アンテナショップ PDCAサイクルは?
県のアンテナショップの場所が決まり、11月議会に関連予算がでてくる。
・県産のPR拠点銀座にアンテナ店 朝日11/19
運営費に1億8千万円(うち2年間に限り、「ふるさと雇用」で国費3千万円)。
出店のための改装費に2億円。 5年契約なので、運営など込みで、5年で10億円、年2億円の県の持ち出しとなる。
日本共産党と緑心会県議団は、推進体制も計画もはっきりしない、拙速として批判してきた。ところで、日経グローカルの7月20日号が「自治体アンテナシッョプの実像」という特集を組んでいるが、興味深い
リードを紹介すると
「アンテナショップ自体がブームになっている側面もある。ただ設立目的がどこにあるのかあいまいなケースが多く、生産者への情報のフィードバックもお寒い状況だ。多くの自治体では費用が億単位にのぼるものの、その効果の検証が不十分なうえ、運営の透明性確保などの課題も山積みしている」と・・・
高知県の発信という消費者に「売れ筋商品」を販売する役割と、開発途上の商品をバイヤーに売り込む機能はまったく違う・・・ 県は産業振興計画で、「弱い」食品加工分野を伸ばすことを柱としており、後者の役割が中心となるだろう。だから知事も「採算にこだわらず」、運営も「公社の直営方式」となっている。
ところが、県のアンテナショップは、商談の仲介をするだけ。新聞投書で指摘されるように取引口座もない。
上記の特集では、日本セルフサービス協会のプランニングマネージャーは、ビジネス対応のアンテナショップの条件として、製造工程のすべてがわかるスペック表(商品リスト)がある ②生産者が希望する価格条件を説明できる ③試食ができる、ことをあげている。
さらにアンテナショップを見送った三重県の話として、百貨店などバイヤーに直接売り込むほうが費用対効果が高いと判断した。出店しない理由として「年間一億円程度の経費に加え目に見えない負担も重く、一度出店すると簡単に撤退できない」「最後は民間同士の取引となるので商品力がものを言う」「適切な方法でない」としている。
私たちも同様の感想を持っている。
5年間で最低10億円かかる事業だが、その効果をどう検証するのか。
知事は、教育にまで、経済手法のPDCAサイクルを持ちこんでいるが、当然、アンテナショップの計画には、明確なPDCAサイクルが求められる。それが撤退を判断する基準にもなる。
アンテナショップを通じた商品開発で○○件、○○億円の販売、旅行会社と新たなツァー計画を○○件○○人達成するなど・・・が、アンテナショップの目的から言ってどうしても必要になるだろう。
ところが、県の説明資料を見せてもらったが、目的や方向性は書いてあるが、明確な目標はない。上記『特集』でも「バイヤーが直接、メーカーと連絡するので数字はつかめないが効果は大きい」と自治体関係者が口をそろえて言っていることに疑問を呈している。
一方、売れ筋商品を生産する社長は、「頼み込まれて(アンテナショップに)納入しているが、物量費がかかって儲からないし、生産量が少ないのでよそでも販売できない」との声を紹介している。高知の民間のアンテナショップで品揃えできないという。
明確な目標がないとお得意のPDCAは機能しない。
そして、持ち出しは年2億ですむか・・
計画の試算の前提は来場者100万人、物販と飲食で4億円の売上げである。来客、平日700人(沖縄の6割弱)、客単価1000円。飲食は昼1000円、夜5000円消費というもの。
どうみても、過大だとおもう。
安心感のある食材として、良心市感覚で、共同通信社の調べでは、2007年度以前から営業する29自治体の店舗の7割超で08年度の売上額が前年度を上回った、ことが報じられているが、一方で、今年3月にテレビ東京で「アンテナショップに異変 コンビニ進出」が放送されたようで、そこで、沖縄のアンテナショップのマネージャーが「不況の影響もあり、地下の民芸品フロアーには人の姿はなく、来店客数は変わらないものの去年の秋から客単価が2000円から1000円に激減している」ということを言っている。
公社がたちあがったが、県以外の出資金はや損失が出た場合の責任の取り方はどうなっているのかも不明である。
ところで尾崎県政のもとで、東京事務所は、8名増員され22名となり、年間約1億円の増額となっている。新政権になり、予算編成のやり方がかわり、従来のように霞ヶ関で細かい情報をとる意味が大きく低下した。
その様子を、日経が報道している。
・四国4県の自治体、国への要望戦略様変わり 官僚から政治家へ 日経11/3
東京事務所の規模、機能も、この際、再検討をするべきではないか。
尚、売り上げ上位のショップ数字を拾ってみたが・・・
首都圏のアンテナショップの来客数(07年度)、売上げ(08年度)
沖縄県の「わしたショップ」 234万人 9億1600万円
「北海道どさんこプラザ」 206万人 7億7000万円 レジ通過44万
鹿児島 「かごしま遊楽館」 50万人 6億3700万円
島根県 「にほんぼし島根館」15万人 5億7000万円
岩手 「いわて銀河プラザ」 33万人 5億4700万円
香川愛媛「せとうち旬彩館」 46万人 5億 700万円
宮崎県 「みやざき館」 41万人 4億7600万円
富山 「富山館」 38万人 1億7000万円
物販だけなら、ちなみに本山町の産直「さくら市」が、13万人利用で、1億円の売り上げである。
巨費を投じで、銀座に進出することの「意味」をしっかり議論する必要がある。
【県産のPR拠点銀座にアンテナ店 朝日11/19】 県は、都内に設ける新アンテナショップを中央区銀座1丁目に構える方針を決めた。ビルの地下1階から地上1、2階(計475平方メートル)に入居し、来年6月下旬~7月初旬のオープンをめざしている。首都圏で高知県の認知度を高め、県内産品の販売拡大などを図る拠点として、都内の一等地で物件を探していた。 県地産地消・外商課によると、入居予定のビルは民間会社のテナントビル「リープレックス銀座タワー」(地上9階、地下1階)。地下鉄有楽町線「銀座一丁目」駅のそばにあり、JR有楽町駅にも近い。隣のビルには沖縄県のアンテナショップがあり、相乗効果も期待される。 県は今月下旬にも始まる県議会の審議を経て、年約7820万円で5年間賃貸する契約を結びたいとしている。 新アンテナショップは県地産外商公社が運営する予定。県内の農産物や加工品、工芸品などを販売し、情報発信の機能も備える。県内の食材や地酒を楽しんでもらうレストランも併設する。
【四国4県の自治体、国への要望戦略様変わり 官僚から政治家へ 日経11/3】 衆院選で民主党の歴史的な勝利から2カ月。鳩山新政権が政治主導の政策を相次ぎ打ち出す中、四国4県の中央への要望が自公政権時代と様変わりしている。4知事は全員が官僚出身。旧来の政治の枠組みでは政策決定の仕組みは勝手知ったるものだった。だが、新政権では要望先を官僚から大臣ら政治家に移し、要望の仕方も工夫を凝らし始めた。10月21日、高知県の尾崎正直知事が新政権になって初めて国に対する要望で会ったのは大臣、副大臣、政務官の3人の政治家。文部科学相や環境、厚生労働省の政務官らを訪れた。
財務省出身の同知事は政策の企画立案段階からかかわる狙いで従来の要望先は官僚が中心だった。次官や局長に加え課長にも会い、財務省では主計官を訪ねて影響力を発揮してきた。しかし「民主党政権は意思決定の仕組みを試行錯誤で作っている」とみる同知事はまず政治家にアプローチした。
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