失業率最悪 財界中心の転換を
働くルールの規制緩和、社会保障の切り捨てが内需を冷え込ませ脆弱な経済にしてきた。失業率の悪化について、毎日と中日新聞が正面からとりあげ社説を書いている。
7月失業率、過去最悪の5.7% 有効求人倍率も最低 朝日8/28
社説:最悪失業率 再挑戦が可能な社会に 毎日8/29
社説 失業率最悪 次期政権で抜本対策を 中日8/29
毎日は、製造業務への派遣を原則禁止とする労働者派遣法の見直しと、非正規労働者の処遇改善策としての「同一労働・同一賃金」原則の導入をセットで検討すべきだ。」
中日は、①非正規労働者の賃金と雇用を安定。とくに労働者派遣制度は日雇い・製造業の原則禁止など規制強化に踏み切る。②若年者雇用のてこ入れ。安易な雇用調整を行うことは許されない。③地域差の是正。介護・医療、観光、農林漁業などへ労働力を誘導させるための施策
を提案している。
いづれも日本共産党が一貫して主張してきたことで、子どもの貧困、教育の機会均等問題もそうだが、こうしたことが大きな流れになっていることに、今回の選挙の大きさがある。
03年の総選挙で、自民と民主が「構造改革路線」を競い合っていた時とは雲泥の差である。
しかし、この転換は、財界中心の政治の打破が必要であり、新しい政権が試されることとなる。
各党の雇用政策について日経ビジネス・アソシエ編集長の渋谷氏が共産党の政策を評価している。
ラジオ番組で「共産党のマニフェストに注目したい」と発言。他党のマニフェストは「緊急性の危機意識にかける」とし、日本共産党が最賃引き上げとともに、失業給付期間を約2倍に増やすことを掲げていることに「いま職を失って食べていけるかが心配。共産党のマニフェストが現実的に思える」とコメント。
これも現場で相談活動や不当解雇とのたたかいなどに取り組んできた差ではないか、と思う。
さて、全国の状況、高知の位置はどうか・・・
都道府県・地域別有効求人倍率
・高知県は、0.01上がり0.39。全国は0.01下がり0.42.
・高知県の位置
0.39で同じは 宮城、山梨、長野 三重 長崎。
北海道0.33 青森0.27 岩手0.31 秋田0.28 山形0.33 福島0.34 茨城0.38 栃木0.34 埼玉0.35 神奈川0.37 静岡0.38 滋賀0.35 福岡0.38 熊本0.35 鹿児島0.35 沖縄0.27
・地域別では0.54の四国がトップ。香川が0.64で全国トップ
・一年前との比較では落ち込みは、高知、北海道の0.10が一番小さい、愛知の1.18、群馬の0.96が大きい
全国が高知県のようになったということ・・・ 外需依存でない安定的な経済のしくみ、特に地方自治体では地域内循環型の経済構造をつくる必要性を強く感じる
【7月失業率、過去最悪の5.7% 有効求人倍率も最低 朝日8/28】 総務省が28日発表した労働力調査によると、7月の完全失業率(季節調整値)は前月を0.3ポイント上回る5.7%となり、過去最悪となった。厚生労働省が同日発表した7月の有効求人倍率(同)も、前月を0.01ポイント下回る0.42倍で3カ月連続で過去最低を更新した。 09年4~6月期の実質国内総生産(GDP)が5期ぶりにプラス成長に転じるなど、景気には一部、明るい兆しも見え始めている。だが、企業の雇用の過剰感は依然強い。厚労省は「引き続き厳しい状況が続く」とみており、一段の悪化も予想される。 完全失業率は15歳以上の働く意欲がある人のうち、職がなく求職活動をしている人の割合。6カ月連続で悪化し、02年6、8月と03年4月に記録した5.5%を超えた。男性は前月より0.4ポイント高い6.1%で初の6%台になった。女性は0.1ポイント高い5.1%だった。 完全失業者は359万人。前年同月より103万人増え、過去最高の増加となった。理由別では、勤め先の都合が同65万人増の121万人と大幅に増えた。自己都合は10万人増の110万人。 年齢別の失業率は15~24歳が9.9%で最も高い。完全失業者数は、25~34歳が前年同月比24万人増、35~44歳が26万人増で、ほかの年齢層より増え幅が大きくなっている。 有効求人倍率は、ハローワークで仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。年明けから4月までは毎月、0.06ポイント以上の落ち込みが続いていたが、前月に続いて0.01ポイントの小幅な下げにとどまり、底を打ちつつある。 都道府県別では、香川県が0.64倍で最も高く、青森、沖縄両県が0.27倍で最も低かった。 正社員の有効求人倍率は0.24倍で、前月、前々月と並んで過去最低。一つの求人を4人以上で奪い合う厳しい状況が続いている。 雇用の先行きを示す新規求人倍率は0.77倍で前月より0.01ポイント改善した。ただ、2月以降は0.75~0.77倍の間を行き来しており、低迷状態を抜け出せずにいる。 昨年10月から今年9月までに、解雇や雇い止めなどで失職する非正社員は、前月の集計より3千人多い23万2千人。派遣が14万人と6割余りを占めた。同じ期間に失職する正社員は、100人以上の離職事例の集計だけで4万3千人だった。(林恒樹)
【社説:最悪失業率 再挑戦が可能な社会に 毎日8/29】 7月の完全失業率が1953年の統計開始以来、過去最悪の5.7%となった。過去のデータをみると、失業率は景気が回復しても1年数カ月は悪化を続ける傾向にある。秋から冬にかけて6%を超える可能性も強まっている。衆院選後の新しい政権は緊急課題として真っ先に取り組むべきだ。 失業率は、この1年間に1.7ポイントも急速に悪化した。昨年秋の世界同時不況の影響で、企業の生産が大きく落ち込み、雇用を維持できなかったことが背景にある。弱い立場の派遣やパートなどの非正規雇用労働者の雇い止めが先行し、現在では正社員にまで雇用調整が及んでいる。 景気は底を打ったという見方もあるが、厚生労働省は「雇用情勢はさらに厳しさを増している」と判断している。当面は雇用調整によって人件費を抑制し業績回復を図るという「雇用なき景気回復」となるだろう。だとすれば、雇用回復までの期間をいかに短縮し、失業率を改善させていくか、これが雇用・失業対策のポイントとなる。 最大の雇用・失業対策は、産業を活性化させて生産水準を回復させることだ。同時に、雇用調整助成金を拡充して解雇を食い止め雇用を維持する必要があるが、これを長く続けることは財政上も難しい。 中長期的には二つの選択肢が考えられる。一つは、現在、働く人の3人に1人にまで拡大した非正規労働者の増加に歯止めをかけ、正規雇用への切り替えを政策で誘導することだ。もう一つは、非正規雇用の存在を前提とした上で、処遇改善によって正規社員との格差を縮める方策だ。その場合、使い捨てにされやすい非正規労働者のセーフティーネットを拡充する政策が必要になる。 現在の状況から判断すれば、両者の中間的な対応を取るのが現実的な選択だろう。非正規雇用を抑制するために規制を行う一方、失業リスクに備えるセーフティーネットを整備する、これを中長期の雇用・失業対策の柱に据えるべきだ。 具体的には衆院選で野党が主張している製造業務への派遣を原則禁止とする労働者派遣法の見直しと、非正規労働者の処遇改善策としての「同一労働・同一賃金」原則の導入をセットで検討すべきだ。 雇用が流動化すれば、労働市場からこぼれ落ちる人が出る。今、必要なことは「失業しても再挑戦できる社会」の仕組み作りだ。日本は、もはや高失業率の国になった。かつて失業率が低かった時代には関心が低かった職業訓練制度をしっかり定着させ、失業後に技能や知識を身につけて新しい仕事にチャレンジできる社会を目指したい。
【社説 失業率最悪 次期政権で抜本対策を 中日8/29】 景気に明るさが出てきたとはいえ雇用はまだ底が見えない。近く誕生する次期政権は当面の失業救済や安全網強化にとどまらず、労働政策全体を見直して雇用の安定に取り組まなければならない。 東京・西新宿にあるハローワーク新宿には毎日約三千人が詰め掛ける。離職票を提出して失業給付の手続きをする中年男性や職業訓練を申し込む女性、就職で相談員と話し込む若者など誰もが厳しい表情だ。職員は「殺気を感じる」という。 こうした光景は愛知県はじめ全国に広がっている。七月の完全失業率は5・7%と過去最悪となった。一方、有効求人倍率は〇・四二倍と最低記録を更新中である。九月末までに失職する派遣やパート社員など非正規雇用労働者も二十三万二千人とさらに増えた。 労働力調査によると三百万人を超える失業者の半分以上が非正規労働者だ。職業経験や技能に乏しい非正規の場合、再就職先は簡単に見つからない。今後、大型倒産が発生したり業績不振の流通・中小企業などが人減らしを始めれば失業者はさらに増加しよう。 政府の緊急対策は大半が現行制度を拡充したものだ。雇用調整助成金を拡充して当面の失業急増を防ぐ。総額七千億円の緊急人材育成・就職支援基金を創設し生活資金付きの職業訓練を行う。これは新制度だが三年間限定である。 総選挙後、次期政権は早急に雇用安定策を構築しなければならない。緊急対策の補強だけでなく政策全体の大胆な転換が必要だ。 第一は非正規対策である。雇用者全体の三割以上を占めるパートや派遣などの非正規労働者の賃金と雇用を安定させる。とくに大量失業の一因となっている労働者派遣制度は日雇い・製造業の原則禁止など規制強化に踏み切る。労働者保護に軸足を置くべきだ。 第二が若年者雇用のてこ入れだ。不況期こそ人材獲得の好機である。企業側は来年春の新卒者採用だけでなく、フリーターやニート(無業者)も含めた通年採用を積極的に行ってもらいたい。長期安定雇用を約束することこそ経営者の責任だ。不況だからといって安易な雇用調整を行うことは許されない。 最後は地域差の是正である。失業率も求人倍率も地方は厳しい。新職場の創造が不可欠だが、そのためには介護・医療、観光、農林漁業などへ労働力を誘導させるための施策が不可欠だ。地方自治体に知恵が求められている。
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