鳩山首相 「新しい公共の実現」
所信表明演説には新自由主義の魂が垣間見えた。「官から民」「国から地方」という小泉「改革」のスローガンがそのままあてはまるような内容である。
「新しい公共」とは自治体政策に携わってきた人なら馴染みの言葉。小泉「構造改革」のもとで地方自治を空洞化させる中心概念の1つが「新しい公共」であった。
「新しい公共」とは、行政が担うものを限定し、営利企業が担う部門、非営利のボランティアなど多様なセクターが公共サービスを担うという考えである。この考えのもと人権保障の機能が解体され、地方自治体のリストラが進められてきた。その分野は、市場化され、財界による「官製市場」という言葉も生まれた。
鳩山首相は、全国各地のNPO、ボランティアの取り組みに触れたが、それはナショナルミニマム、公的責任をきちんと果たした上での話しである。
新自由主義とボランティアは親和性がある。あらゆるサービスを市場原理にのせるためには、人にまるごと対応する労働の内容(二宮厚美氏は「コミュニケーション労働」と呼んでいるもの)を、そのサービスの量と質をバラバラにして統一の基準によって点数化、料金体系化する必要がある(介護保険のように)。
そうなれば市場原理にのらない部分が発生する。それを支えるのがボランティアである。
また、地域のことは地域できめる「地域主権国家」をめざすとして、ナショナルミニマムを「金太郎飴のような」ものと切ってすてた。国の設置基準をなくし、市場化をすすめるという点で「新しい公共」と対の概念と言える。
これらから出てくる姿は、経済的な力により福祉も教育も医療も格差あるサービスを当然とする階層社会である。そういう階層社会から起こる社会統合の危機を守るイデオロギーが「友愛」と見れば・・
つじつまが合うのだが・・・
しかし、この道は、自公政権が退場に追い込まれた方向である。国民が期待したのは、そんな道ではない。1つ1つの具体化の中で、国民の期待、願いとの間で、大きな矛盾と、国民の運動に直面するに違いない。
当面、保育などの国基準の緩和を阻止することが急務である。
« 子どもの格差 体力にも・・・ | Main | 勤労世帯に広がる貧困の実態 »
「地方自治」カテゴリの記事
- 2024.11地方議員学習交流会・資料(2024.12.02)
- 24年9月 意見書決議・私案 「選択的夫婦別姓」「女性差別撤廃・選択議定書」(2024.09.05)
- 24年9月議会に向けて 意見書・私案1(2024.08.31)
- 「指定地域共同活動団体」~地方自治法改定による新たな課題(2024.08.17)
- 202408地方議員学習交流会資料+α(2024.08.15)
「公務の民営化」カテゴリの記事
- 「指定地域共同活動団体」~地方自治法改定による新たな課題(2024.08.17)
- PFI事業 検証した27件全部で割高 会計検査院(2021.05.19)
- 「スマート自治体構想」と公務労働 (メモ)(2020.03.29)
- 日本郵政の迷走は「民営化」という構造改悪の結果(2019.10.22)
- シルバー人材センターによる公務職場の置換え・・・会計年度任用の本格導入を前に(2019.10.08)
TrackBack
Listed below are links to weblogs that reference 鳩山首相 「新しい公共の実現」:
» 鳩山首相 初の所信表明 [王様の耳はロバの耳]
戦後行政大掃除し政治主導へ 鳩山首相、初の所信表明演説(共同通信) - goo ニュース
皆様のNHKは「鳩山首相の所信表明」のTV中継をしたようですが他局は「酒井法子の覚せい剤初公判」の方に関心が有ったようです。
{/face_ase1/}
さて「所信の内容」ですが全体像の欠如と不要というか冗長な詳細が入り混じって入る様に思えました。
50数分の演説とは最近では最も長いと皮肉交じりで称えている局が有りました。
{/hiyoko_cloud/}
冒頭の「新しい政治の枠組みづくり」「変革」「政権交代... [Read More]
Comments