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子どもの貧困白書

9784750330358
 選挙中、見逃して本が少なくない。本屋で思わず手に取り、著者の幅広さ・・・そしてこうした人たちが連帯していることに勇気をもらいました。
 作成に携わった「子どもの貧困白書編集委員会」のメンバーは、子ども・若者の貧困、貧困の連鎖の問題にたずさわってきた方々・・
 当ブログでも「備忘録」で取り上げた人も少なくない。

「子どもの貧困白書編集委員会」
湯澤直美(ゆざわ・なおみ)立教大学コミュニティ福祉学部教員
浅井春夫(あさい・はるお)立教大学コミュニティ福祉学部教員
阿部彩(あべ・あや)国立社会保障・人口問題研究所国際関係部第2室長
岩川直樹(いわかわ・なおき)埼玉大学教育学部教員
小西祐馬(こにし・ゆうま)長崎大学教育学部准教授
中西新太郎(なかにし・しんたろう)横浜市立大学国際総合科学部教員
平湯真人(ひらゆ・まさと)弁護士
松本伊智朗(まつもと・いちろう)札幌学院大学人文学部教授
水島宏明(みずしま・ひろあき)ジャーナリスト
山野良一(やまの・りょういち)神奈川県厚木児童相談所児童福祉司

 同書の「子どもの貧困根絶宣言」は
 人類は、子どもに対し、最善のものを与える義務を負う」——今から半世紀前の1959年、国連総会は、子どもが権利の主体であることを明確にした「子どもの権利宣言」を採択しました。さらに1989年には「子どもの権利条約」が採択され、世界各地で子どもの権利の実現のための取り組みが進められてきました。
 しかし、21世紀に入ってもなお、時代の荒波が子どもたちのいのちと暮らしを脅かしています。
 近年の日本社会を見ると、効率と競争を優先する政策が暮らしの貧困化を促進し、いのちの尊厳までをも切り崩しています。子どもたちは成長・発達を侵害されるばかりでなく、まるで早送りの映像のように子ども期を高速化させられ、不当に早い時期からの「自立」を強いられています。「子どもの時期を子どもらしく生きる」という基本的な権利さえも奪われているのです。
 しかし、子どもの貧困の現実は、いまだ十分な実態把握がなされておらず、その解決は家族の、そして、子ども自身の自助努力に過度に委ねられてきたのです。一刻も早い政府による貧困の実態把握と貧困率の測定、削減目標の設定、そして削減計画の具体化と実行を切に望みます。
 この白書が刊行される2009年は、子どもの権利宣言から50周年、子どもの権利条約から20周年にあたります。まさに、私たちの「子どもの貧困根絶宣言」ともいうべく、この白書には、子ども・若者・保護者・援助者・研究者たちの多様な声とともに、「貧困の連鎖を断ち切ろう」というたくさんの意志と願いが込められています。また、子どもの貧困を見えるものにし、貧困をなくすための方策を具現化させるために、当事者、支援の現場、政策といったそれぞれのレベルに焦点を合わせながら、現状・課題・提言を描いています。
 平和学では、直接的な暴力がないことを意味する「消極的平和」に対し、暴力を生み出す構造そのものを改革してゆく「積極的平和」という概念が提唱されています。この平和の再定義に学び、貧困がない社会とはいかなる社会なのか、想像力を創造力につなげながら、私たち市民の希望を社会の希望として現実のものにしていきたい——その積極的な実現の道のりを多くの読者のみなさまと共有できれば幸いです。
 『子どもの貧困白書』が必要でなくなる日——その日がくることを願います。

と語っている。
 
 当面は、毎年、継続して発行してほしい。発行の必要のない日をめざして・・・

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