「機密費」にメスを入れられるか? 民主党
「機密費」については、02年4月に日本共産党が内部文書を暴露したもので、国会対策費など党略的に、あるいは私的に流用されている事実は、一大スキャンダルに発展した。政権が変わった今こそ、ウミを出し切るチャンスである。ところが民主党がどうも後ろ向きとのこと・・・
機密費透明化どこへ 民主、政権交代で姿勢一転 中日新聞9/22
官房機密費の実態をしめす内閣官房内部文書の公表にあたって 赤旗02/4
入手した資料の裏付け調査の内容と結果について 赤旗02/4
「ムネオ」で終わらぬ外務省腐敗 機密費文書も外務省文書だった 赤旗02/2
小沢氏など自民党の幹事長をつとめた人物もいる。外務省に深く食い込んでいた鈴木宗雄氏もいまや民主党だが・・
機密費をそのままにするようであれば、政治の透明化やムダ削減の主張が泣くというものだ。
【機密費透明化どこへ 民主、政権交代で姿勢一転 中日新聞9/22】 首相や官房長官の判断で自由に使えるカネとされる官房機密費(内閣官房報償費)。民主党は野党時代、機密費の不正流用を厳しく批判してきた姿勢を一転し、政権発足後は透明化に消極的な姿勢が目立っている。 (後藤孝好) 平野博文官房長官は就任翌日の17日の記者会見で、官房機密費について問われると、「そんなのあるんですか。承知しておりませんから、コメントはできません」と、しらを切った。存在した場合にどう対応するのかと再質問されても「たらればの話はできない」と取り合わなかった。 官房機密費は「国の事務、事業を円滑かつ効果的に遂行するため、機動的に使用する経費」とされる。 例年、予算計上されたほぼ全額を使い切り、2009年度も約14億円を計上している。 私的流用や国会対策への支出が問題になった02年、当時、民主党代表だった鳩山由紀夫首相が「使われ方や、どのような状況なのかに関心を持っている」と追及。支払い記録の作成や、一定期間経過後の公表義務化を定めた「機密費流用防止法案」を国会に提出した。 01年には当時の塩川正十郎財務相が、宇野内閣の官房長官当時の話として「官房機密費を野党対策に使った」と発言。野党の追及で国会が紛糾すると、塩川氏は一転して「忘れた」ととぼけたこともあった。 平野氏の態度が煮え切らないのは、与野党議員の根回しなど国会対策への流用を明らかにすれば、自民党だけでなく、民主党にも問題が波及し、順調なスタートを切った新政権に水を差す懸念があるからだ。 また、使途を公表せず自由に使えるカネは円滑な政権運営をしていくうえで、やはり必要だと手放したくなくなったのではないか、との見方もある。 ただ、政権交代を境に透明化へ消極的な姿勢へ転じたのならば、国民の失望を招き、税金の無駄遣いを洗い出すという政権の基本姿勢を疑われる。新政権は難しい判断を迫られている。
【官房機密費の実態をしめす内閣官房内部文書の公表にあたって 02/4】 ――政治腐敗の奥深い闇に、いまこそメスを 2002年4月12日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫 日本共産党の志位和夫委員長が十二日、記者会見で明らかにした「官房機密費の実態をしめす内閣官房内部文書の公表にあたって――政治腐敗の奥深い闇に、いまこそメスを」は次の通りです。 ◆機密費問題という政治の闇にメスを入れることは、政治腐敗一掃に避けて通れない わが党は、これまでもいっかんして、機密費(「報償費」)の名のもとに、巨額の税金が党略的・私的に流用されている問題について、その実態を国民に明らかにすることを要求してきた。 それは、機密費問題が、政府自身による国民の税金の不正な流用という点で、きわめて悪質であり、日本の政治をもっとも奥深い闇のなかで腐敗させている根源にあると考えるからである。 しかし、小泉政権をふくめて、歴代政権は、その実態を国民に明らかにすることを、拒否しつづけてきた。 わが党は、その機密費の重要な部分について、使途の詳細を明らかにした政府の内部文書を独自に入手した。この間、資料の裏付けについて精査をおこない、これが、宮沢喜一内閣で加藤紘一氏が官房長官をつとめていた時期(一九九一年十一月~九二年十二月)の内閣官房機密費の会計記録の一部であることを、十分な根拠をもって確認することができた。(その裏付け調査の内容と結果は別紙の通り) これまで複数の官房長官経験者が、機密費のなかには、「国会対策」や「餞別(せんべつ)」など、官房長官がその自由裁量で何にでも使える部分がある旨、言明してきたが、この資料は、加藤官房長官の時代に、官房長官が自由裁量で使った機密費の使用明細であることは、間違いない。 今日、さまざまな政治腐敗事件があいつぎ、国民の政治不信が、きわめて深刻なものとなっているもとで、機密費問題という政治の闇にメスを入れることは、日本の政治腐敗を一掃するうえで、避けて通れない課題となっている。 わが党は、こうした立場から、入手した全資料を公表し、機密費にかかわる重大な問題点を提起するものである。◆官房長官が自由裁量で使った機密費の使途明細
公表する資料は、(1)一九九一年十一月から九二年十二月までの十四カ月分の金銭出納帳(「KOKUYO」のノートを使用)と、この出納帳を整理してつくった(2)月別の収入・支出表(「内閣用箋(ようせん)」を使用)および(3)目的別の分類表(「内閣用箋」を使用)の三つの資料である。
ここに記録されている機密費の総額は、収入で一億四千三百八十四万円、支出で一億四千三百八十六万円となっている。
誰がこの資料をつくったのかの記録はないが、状況からみて、加藤官房長官が自分の自由裁量で使う分の機密費の一部について、その執行にかかわった人物がその明細を「金銭出納帳」に記載し、機密費にかかわる官邸職員が、それをもとに収入と支出、目的別の分類などを内閣用箋に整理したものと判断される。
国民の税金が、「国家機密」という名目で、このように使われるのは許されない
この資料に記載された機密費の支出をみると、そのほとんどは、国民の税金の支出として許されない、不当きわまりないものである。第一に、「国会対策費」という分類で三千五百七十四万円が支出されている(集計表には2521万円と記載されているが、出納帳から書き写すミスによる誤り)。そのうちの主なものだけでも、「英国屋(権藤、二見、鶴岡)」/160万5000円(91年11月14日)、「英国屋(黒柳明)」/100万円(同11月26日)、「総務会メンバー39人(背広)」/1170万円(同12月17日)、「河本敏夫」/300万円(同12月20日)、「(参)幹事長、副幹事長6名(背広)」/180万円(同12月20日)、「海部前総理」/300万円(同12月26日)、「商品券」/312万2575円(92年2月27日)、「粕谷茂(政治改革)」/296万6400円(同3月5日)、「公明 背広30×3」/96万3000円(同4月28日)などがある。
これらは、自民党の党内対策、野党対策など、党略的目的のために、機密費が使われていたことを、しめすものである。第二に、政治家への政治資金のばらまきである。集計表で、「国会対策費」と分類されたもの以外にも、「パーティー」と分類された三千二十八万円の多くの支出先は、政治家である。政治家の「励ます会」「出版記念」「シンポジウム」などの機会に、機密費が支出されている。これは事実上の政治献金として、機密費が党略的に使われていたことを、しめしている。
第三に、私的費用への流用もみられる。「長官室手当」「秘書官室手当」の名目で総額千六百六十二万円が支出されている(集計表には1542万円と記載されているが誤り)が、これは毎月十日、すなわち国会議員歳費、公設秘書給与等の支払日と同じ日に、一定の額が支出されており、官房長官室関係者の給与にいわば「ヤミ給与」として上のせされて支給されていた疑いが強い。「長官地元入り経費」/245万円(92年9月8日)、「日比谷高校会費(泰平会)」/1万円(同6月19日)なども、私的費用への流用というほかないものである。
この資料の全体にわたって、「国家の機密」にあたると弁明できる支出は、一項目もなかった。歴代政府は、「報償費(機密費)」の目的について、「内政、外交を、円滑かつ効果的に遂行するため、その都度の判断で機動的に使用する経費であり、国政の遂行上不可欠のもの」としてきたが、この目的にてらしても、この資料にしめされた党略的・私的流用は、とうてい説明がつかないものである。国民の税金が、「国家の機密」という言葉のかげにかくれて、このような支出に使われるのは、絶対に許されない。
なお、この資料には、多くの人名が出てくるが、この文書の真実性の保障としてあえて全文を公表したのであって、名前が記載されているというだけで、私たちは、受け取った側の道義的・政治的責任を問題にするものではない。おそらくは、受取人として記録された人のうち、それが機密費と知って受け取ったというのは、政府・党の中枢にかかわるごく少数の人に限られるだろう。
この資料の公表にあたって私たちが最大の目的とするのは、「国家機密」の名のもとに、国民の税金を、勝手放題なやりかたで不当に流用してきた歴代政府の責任を追及し、政治腐敗の根源をなすこの腐ったシステムを根絶するところにある。
◆昨年わが党が提出した「報償費について」と題する文書の真実性を裏付けるもの
わが党は、昨年二月の衆院予算委員会で、「報償費について」と題する内閣官房作成の文書(一九八九年五月)を明らかにしたが、この文書には、(1)外務省から内閣官房にたいして機密費の「上納」がおこなわれていたこととともに、(2)「新税制の円滑実施」のため、すなわち当時国民の大きな反対をおしきって強行された消費税の導入のために、「国会対策」として年額五億円という巨額の機密費を使ったことが明記されていた。
さらにわが党は、昨年三月の参院予算委員会で、同文書が古川貞二郎内閣官房副長官(当時、内閣官房首席参事官)によって作成された文書であることを、筆跡鑑定書をつけて明らかにしている。
「報償費について」と題する文書に使われている内閣用箋と、今回明らかにした資料の集計表に使われている内閣用箋とは同じ形式のものである。また、「報償費について」で「国会対策」が機密費の項目の一つとなっていることが、問題になったが、今回の文書では、官邸の当事者自身が、機密費の支出先の最大の項目に「国会対策費」をあげている。これらは、昨年わが党が明らかにした「報償費について」と題する文書の真実性をいよいよ決定的に裏付けるものとなった。
文書「報償費について」の存在が裏付けられてきた以上、これまで政府がとってきた、問答無用でこの文書の存在を否定する態度は、もはや許されない。とりわけ、外務省から官邸への「上納」問題について、真実を明らかにすることは、避けることのできない問題となったことを、強く指摘するものである。◆機密費問題の解明のために--日本共産党の提起
以上の事実にたって、わが党はつぎの問題を提起するものである。
小泉首相にたいして、つぎの三点を要求する。
(1)これまでの機密費の実態、とくに内閣官房機密費の使用の実態を、国会と国民に公開すること。
(2)この資料にしめされているような、機密費の党略的・私的な流用は、今後行わないことを、国会と国民の前に約束すること。
(3)外務省から官邸への「上納」問題について、国会と国民をあざむくごまかしをやめて、真相を調査し、公表すること。国会にたいしては、機密費問題を集中的に解明する場を設けて、国民にたいする国会の責任を果たすことを提案したい。
わが党は、長年にわたって日本の政治の奥深い暗部に位置し、数々の腐敗の温床ともなってきた、機密費問題の解明のために、ひきつづき力をつくすものである。
【入手した資料の裏付け調査の内容と結果について 02/4】 日本共産党の志位和夫委員長が、十二日の記者会見で公表した内閣官房内部文書についての「(別紙)入手した資料の裏付け調査の内容と結果について」は次の通りです。 わが党は入手した資料の発表にあたり、その真実性について多角的な検証をおこない、これらの資料が、内閣官房機密費の会計記録の一部であることは、まちがいないと判断した。検証によってあきらかになった事実関係は以下のとおりである。1、「収入」についての検証
「金銭出納帳」に記載された総額一億四千三百八十四万円の収入のうち一億四千三百万円が「長官より」とされ、七十万円と三十万円に分割された一件の例外(九二年十月二十日、同十一月五日)を除いて、すべて百万円単位で入金されている。
これは、機密費の取扱責任者が内閣官房長官であり、佐藤内閣当時の官房長官であった竹下登氏が「報償費(機密費)というのは…やはり内閣官房長官の専権事項だね」(『政治とは何か――竹下登回顧録』)とのべていることとあわせて、以下の証言とも符合する。宇野内閣で官房長官をつとめた塩川正十郎氏の証言――「(機密費は官邸の金庫に)百万円単位で袋に入れてあります」(二〇〇一年一月二十八日、テレビ朝日系サンデー・プロジェクト)、元官房長官秘書官の証言――「官房長官の執務室には古い金庫があります。機密費はそこに入っています。封筒に百万円ずつ分けて入れてあり、帯封に銀行印などはありませんでした」(二〇〇一年二月十八日付「しんぶん赤旗」)。2、「支出」についての検証
この資料に記された支出の一つひとつについて調査した結果、その支出を裏付ける多くの事実が確認された。調査結果の詳細は、添付した一覧表のとおりである。
政治家の「パーティー」への支出については、政治資金規正法で報告が義務づけられていないという当時の制約のなかでも、新聞各紙の報道によって、七十七人中十三人の政治家のパーティーが支出日と符合して開かれていることが検証された。
「餞別」については、当時の官職を特定できた五人への「餞別」が、すべて異動日と符合している。また「餞別 綿貫100、小泉、熊谷50」として二百万円が支出された九二年四月二十八日の翌日には、綿貫民輔自民党幹事長(当時)が、小泉純一郎、熊谷弘両副幹事長(当時)とともに、自民党としての東欧諸国訪問に出発している。
「香典」については、新聞各紙に掲載された訃報によって特定できた九件の支出がすべて符合している。
その他にも、支出を裏付けるつぎのような事実が確認された。「長官地元入り経費」として二百四十五万円が支出された時期に、加藤紘一氏は「後援会会合のため」、官房長官になって初めて地元の山形県鶴岡市に帰っている(九二年八月二十九、三十日)。「スリーハンドレッド」として四十四万六千百五十七円が支出された日には、自民党執行部を招いた「接待ゴルフ」が茅ケ崎市のスリーハンドレッドクラブでおこなわれている。「(参)国対差し入れ」(九二年六月六日)、「国対差し入れ」(同六月十二日)の支出日には、それぞれ参議院、衆議院においてPKO法案の本会議強行採決をめぐる徹夜国会が開かれている。3、政治的背景についての検証
当時の政治状況と照らし合わせて検証した結果、その支出意図を合理的に説明しうる政治的背景を確認することができた(日付順)。
「英国屋(権藤、二見、鶴岡)」と記載された百六十万五千円(九一年十一月十四日)と「英国屋(黒柳明)」と記載された百万円(同十一月二十六日)――当時国会ではPKO法案をめぐる与野党の激しい攻防がおこなわれていた。十一月二十七日には衆議院国際平和協力特別委員会で自民、公明両党がPKO法案を強行し、十二月三日には衆院本会議で、自公両党の賛成でPKO法案を可決した。同法案は、十二月二十日の参院本会議で、自公民、連合参議院の賛成で継続審議となり、廃案をまぬがれた。
当時、権藤恒夫氏は公明党副委員長、二見伸明氏は公明党政審会長で公明党のPKO特別委員長、鶴岡洋氏は公明党の選対副委員長、黒柳明氏は公明党参議院議員団長であった。英国屋は高級紳士服の専門店で、高級服を仕立てて送ることが、「国会対策」として、ひろくおこなわれていたことは、以前から指摘されている。
また、「国会対策費」としての機密費の使われ方については、衆議院の正副議長秘書の経歴をもつ平野貞夫参院議員のつぎのような証言もある。「共産党は受け取らなかった。公明党は最初は背広の生地ぐらいしか受け取らなかったが、昭和五十年代ごろからは受け取るようになった」(「朝日」二〇〇一年三月二十二日付)
「河本敏夫」と記載された三百万円(九一年十二月二十日)と「海部前総理」と記載された三百万円(同十二月二十六日)――八八年十二月にリクルート疑惑で、蔵相を辞任にまで追い込まれた宮沢氏が、わずか三年で首相の座につくことができた背景には、海部氏の続投断念と、自民党総裁選挙で河本派が竹下派とともに宮沢氏を支持したことがあった。
「総務会メンバー39人(背広)」と記載された千百七十万円〔集計表の「117」万円の記載は誤記〕(九一年十二月十七日)――当時、宮沢派の衛藤征士郎氏が、党大会につぐ自民党の最高意思決定機関である総務のポスト入りをめざしていたが、「当選六回(衆院)以上」という資格に欠けるため、総務会入りにストップがかかっていた。結局、「当選六回(衆院)」という原則が崩され、衛藤氏は十二月二十六日の総務会で正式に総務となっている。
「商品券」と記載された三百十二万二千五百七十五円(九二年二月二十七日)――当時、国会では、共和事件にかかわる阿部元長官や宮沢首相のリクルート疑惑にかかわる首相秘書らの証人喚問を自民党が拒否したため、二月五日から十九日まで国会審議がストップしていた。結局、塩崎元総務庁長官の証人喚問、鈴木元首相らの参考人招致で、自民、社会、公明、民社が合意し、首相秘書、元秘書、阿部元長官らの証人喚問は見送りとなった。
「粕谷茂(政治改革)」と記載された二百九十六万六千四百円(九二年三月五日)――粕谷氏は、当時、自民党の政治改革本部の本部長代理として、中選挙区制のもとでの「定数是正」の党内調整の取り仕切りをまかされていた。
検証の結果あきらかとなったこれらの事実は、この資料が、内閣官房機密費の会計記録の一部であることを裏付けるものである。
なお「金銭出納帳」の最後の二枚は、金銭出納帳を記帳していた人物が執行をゆだねられていた範囲の外の機密費の支出を、なんらかの事情で備忘録として記録にとどめたものと推察される。
【「ムネオ」で終わらぬ外務省腐敗 機密費文書も外務省文書だった 赤旗02/2】 「ムネオ・ハウス」入札介入疑惑で、自民党の鈴木宗男議員の圧力にいいなりになっただけでなく、介入が露見しないよう入札参加資格で偽装工作まで行っていた――。こんな外務省の腐敗構造と隠ぺい体質は、いまに始まったものではありません。一年前、国会で大問題になった機密費問題はまさにその典型です。ムネオ・外務省疑惑は、機密費問題もふくめて徹底究明が必要です。外務省が「ムネオ・ハウス」の入札に関する内部文書の存在を認めたことで改めて注目されているのが、昨年三月十六日の参院予算委員会で日本共産党の緒方靖夫議員が示した文書です。この文書は外務省機密費がサミット外遊への「せんべつ」や情報収集名目の飲食に流用されていたことを示しています。
当時、河野洋平外相は「調べるには調べるだけの根拠がいる」として調査を拒否していました。しかし、「ムネオ・ハウス」にかんする外務省の内部文書と同じ「秘 無期限」の押印があったことで、外務省の内部文書であることがはっきりしました。
「サミット一行リスト(案)」と題する文書は、一九八九年のアルシュ・サミットの際に外務省経済局サミット準備室が作成した随行員の名簿に、当時の塩川正十郎官房長官(現財務相)の秘書官が「せんべつ」の金額をメモしたものです。リストの氏名の横に「30」=秘書官クラス三十万円、「40」=局長クラス四十万円などの「せんべつ」の額が書き込まれ、総額は「2000」(万円)と記されています。準備室長は機密費流用事件で公判中の松尾克俊・外務省元要人外国訪問支援室長でした。
塩川氏は昨年一月のテレビ番組で「総理の外遊費は官邸の報償費ではないから、外務省の枠内から持ってこいと指示した」と証言しています。この資料は、外務省の機密費が官邸に「上納」され、首相外遊の際に支出されたという疑惑を裏付けるものです。
外務省の機密費が「情報収集」を名目に、飲み食いに使われていたことを示すのが、二〇〇〇年三月三十日付の「情報収集活動用設宴限度額等について」と題する官房長名の文書です。
設宴・会食を決裁する「設宴・会食承認要求及び支出依頼書」には「外務本省」「報償費」の項目があり、外務省機密費からの支出であることを示しています。
小泉内閣は機密費問題についてまともな調査もせず、「使途は申し上げられない」(福田康夫官房長官)の一点ばり。当事者だった塩川財務相も「忘れた」などと無責任な態度に終始しましたが、もはや「知らぬ存ぜぬ」は通用しません。◆「上納」裏付ける記述 内閣官房文書
外務省の機密費が内閣官房に「上納」されている疑惑では、昨年二月に日本共産党の志位和夫委員長が、内閣官房文書を暴露。一九八九年五月の作成で、ここには、「官房長官が取り扱う報償費は、予算上、内閣官房と外務省に計上されており、形式的には外務省計上分を内閣官房に交付する形をとっている」と、機密費「上納」を明確に裏付ける内容が記載されています。
会計検査院の報告では「内閣官房の予算執行事務の一部が外務省に委ねられている」「(内閣官房と外務省)それぞれが所管する予算を自らの責任において執行する体制となっていない」と、事実上、両機密費の一体ぶりを示しています。
田中真紀子前外相は、二十日の衆院予算委員会での参考人質疑で「上納」疑惑について「歴代閣僚がなかったと繰り返しているので、今もないと申し上げるしかない」とのべつつ、会計検査院の報告を示し、「それぞれが理解するしかない」とのべました。
◆巨額計上つづける機密費予算
小泉内閣は、来年度予算案で機密費減額を宣伝しています。しかし、実態は、削減分をさまざまな費目に振り分けたうえ、巨額の機密費を温存しています。
官房機密費は、来年度予算案で一割カットされたといっても、計上額は十四億六千万円。外交機密費も、四割削減されたといいながら、外務本省、在外公館あわせて三十三億四千万円が計上されています。
四割カットの外交機密費では、そのうち25%は、旅費など他の費目に移しかえられています。
ところが、機密費、諸謝金、旅費、庁費、交際費など、関連経費でみると、総額で一千十億千四百三十五万円と、前年度比0・9%の増額となっており、結局、「焼け太り」ではないかとさえ指摘されています。
このうち、諸謝金は、田中真紀子元外相が「伏魔殿の一端」と指摘した不明朗なもの。来年度予算案でも前年比0・5%増の百四十四億二千七十五万円と巨額が計上されています。
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