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格差拡大にならない制度設計を  「子ども手当て」 

 貧困な子育て支援を改善するのは急務である。しかし、家計への一律支給、国の設置基準をなくすこと基本とする民主党の政策は「バウチャー制」に通じる危険があるのだが、同時に、制度設計によっては、格差の拡大、または低所得者の負担増となる問題点がある。どんな問題があるか、まだ整理途上であるが・・・
「子ども手当」を非課税に、厚労省が要望へ 読売10/27
子ども手当 生活保護世帯どうなる 赤旗10/24

①生活保護世帯 
 収入認定されれば恩恵はゼロ。また、手当てをもらうことで、生活保護からはずれれば各種の負担が発生する。児童手当は収入認定したうえで、別途「児童養育加算」として同額を保護費に上乗せする措置がとられている。
 この制度設計がどうなるか・・・収入認定されないとなると児童の居る家庭の保護基準が変動することとなり、他の制度に連動することとなるのではないか。
23日、生活と健康を守る会の交渉で、厚労省の担当官は「生活保護の補足性の原理(資産や能力などあらゆるものを活用することを要件として保護が行われる)の問題がある」と述べ、収入認定から除外できない可能性を示唆している。

②児童手当受給世帯
 現在、5千円、1万円の児童手当を受けている世帯は、当然、26000円との差額しか増えない。この点だけでも格差拡大となる。

③就学援助
 自治体の就学援助は国基準がない。そのため財政危機を理由に削減が進行している。子ども手当ての支給を「理由」に、基準が引き下げられ、格差が拡大する危険がある。

④所得増による保育料、住民税の増加
・課税所得となるのか、児童手当のように非課税所得となるのか。
児童手当は、所得制限があることで非課税扱いとなっているが、高額所得者にも払われる子ども手当はどうするのか。与党内でも議論が出ているようである。
こうした矛盾の解決は、本来、大資産家への課税強化、累進課税の強化という方法が必要なのだが、この点で、生計費非課税の原則を壊すこととなる扶養控除の削減を財源にすることで、矛盾はかえって拡大する。

・では、課税所得となった場合どうなるのか。
 
例えば高知市の場合・・・
 ・夫婦で子ども1人(三歳未満)で、住民税の均等割、所得割が非課税となるぎりぎりの所得層80万円。保育料は月7千円

 ・子ども手当て 312,000円
  児童手当は年6万円なので、差額252,000円の所得増
    合計所得が1,052,000円で、住民税の所得割も課税世帯となる。
 ・住民税
  1,052,000-102,000=32,000円  
  均等割4,500円 所得割10%で3,200円
  年7,700円増
 ・保育料は、月7千円から18,000円と増加。
   年132,000円増。
 ・計139,700円増 
  よって、252,000円-139,700円で、子ども手当てによっても、112,300円の所得にしかならない。

・高知市の所得税額と保育料の関係は(3歳未満、1人通園)・・
住民税所得割世帯 1.8万円
 1.1万未満 2.3万円
 2.5万未満 2.6万円
 4.0万未満 2.9万円
 5.0万未満 3.0万円
 8.8万未満 3.7万円
10.3万未満 4.35万円
15.3万未満 4.7万円
41.3万未満 5.4万円
54.0万未満 5.6万円
54.0万以上 5.7万円

 というように、保育料は、所得が少し上がるごとに急激に負担が増え、所得税額15.3万円以上では少ししかあがらない。54万円以上の世帯は、保育料には関係ない。
 
⑤市営住宅
当然、所得が増えるることで、家賃が増えることが考えられる。
また、高知市の市営住宅の入居資格は、「所得の合計額が月額 200,000円を超えない」
 よって、若い子育て世帯では、入居資格から外れる問題が出てくるので条例改正が必要。

◆扶養控除の廃止 
 非課税所得となった場合でも、扶養控除が廃止となれば・・・影響は極めて大きい。
0-15歳 23-69歳の扶養控除を廃止り方針~ 1人38万円の所得控除がなくなる。 

2人分(妻と子)の所得控除76万円がなくなれば、課税になるかどうかのギリギリの層では、5%が所得税となるので、3.8万円の所得税が発生する。月7千円から、2.9万円の保育料となる。年30.4万円の負担増で、子ども手当ては吹っ飛ぶのではないか・・・

 なおこの問題は、高校授業料を「給付」とする方針でもあらわれる。
高校無償化:給付非課税扱い、副文科相要望 毎日10/28

 ――― これだけのことを整理して、地方自治体で準備して6月から実施するというのは、とても出来そうにないと思うのだが・・・

 なにより「累進課税の強化」「基礎的サービスとして選択しようのない無償とする」ことを軸に、格差の縮小、人間らしい生活を保障できるような各種の手当てを組み合わせるという制度の基本哲学を明確にすることが必要に思う。
 

【「子ども手当」を非課税に、厚労省が要望へ 読売10/27】
 厚生労働省は、来年度から支給を始める「子ども手当」を非課税とするよう、2010年度税制改正要望に盛り込むことを決めた。
 課税所得に含まれれば、公立保育所の保育料が上がる事例が生じるなど、子育て世代にとっても負担増につながる可能性があるためだ。ただ、民主党内には非課税に反対する意見もあり、制度設計の論点の一つとなりそうだ。
 現行の児童手当は非課税扱いだが、国の制度とは別に地方が上乗せする加算分については課税所得とされるなど制度が混在している。
 公立保育所の保育料は所得税額に応じて額が定められており、子ども手当が支給されたことで課税所得が増えれば保育料が上がることもある。このほか、公営住宅の入居審査など所得額が審査基準の一つになっている場合も多く、各種減免の恩恵を受けられなくなるケースが出てくる。
 長妻厚労相は「せっかくの手当がマイナスに働く恐れがある」として、非課税措置を盛り込んだ来年度税制改正要望を今月末に財務省に提出することにした。
 これに対し、財務省は税収減につながることから反対することが予想される。さらに、民主党内には「子ども手当を課税所得とすれば、累進課税により高額所得者ほど多くの税金を国に納めることになり、所得の多寡に応じた手当という観点からもバランスがとれる」と主張する向きもある。
(2009年10月27日14時44分 読売新聞)

【子ども手当 生活保護世帯どうなる 赤旗10/24】 高橋議員と全生連がただす  「子ども手当が収入とみなされると、生活保護の収入基準を超え、保護を打ち切られるのでは」「手当をもらうと、その分保護費が減らされないか」―こうした不安の声が生活保護世帯に広がっています。日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は23日、全国生活と健康を守る会連合会(全生連)の前田美津恵事務局次長とともに、厚生労働省の見解をただしました。  民主党が昨年4月に国会に提出した子ども手当法案では、手当を生活保護受給者の収入としては認定しないとされています。しかし、厚労省の担当者は「生活保護の補足性の原理(資産や能力などあらゆるものを活用することを要件として保護が行われる)の問題がある」と述べ、制度上、収入認定から除外できない可能性を示唆しました。  また、手当を受けても、その分保護費が減らされ、手取りが一円も増えない懸念もあります。現行の児童手当は一度収入として認定し、「児童養育加算」として同額を保護費に上乗せする措置がとられています。全生連は、子ども手当も同様の扱いにして、実質的に収入認定しないことを求めています。  高橋議員は「子ども手当は、親の収入などに関係なく子どもの育ちを支えようというものなのに、一番大変な人たちが喜べない制度となるのはおかしい」と強調。生活保護世帯も含めすべての子どもに手当が届く制度設計を、厚労省に強く要請しました。

◆国は子どもを大切に
 全生連事務局次長 前田美津恵さんの話 厚労省は「生活保護費には、子どもの養育に必要な額がすでに含まれている」などとして、子ども手当を現在の保護費に丸ごと上乗せすることに、消極的な姿勢を見せています。
 しかし、ことし7月から学習支援費が導入されるなどしたいまも、生活保護費では子どもの教育費を十分にまかなえません。生活保護世帯は、子どもに好きな部活動もさせてやれないなど、つらい思いをしています。
 子ども手当を、そうした不足しているところに使えるよう、国は制度設計すべきです。国が子どもを大切にすれば、その子たちはこの国の将来を担おうという気持ちになります。私たちも大いに運動を強めたいと思います。


【高校無償化:給付非課税扱い、副文科相要望 毎日10/28】
 中川正春副文部科学相は28日、来年度からの高校授業料実質無償化で、各世帯に給付する12万~24万円について、非課税とするよう今月末に提出する10年度税制改正要望に盛り込む方針を明らかにした。同日の文科省政策会議後、記者団に語った。
 同省は高校生のいる世帯に年約12万円(私立高生のいる低所得世帯には約24万円まで)を給付する方針。直接世帯に渡すのではなく、学校設置者に間接給付する制度とする計画だが、受給権は各世帯にあるため所得として扱われるという。
 また、中川副文科相は、高校・大学に通う年齢層の子どもがいる世帯を対象とした所得税の「特定扶養控除」について、現行のまま維持するよう政府税制調査会に要望する考えを示した。中川副文科相は「進学する子どもにはお金がかかる。マニフェストでも特定扶養控除の廃止はうたっていない」と話した。

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Comments

所得税が増税になると連動して負担増になるもの
保育所の保育料、公営住宅家賃、難病や未熟児の養育医療、結核児の療育医療などの自己負担、児童扶養手当の所得制限などなど

住民税が増税になると連動して負担増になるもの
医療費の窓口負担、高齢者の介護保険料や介護保険の利用料、障害者福祉サービスの自己負担、幼稚園の就園奨励金の所得制限などなど

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