非核港湾決議と核密約調査
地元紙に、第七艦隊所属の米艦「セーフガード」の高知港または高知新港への寄港の打診があった、との報道がある。県は県議会の「非核港湾決議」にもとづき、外務省に「核兵器の搭載の有無」の確認をするのだが、返事は「事前協議ない以上核持ち込みはない」ということになるだろう。しかし、核密約があきらかになり、新政権が調査に着手しているときである。
社説:日米密約調査 政権交代の効用生かせ 毎日
外務省は従来どおりの対応でいいのか対応が注目される。(写真は、07年の回答/高知民報より)
04年、セーフガードが小樽港に入港した際には、民主党北海道小樽支部も寄港に反対している。
国会議員団と連絡をとり対応を検討している。
さて、米艦の寄港が実現すれは、06、08年の宿毛へのミサイル艦艇の入港に続いて、3回目となるが、高知港・高知新港は初めてとなる。
今回の場合、母港は目と鼻の先の佐世保であり、わざわざ高知へくる理由は無い。 入港目的は、日米地位協定による「通常入港」であり、補給、休養など目的となっているが、「2プラス2」合意による民間港湾の調査以外には考えられない。
セーフガードは、米軍の保有する4隻の救難艦のうち唯一の海外配備である。海難救助、一時的な艦船修理機能を備え、殴り込み部隊の受けた被害を修理して最大限に補完する戦闘兵站支援船だったが、07年に退役。
武器弾薬をおろし、非武装の民間艦となったと紹介されている。
他の3隻の救難艦と同様にMSC(軍事海上輸送団)に所属し、これまでと同様の役割を担う。乗員99名は、26名の民間船員、4名の海軍下士官、数名の海軍ダイバーに交代されている。
MSCは、戦時・平時にかかわりなく米軍に必要な物資の海上輸送や、物資の事前集積、補給艦・病院船等の運用、その他、海洋観測・音響観測・ミサイル追尾などの特殊任務陽艦艇を運用するなど、重要な兵站(後方支援)任務を負っている。(以上「PEACE PAPERS」より)
社説:日米密約調査 政権交代の効用生かせ 毎日・社説 岡田克也外相が外務省当局に対し、核を搭載した米艦船の寄港などをめぐる日米密約に関する資料を調査し11月末をめどに結果を報告するよう命令した。外務省はこの際、徹底調査し国民の疑念を晴らすべきだ。それが政権交代の効用というものである。 外相が調査を命じたのは1960年の日米安保条約改定時の「核持ち込みに関する密約」と「朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する密約」、72年の沖縄返還時の「有事の際の核持ち込みに関する密約」と「米軍用地の原状回復費の肩代わりに関する密約」の計4点だ。 日米安保条約の改定では核兵器の日本への持ち込みは事前協議の対象とされたが、当時の日米合意では核兵器搭載艦船の寄港・領海通過は事前協議の対象としないことが確認されていた。また、朝鮮半島有事の際は米軍が事前協議なしに在日米軍基地から出撃することも認めていた。 これらの密約は米側の公文書などで明らかになっているが、核搭載艦船に関する密約については日本側でも村田良平・元外務事務次官が次官就任時に文書で引き継ぎを受け後任にも引き継いだと証言している。 有事の際の沖縄への核再持ち込みについては、日本が事実上拒否しないことを首脳間で合意していた。これは佐藤栄作首相(当時)の密使として米側との交渉にあたっていた元京都産業大学教授の若泉敬氏が著書で明らかにしている。沖縄返還をめぐる米軍用地の原状回復費の肩代わりについては、日本側担当者だった吉野文六・元外務省アメリカ局長が密約の存在を認めている。 岡田外相によると、外務省に残されている日米安保条約関連の資料は約2700冊、沖縄返還関連は約570冊にのぼる。このため、在外公館の職員を一時的に呼び戻して作業に当たらせることも検討しているという。さらに、調査が一定程度進んだ段階で第三者委員会を設置し外務省OBらから聞き取りを行うほか、米国でも調査を行う方針という。 日米密約の背景には米ソ対立という時代状況があったが、いまや冷戦構造は崩壊し国際情勢も大きく変化した。これ以上、密約の存在を否定し続ける合理的な理由はない。岡田外相も「密約問題は国民の不信感を高めている」と言っている。透明度を高めてこそ国民の支持に裏づけられた外交が展開できることを外務省は認識し調査に積極協力すべきだ。 同時に、調査の結果、政府が密約の存在を認めた場合、核の傘を中心とする米国の抑止力に安全保障を依拠する日本として非核三原則との整合性をどうとるのかという問題も整理しておく必要がある。
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