マニフェストと民意

自公退場の国民の意思が民主党大勝をもたらした。同党幹部は選挙結果を受けて「マニフェストを１つ１つ実行するのみ」「政策はパッケージでお示ししている」と語っているが、個々の政策が支持されたのかと言えば疑問が残る。朝日の調査で目玉政策を5－7割が「評価しない」と回答している。
　実は、地方政治の場でも「マニフェストに書いてある」ことが強引にことを進める口実につかわれているのである。
　さて、昨夜のＮＨＫの政党討論会は結構おもしろかった。
子ども手当で足並み乱れ　社民、国新が民主に異論　共同

　高速道路、暫定税率にかかわって、みんなの党が「医療費の無料化、お年寄りで1兆円、こどもで3千億円でできる」と日本共産党とまったく同じ主張をしたこと。
　社民党が、暫定税率を炭素税に置き換えると、当初の廃止の方針（環境団体から批判されていた）を変更し、日本共産党と同じ主張にかわったことである。
　なお亀井氏は高速道路は「外国では無料だ」というのは本当か

　確か、アメリカ、ドイツ、イギリスしか「原則無料」の国はない。そのアメリカにも日本の高速道の総延長と同程度の有料区間はある（料金は安いらしいが）。イギリスは、混雑解消に０３年に1部に有料化を導入し、全面的な有料化を検討している。ドイツは大型トラックを有料化し、ここも全車種の有料化を検討している。
　むしろ有料化が世界の流れと言える。
　　
　また、子ども手当てについては財源とともに、制度として高額所得者まで支給するのか、その財源があれば学童保育など現物給付の充実に・・など議論になったが、ここでも、共産党の現在の児童手当（所得制限あり）を倍にして段階的に１８歳まで引き上げるという方針の現実性が示されたように感じる。
　
　財源として扶養控除、配偶者控除をなくす問題を市田さんが指摘したら、岡田幹事長は「配偶車控除」の方だけを「（専業主婦が両働きか）政府がライフスタイルに介入すべきでない」「ニュートラルであるべき」と述べたが、扶養控除にふれなかった。また介護や子育てのために、仕事につけずにいる人をどうするのかも課題になるだろう。
　また、高額所得者への支給について岡田幹事長は、「所得をどこまで把握できるかの問題がある」と述べたが、それでは現行の制度のほとんどが根拠を失うこととなる。

　そうした議論を経て、岡田幹事長は「やります。民意を尊重すべき」と述べたが、ここがマニフェスト選挙、小選挙区制のこわさである。
　あの政策ＩＮＤＥＸ２００９にかかれたこと全てが「民意だ」と言う「理屈」になる。１つ１つの政策は議論し、修正、見直しもありで、すすめて言ってもらいたい。

【子ども手当で足並み乱れ　社民、国新が民主に異論　共同９／１】 　民主、社民、国民新の３党幹部が３１日夜のＮＨＫ番組で、民主党マニフェスト（政権公約）の「子ども手当」をめぐり議論、足並みの乱れを露呈した。 　社民党の福島瑞穂党首は「学童クラブの設置などに財源を使うほうが良い」と現金給付に異論。国民新党の亀井静香代表は「所得制限など工夫をしないと、財源が足りなくなる」と指摘した。 　これに対し、民主党の岡田克也幹事長は衆院選の圧勝を受け「『やります』と約束してあれだけの支持を得た。民意を尊重すべきだ。所得をどこまで把握できるかという問題もある」と反論した。 　高速道路無料化に関しては、福島氏が「二酸化炭素（ＣＯ２）の排出量が増える」と苦言を呈したが、亀井氏は「外国は無料だ」と理解を示した。 （共同）