期における子どもの発達のためのサービス提供に責任を有している。市民社会の役割は、締約国の役割を代替するものではなく、それを補完するものである。非政府サービスが主要な役割を果たしている場合には、子どもの権利の保護および子どもの最善の利益の実現を確保するために、サービスの質を監視し、かつ規制する義務を締約国が有していることについて、締約国政府の注意を喚起する。
【保育所設置基準を都市部で緩和 長妻厚労相が方針、権限委譲へ 産経11/4】 長妻昭厚生労働相は3日、全国一律で国が定めている保育所の整備基準について、待機児童の多い都市部に限り特例的に地方自治体が条例で自由に定めることができるよう見直す方針を固めた。整備基準を緩和することで認可保育所を設置しやすくする。待機児童が増え続ける中、来年度から導入する「子ども手当」だけでは、子育て支援が不十分との声に対応する。 保育所の整備基準は、政府の地方分権改革推進委員会が10月にまとめた第3次勧告で国の義務付けの廃止を要求。しかし、保育関係者からの「質の低下につながる」との批判も強いため、都市部に限定した特例措置を4日に同委員会へ回答する方向で最終調整している。 対象となるのは、待機児童の多い東京や神奈川、大阪など大都市部の自治体。園児1人あたりの保育士の配置数や保育室の面積について、基準緩和の合理的理由を提示した上で、自治体が条例で独自に定めることができる。虐待児の優先受け入れ義務など園児の人権に関する運営基準の緩和は認めない。 対象外の自治体では、保育士の配置数や保育室の面積などの全国一律の整備基準を引き続き維持する。ただ、保育室の定員や食事の提供体制は「緩和しても保育の質に大きな影響はない」と、全自治体で独自に定められることにする。 今年4月現在の待機児童数は2万5384人で、平成13年の統計開始以来、最も多い。昨秋以来の景気悪化で働き始める専業主婦が増える一方、保育所の整備が追いついていないためで、待機児童が50人以上の自治体は前年比17増の101自治体に上っており、対策が急がれていた。子ども手当についても「直接給付だけでなく、保育所増設など子育て環境の整備が必要」との声が高まっていた。
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