「保育にカネをかけない」が狙い…設置基準の廃止
設置基準は、最低基準であり、広げるには制約はない。保育所最低基準は、現状でもきわめて低く、3歳以上児の面積を比べるとストックホルムの4分の1、パリの半分以下。諸外国が遊ぶ、食べる、寝るという子どもの活動に必要な面積を保障する見地にあるのに対して、日本ではぎりぎりのスペースしかない。
保育所:政府、設置基準規制を緩和へ 待機児童解消狙い 毎日10/12 ようするに、カネをかけずに、狭い施設な子どもを押し込める、ということ・・・
国の設置基準が低く・・それに補助金の算定額も実態にあってないため建設にあたって自治体の持ち出しがかなりある。保育料の最高額は自治体によって違うが、多くのところで4万円台とか高すぎる。しかし、国基準では7~8万円であり、自治体が持ち出して手当てしている。
また保育士の給与基準は、確か30歳か31歳で計算しているため、ベテランが多くなると持ち出しになる。
だから自治体は保育所を増やしたくないのである。
こういう部分こそきちんと手当てし、きちんとした保育所を整備すべきである。
しかも設置基準がなくなれば、国からのお金の支出の基準がなくなり、たとえば子ども1人あたりとか、そういう額での支出にならざるを得ない。つまり一括交付金化である。
今の多くの自治体の姿を見ていて、これで子ども向けの予算が増えるだろうか。基準のない学童保育や就学援助はどんどん削られている。公立保育の運営費も国庫補助から交付税への振り替えで、支出が減っている。
待機児童解消といえば、聞こえはよいが、「設置基準廃止」は、財界が主導した小泉「構造改革」以来のながれであり、ナショナルミニマムを破壊する方向での新自由主義的「地方分権」である。
契約制度の導入も検討されているが、貧しい公的基準が一階となり、カネがあればオプションや行き届いた施設の保育所という二階建て部分で出てくる。公的サービスの市場化と歩みをそろえるこことなる。
保育関係者からは「設置基準」の充実をもとめる声はあっても「廃止」の声はない・・
政財界の保育改革は「保育崩壊」 08/10
日本政府も批准している「子どもの権利条約」は、第3条で「子どもにかかわるすべての活動において、その活動が公的もしくは私的な社会福祉機関、裁判所、行政機関または立法機関によってなされたかどうかにかかわらず、子どもの最善の利益が第一次的に考慮される」となっていることを肝に銘じる必要がある。
保育所:政府、設置基準規制を緩和へ 待機児童解消狙い 毎日10/12
政府は11日、認可保育所の設置基準などの規制を緩和する方針を固めた。国が地方自治体の業務を法令で規制する「義務付け・枠付け」の大幅な見直しを求めた地方分権改革推進委員会第3次勧告を受け、保育所については自治体が設置基準を条例で自由に決められるようにする。11月までに必要な法令の改正を整える方針で、自治体の条例改正が進めば、早ければ年内にも実現する見通しだ。
民主党が衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ「保育所の待機児童の解消」が期待されている。
保育所の設置基準は、児童福祉法に基づいて厚生労働省の省令「児童福祉施設最低基準」で規定されている。例えば、2歳以上の幼児が入所する保育所は(1)保育室か遊戯室(2)屋外遊戯場(3)調理室(4)トイレ--の設置が義務付けられ、保育室の面積は幼児1人について1.98平方メートル以上、屋外遊戯場は1人につき3.3平方メートル以上など細かい規定がある。
自治体からは「保育所の設置環境は地域で異なる。地域の実情に応じて運営できるよう、施設の基準設定を市町村に移譲すべきだ」(全国知事会)などの声が強まっていた。分権委も8日、国による保育所の設置基準が不必要な「義務付け・枠付け」だとして、廃止や見直しを求める第3次勧告を鳩山由紀夫首相に提出した。
政府は、保育所の基準緩和を早期に実現できないかを検討。長妻昭厚労相と原口一博総務相が9日に協議し、厚労省令の改正を検討する方針を確認した。保育所の設置基準のほか、省令で乳幼児の年齢ごとに細かく規定されている保育士の配置人数についても、見直しを検討する。
厚労省によると、待機児童は都市部に集中し、全待機児童数の8割程度を占める。都市部では、保育室の面積や屋外遊戯場を十分に確保できず、認可保育所が増えにくいため、待機児童の増加につながっているとの指摘もあった。【石川貴教】
【ことば】▽待機児童▽ 保育所に入所を申し込んでも満員で入れない児童のこと。09年4月時点(2万5384人)では前年比で3割増となり、同方法で統計を取る01年以降最高となった。自民党政権時代の08年、政府は10年間で利用者を100万人増やす「新待機児童ゼロ作戦」を発表し対策に乗り出したが、効果はまだ出ていない。
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