親の年収で正答率・大学進学率に格差
貧困と学力の関係について、文部科学省が調査。ようやく政策課題となってきた。
全国学力テスト:親の年収で正答率に差 1200万円超>200万円で20ポイント 毎日8/5
親の年収が大学進学率左右 200万円未満は28% 朝日7/31
義務教育ですら多額の費用がいる。日本政策金融公庫の調査では、高校、大学でかかる費用は子ども一人当たり平均1045万円。
「貧困の連鎖を断ちきるのは教育の力」(県教育長)であるならば、その教育を受ける権利をどう保障するか、改めて国はもとより、自治体としても政策課題として真正面から考える必要がある。
全国学力テスト:親の年収で正答率に差 1200万円超>200万円で20ポイント 毎日8/5 ◇小6学力テスト・文科省委託調査 年収200万円台の世帯と1200万円以上の世帯では、昨年の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の平均正答率(小6国語B、算数B)に約20ポイントの差があることが、文部科学省の委託調査で分かった。一方、年収にかかわらず、親が「ニュースや新聞記事について子供と話す」「家に本がたくさんある」などと回答した世帯の子供ほど学力が高い傾向もみられた。 文科省の委託を受けた耳塚寛明・お茶の水女子大教授らの研究グループが、昨年12月~今年2月に全国5政令市の小学校100校を対象に保護者約5800人にアンケートし、昨年4月のテスト結果との関係を調べた。 調査によると、基礎問題(A)と活用問題(B)のいずれも、年収が高い世帯の子供ほど正答率が高い傾向があった。最も差がついたのは算数Bで、200万円未満の世帯は42・6%、200万円台は45・7%に対し、1200万円以上1500万円未満は65・9%、1500万円以上も65・6%に達した。 塾や習い事など学校外教育への支出額と学力にも相関があり、全く支出のない世帯は、月5万円以上支出する世帯と比較して正答率が23~27ポイント低かった。
親の年収が大学進学率左右 200万円未満は28% 朝日7/31 年収200万円未満の家庭の高校生の4年制大学進学率は3割に満たず、一方で1200万円以上の家庭では倍以上の6割強に――。東京大学の大学経営・政策研究センターが調査したところ、保護者の収入が多くなるほど右肩上がりに大学進学率が高くなることが確認された。国公立大では所得による差はあまりないが、私立大への進学で大きな差がついていた。 子どもの受ける教育や進学率が、親の所得差によって影響され、「教育格差」につながっているとして社会問題化している。調査は、こうした実態を探るためで、05年度に全国の高校3年生約4千人を抽出して3年間追跡した。保護者から聞き取った年収を200万円未満から1200万円以上まで七つに区分し、進路との関係をみた。 それによると、最も低い200万円未満の層の4年制大学への進学率は28.2%。600万円以上800万円未満は49.4%、800万円以上1千万円未満は54.8%、1200万円以上だと62.8%に至った。 進学先をみると、国公立大は年収600万円未満はどの層も10%強、1200万円以上でも12%強と大きな差はない。他方、私大進学の差は顕著で、200万円未満は17.6%、600万円以上800万円未満は36.8%。1200万円以上では50.5%で、200万円未満の2.9倍になった。 国立大の年間授業料は平均約54万円、私立大は同約85万円。大学は「全入時代」を迎えたとされるが、所得が低い家庭では、国公立大以外に行きづらい様子がうかがえる。センター長の金子元久教授(高等教育論)は「このままでは大学教育を受けられる人が所得の階層で固定化してしまう。進学したくてもできない人を支援するセーフティーネットの政策をつくる必要がある」と指摘している。 一方、就職率は進学率の傾向と表裏の関係になっている。200万円未満の層は35.9%だったが、年収が高くなるほど率は低くなり、1200万円以上では5.4%だった。 文部科学省の調査では、06年春の高卒者の4年制大学への進学率は45.4%。総務省の家計調査では、同年の勤労世帯の平均年収は約630万円だった。
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