就学援助の切り捨て進む~国の「縛り」廃止で
「地方が自由に使える」という国庫補助負担金の一括交付金化すれば、「こうなる」という実例である。
「就学援助」細る自治体 財政難で認定基準を厳格に 朝日9/9
「厳格」と表現されているが、不況が深刻化するなかで、切り捨てが進んだということ。
公立保育所の運営費の一般財源化・交付金化によっても、61%の自治体で、予算の削減が行われている。
規制緩和でなく財政投入が必要 保育協会調査 09/4/12
保育などの設置基準をなくし、一括交付金化で「国の縛りをなくす」とか「地方が自由に使える」というが、今の流れなら「安かろう、悪かろう」に流れることは必至。
子どもの幸せ平等を確保するには、国の責任で、きちっとした基準設定と財政措置が必要である。
【「就学援助」細る自治体 財政難で認定基準を厳格に】 経済的に困っている家庭の小中学生を対象にした、自治体の「就学援助」の制度が細っている。学用品、給食費、制服、修学旅行の積立金……と学校にからむ様々な出費を補助する制度だが、「小泉改革」以降、認定基準を厳しくする自治体が続出。財政難を背景に、制度の周知にも消極的になっている。 文部科学省によると、子どもが公立に通っている保護者の負担額は1人平均で小学校は年間9万7500円、中学校では16万9700円。就学援助の対象は、生活保護を受けている「要保護児童生徒」と、それに準じて生活が苦しい「準要保護児童生徒」で、「準要保護」は各市町村教委が認定基準を定める。 国はもともと、就学援助について半分を補助していたが、小泉政権の「三位一体改革」の中で、地方に財源移譲する形で05年度に補助金を廃止。就学援助に使う「縛り」がなくなったため、折からの財政難と相まって、自治体にはできるだけ支出を絞ろうという動きがうかがえる。 文科省の06年の調査では、認定要件を厳しくした自治体は全国で87に及んでいた。対象とする収入の基準を生活保護基準の「1.5倍未満」から「1.3倍未満」に見直した埼玉県鳩ケ谷市では、04年度には21.3%だった受給率が05年度には18.6に減少。さらに08年度は15.8%まで下がった。 新潟市では支給額そのものを引き下げた。「準要保護者」の家庭を所得によって四つに分け、高い層から段階的に引き下げ幅を大きくする形をとった。比較的所得が高い層については、06年度の支給額は前年度の75%、07年度は50%、08年度は25%に。削減前の小学生の平均支給額は1人6万8千円だが、この見直しで1万7千円にまで減った。担当者は「不況で対象者が増え、財政負担が大きい。なんとか制度を維持するための苦肉の策だ」という。 学習塾経営者の湯田伸一さん(52)が07年、全市区町村教委を対象に調査したところ、人口が15万人以下の自治体では就学援助制度の案内書を配布しなかったり、要項や手引がなかったりするところが目立った。案内書をすべての児童生徒に配布している自治体の就学援助の平均受給率は11.6%。一方、配布していない自治体は6.8%と大きな差があったという。湯田さんは「困っている家庭をもれなく支援するには、国が最低限の基準をつくって制度を構えるべきだ」と話す。 今回の総選挙で、民主党は「高校の授業料無償化が先決」として公約で就学援助には触れなかったが、政権協議を進めている社民党はマニフェストに「充実・強化」を盛り込んでいる。
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