「比例定数減はよくない」と細川元首相
90年代「非自民政権」の細川元首相がインタビューで、二大政党はよくない、穏健な多党制がよい、と語っている。
民主政権は「旗印絞れ」 細川元首相インタビュー 朝日8/9
小選挙区制を導入しながら、「よく言うよ」と思うが・・・「現状をみるに、小選挙区に張りついて選挙運動ばかりしている人、あるいは人気だけのタレントみたいな人が目立ちます。賢明な政治判断ができる立法府にはならない。」と語っている。反省だろうか・・・
比例定数を80削減すると、07年参院選で試算すると、
自民、民主の2党 67・6%の得票で95・3%の議席
日本共産党、公明党、社民党など政党 32・4%の得票で4・7%の議席
国会は、改憲と消費税増税の二大政党で独占されることとなる・・・
また、インタビューでは、民主党の「官僚支配の打破」の主張には「官僚機構を使いこなさないと政権は成り立たない。官僚退治は愚の骨頂」と疑問を呈している。
財界・大企業が支配の中心であり、政官財ゆ着のもとで、官僚機構が動いているだけで、「財界・大企業」の横暴を免罪した上で、「悪政の犯人探し」をするから「官僚支配の打破」というスローガンになるのであるが、その非現実性についての指摘であろう。
小泉元首相の仮想敵を作り出す手法・・・「抵抗勢力」という言い方が、今は「官僚支配」に変わっただけと受け取っている。
朝日インタビュー関連部分から・・・ ■穏健な多党制をめざせ ――ただ、細川さんは単純な二大政党論者ではない。国会答弁で将来は「穏健な多党制」に向かうと発言された。 細川 その時点とその後では事情が変わりました。選挙制度が変わった。最初の政府案は小選挙区250、全国区の比例代表250でしたが、法案成立時は小選挙区300、ブロック制の比例代表200。いまは300と180。だんだん二大政党制に有利な制度になっています。 田中 政府案の「250・250」がそのまま成立していれば、穏健な多党制を担保できたのですが。少数政党は主張が明確です。大政党にあいまいさを許さない存在になるんですよ。今の流れだと、大政党がわけの分からない烏合(うごう)の衆になります。――民主党はさらに比例区の定数を80、減らそうとしている。
細川 それはよくない。しかし民主党が今度の選挙で勝利すれば、その先は二大政党制ではなく、「穏健な多党制」に移行するのではないかという予感もある。単純小選挙区制で二大政党制のイギリスでさえ、第三党の自由民主党が力をつけ、「穏健な多党制」にシフトしつつあるのですから。――中選挙区制はどうですか。
細川 私は万全の制度はないと思っています。どんな制度にだってプラスもあればマイナスもある。
私は選挙制度は一神教の小選挙区より多神論の中選挙区連記制がいいとずっと思っていました。日本人のメンタリティーからすれば、小選挙区で「白か黒か」「AかBか」という選択をし、敵対的な政治になるのは好ましくない。しかし、あの時点で実現可能な選挙制度としてあえて推進したのです。が、現状をみるに、小選挙区に張りついて選挙運動ばかりしている人、あるいは人気だけのタレントみたいな人が目立ちます。賢明な政治判断ができる立法府にはならない。中選挙区で「Aさんもいいけど、Bさんもいい」という選択、複数の名前を書けるほうが、日本的なよい政治になるのではないでしょうか。――どういう政党が望ましいと。
田中 私は二つとはいいません。とりあえずいい政党がひとつ先にできてほしい。
細川 三、四十人規模のしっかりと旗を掲げた政党ができるかどうかがポイントでしょう。与党でも野党でもいいんです。大きな政党で何百人も議員がいれば、総花的なテーマを掲げざるを得ないですから。それでは政治が進みません。――民主党と自民党の大連立は?
細川 民意が反映されない形ですから、望ましい姿とは思いません。
【民主政権は「旗印絞れ」 細川元首相インタビュー 朝日8/9】 1993年、初めて「非自民」政権をつくった細川護熙元首相が朝日新聞社のインタビューに応じ、当時の内幕を明かしつつ政権交代に向けた提言を語った。民主党政権が誕生するならこれまでの政治との断絶がその主眼であり、新政権には旗印――目標を絞って政権運営を進めるよう、自民党には健全野党の役割を自覚するよう求めた。「政権交代政治」定着へのカギはそこにあるとの考えだ。 細川氏は98年の政界引退後は陶芸などにいそしみ、政治へのかかわりを避けてきた。初めて詳細な問答に臨み、細川政権の経験と教訓、日本政治への期待を吐露した。細川氏は、自民党政権の宮沢喜一氏との「首相の引き継ぎ」の内容を明かし、憲法や安全保障への抑制した考えで共通していることを確かめ、その後も宮沢氏が折に触れ助言してくれたと語った。
だが自民党はその後、政権奪回の政争に走り、細川氏も「打倒自民党」に傾いた。今回、政権交代があるとすれば、「自民党が健全野党になって初めて、日本の政治はいい形になる」と提唱した。細川政権のキーパーソンだった小沢一郎氏は「権力の強さも脆(もろ)さも知っているリアリストだ」とし、「慎重だがやるときはすぱっとやる。わがままなところもありますが」などと論評した。
突然持ち出して失敗した7%の「国民福祉税」については「内閣支持率の高さを利用しようという大蔵省の魂胆があった。霞が関が(小沢氏を含む)与党代表者会議と一体になって攻めてきた」と証言。ただ、民主党の「官僚支配の打破」の主張には「官僚機構を使いこなさないと政権は成り立たない。官僚退治は愚の骨頂」と疑問を呈した。
さらに民主党政権誕生を念頭に「ひとつの内閣で何もかもいっぺんにはできない。限られた目標と期限を明確にして、断固やるかどうかだ。民主党は大丈夫か」と注文をつけた。
細川氏はもともと二大政党制でなく「穏健な多党制」が持論で、「大きな政党は総花的なテーマを掲げざるを得ない。それでは政治は進まない」と述べ、民主党の提唱する衆院の比例区削減には明確に反対した。(本社コラムニスト・早野透)
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