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保護者負担が支える学校の現実 備忘録

 「学校から見える子どもの貧困」(藤本典裕・制度研)は、学校事務職員の専門性が発揮された著作である。制度とその運用の問題点などを具体的に示している。
その中から、憲法26条で規定されている「義務教育の無償化」は、今学校でどうなっているか・・・、
「保護者負担が支える学校の現実」の備忘録

「保護者負担が支える学校の現実 /植松直人」
はじめに
・そもそもどうして、子どもが学校に通うのにお金の負担があるのか
   憲法26条「義務教育はこれを無償とする」

1.保護者負担金が支える学校の現実
・入学時の負担 
  横浜A中 標準服、体操服、上履き 男子44600円、女子46700円
   成長期であり、もう一着は必要に
・部活 
  横浜A中 剣道 防具など6万円、吹奏楽部20-40万で楽器購入
・学校内部で「保護者から集めるお金」が議論されることはほとんどない
  B中学は、事務職員が講師で「学校予算」「保護者負担」を考える研修会
・B中学校に見る予算の実態
  公費  学校配当予算 2100万円 43.6%
  保護者 副教材     1136万円 23.5%
       修学旅行代   1152万円 23.9%
       自然教室    436万円 9.0%

  総額4829万円(人件費除く)のうち保護者負担が56.4%

◆いま、保護者が負担しているお金は・・・
*青森市の教育予算
  市予算全体の10.3%と比較的高い。金額で113億7000万
  学校配当金は、4年前、3割カット、1学校260万円
   (寒冷地であり燃料費に別途330万円0)
*横浜市 810万円
*比較
「教材や備品および簡易な施設・設備を修理するに要する経費」では
  横浜市100万円、青森市24万円
「図書購入費」
  横浜市33万円、青森市18万円
  ~財政力の弱い自治体では、保護者負担が直撃

*横浜の小中学校 保護者負担の実態 
 小学校 学年費(教材費)年7100円
    給食費 354人分で1440万円
    校外活動費 〃  440万円
 学年費の一校平均の保護者負担総額 455万円
  一方、公費(消耗品・備品購入)は850万円
      → 教室で授業をうけるための教材費だけで34.9%の負担
       (学校によって、4000~7240円のばらつきもある)
  中学校 12クラス(含む特別支援2学級)、335名の学校の場合
    公費1475万円、学年費645万円 30.4%負担
  ~ 授業をうけるのに3割以上の負担。これに修学旅行6万円、自然教室3.5万円の経費

◆公費と私費の負担区分をめぐる問題
  「公費と私費の負担区分」にしめされた考え方が原因
  学校の経費を「公費」「私費」「公費または私費」に分けて具体化
   教育委員会の規定に沿っているが、議会で議決されたものではない。

*私費負担減額の努力 東京・府中市
   保護者負担にできるもの→「通常家庭にある品物、家庭になくても家庭教育上必要な品物」と限定
   公費負担の基準→ ドリル、ワークテスト、実習材料費など幅広く提示
     (真に必要なモノ、手作り教材など市販のモノに安易に頼らない「教育長通知」)

*横浜市と府中市の中学校の比較
 横浜 保護者8600円 理科のテキスト、美術材料など  「公費」は書初め用紙代の500円
 府中 公費8600円 テキスト、技術家庭教材など 保護者負担1500円

*保護者負担には、法規則で定められた共通の「きまり」がない。
   (学校給食法で定められた給食費を除く)
  「義務教育無償」の範囲が、自治体の財政力と姿勢、学校の使い方で異なる!

2.保護者負担金が支える学校の現実
85年、教材費が、国庫負担金制度から外され、交付税化。また額も減少

◆「教育予算」の減額と「護者負担」との関係 /横浜市
 全体予算に占める教育費 03年7.6%、07年6.0%

・特に影響をうけたのが「学校配当予算」(学校運営振興費)
  03年より5年連続で減額、ある中学では5年累計で413万円減

・「児童・生徒1人あたりの学校運営にかかわる経費」(「教育予算の概要」)
 03年 小学65810円、中学88217円 →08年 小学53901円、中学71485円
 ~ 5年で1人1万円以上の減

◆教育行政が進めるお金の使い方 ~ 「教育改革」に重点
 「教育改革」では「保護者負担」軽減の施策は1つもないどころが「私費負担」を強化

・学力向上政策を中心として「戦略的な予算」に重点配分/08年
 横浜版学力テスト8400万円、小中一貫英語教育10億1千万円、横浜版学習指導要領3400万円、小中一貫教育4400万円、教師力向上(教師塾、教員研修)1億5百万円、「改革モデル校事業」3千万円
 ~ 学校に均等に配分していた特色づくり予算を廃止し、「改革」に取り組む学校に重点配分

3.受益者負担=自己責任イデオロギーのひろがり
 受益者負担を前提として組まれ教育予算

◆自己責任論へと追い込むもの
・「教育改革」~ 学校に「サービス(機関)意識」をもたせ、教育を「商品化」し、消費者としての保護者ゆ子どもの要求に応えるのが学校の役割という認識を既成事実化させようとしている。
 → 校区自由化、学校選択制など「選ぶ権利」と引き替えに「自己責任」思想の強化

・スクールマネジメント ~ 民間手法による「新しい学校経営」論の持ち込み
  経営の「効率化」「スリム化」→ 給食の民間委託、統廃合

・改悪教育法の問題 10条1項 保護者の第一義的な教育の責任
 「生活のための必要な償還を身につけさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図る」と、あるべき家庭像、と努力義務を定めた
 →「受益者負担」「自己責任」イデオロギーの下支え(ここには公権力と個人という人権問題の基本がない)

・お金をめぐる「自己責任」論の噴出
 「積立金をはらってないから修学旅行に連れていけないのはしかたがない」等が教師間で話合われる実態
 → 学ぶ機会の剥奪という深刻な状況にもっと心を砕く必要がある。

まとめにかえて 厳しい生活に追い打ちをかける現実のなかで
 どの学校にも教育方針・目標があり、「豊かな学校生活となる・・学校づくり」とかがある。
→ 生徒が安心して通える学校にしていくためには、お金のことで心配のいらない学校づくりがめざされなければならない。

・多くの学校は、教育予算削減と受益者負担の風潮により「教育無償化」を基本方針とできなくなっている。
 一方、予算は「教育改革」に重点配分。
 ~ こうした事実を、学校、保護者、市民が共有し「予算」と「教育」のあり方を結びつけた取り組みを進めることが大事。

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