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厚生労働白書 かつてないほどに自立困難/雇用と福祉の総合支援を 

 厚生労働白書は、派遣切り、ワーキングプア、ハウジングプアなどの拡大に「昨今の経済情勢の下で、かつてないほどに様々な人々が自立困難な状況に置かれている」とし、雇用施策と福祉施策の両面からの総合的に支援の拡充という考えを示した。
21年度・厚生労働白書「暮らしと社会の安定に向けた自立支援」(概要版)
厚生労働白書:雇用と福祉施策、両面の拡充が必要 毎日8/25

 興味のある部分を抜き出してみた・・・ 大企業の社会的責任、雇用のルールの規制緩和の部分には直接触れてないが・・・

「目先の利益」を追い求める行動が如何に国民と日本社会全体にとって大きな深刻な影響を与えているか、浮かび上がってくる。また「子どもの貧困」「貧困の連鎖」という言葉が白書に明記されたことも印象深い。

 この間、ウェルフェアからワークフェアという「自己責任」にもとづく「自立」の「強要」支援の流れで来たが、雇用と福祉の両面の総合的支援という論点が登場したのは、現実の困難が、そう言わざるを得ないところにきたのだろう。
 福祉の充実が、雇用の「安売り」を防止し、安定した暮らし・雇用の支えとなる。
 白書も「社会保障がセーフティネットとして機能し、人々が持てる力を発揮できるようにすることを通じて個人の自立が支えられている。また、自立した個人が支え手となることによって、社会保障が成り立っている。」としている。
    

【21年度 厚生労働白書 暮らしと社会の安定に向けた自立支援】
第1章 個人の自立とセーフティネット
第1節 自立した生活の経済的基盤のためのセーフティネット
「すべての人にとって、自己の能力を最大限に発揮し、個性を活かして生きていくことは、人生の充実という観点から大切なことである。そして、働く意欲のある人誰もが、その能力を発揮できるようにすることは、我が国の経済活力の維持にとって重要であるとともに、社会保障の支え手となるという観点からも重要であり、セーフティネットが有効に機能することにもつながる。しかし、昨今、厳しい経済情勢の中で、自立に困難を抱える人たちがいる。」
「社会保障がセーフティネットとして機能し、人々が持てる力を発揮できるようにすることを通じて個人の自立が支えられている。また、自立した個人が支え手となることによって、社会保障が成り立っている。」

第2節 個人の自立を取り巻く環境の変化
「非正規労働者の全雇用者(役員除く)に占める割合を見ると、1985(昭和60)年には16.4%であったが、1990年代後半から2000年代前半にかけて大きく上昇し、2003(平成15)年以来3割を超えて推移しており、2008年には34.1%まで上昇した。」

第2章 様々な場面における、個人の自立と社会の安定に向けた取組み
第1節 若者の自立支援
「非正社員として就職した若年者のうち、就職活動結果が不本意な者や就職をあきらめた者が合わせて45%近くにも上っており、非正規的な働き方をする若年者の増加は、必ずしも若年者の就業意識のみによるのではないことがうかがえる。」
「フリーター等の若者の再就職が困難となっている背景 ~企業がフリーターを正規雇用に登用するに当たってフリーター経験をどう評価するかについて見てみると、「評価にほとんど影響しない」が最も多く61.9%であるが、「マイナスに評価する」が30.3%と「プラスに評価する」の3.6%よりはるかに多くなっている(厚生労働省「雇用管理調査」04年)」
「(若者の)早期に安定雇用が実現されないと、将来の自立がますます困難となることが懸念されるだけでなく、彼らが持てる能力を発揮する機会が失われることは、我が国社会にとって大きな損失である。また、社会の支え手としても重要な役割を担う若者が安心して生活を送れない状況は、社会全体の基盤を揺るがすことになりかねない。」

第2節 高年齢者の生活と雇用の安定のための支援
「公的年金を受給している世帯の約6割は公的年金のみで生活しており、公的年金制度は老後の所得保障の主柱となっている。」
「公的年金制度については…低年金・無年金問題への対応等、基礎年金の最低保障機能の強化等が課題となっており、また、雇用機会の確保については… 希望者全員が65歳まで働ける継続雇用制度など高年齢者雇用確保措置の充実や、65歳を超えていくつになっても働ける社会の実現が重要である。」

第3節 障害者の自立支援
「雇用義務があるとされている56人以上規模の企業で雇用されている障害者は、身体障害者が26.6万人、知的障害者が54万人、精神障害者が0.6万人となっている。この結果を1997(平成9)年と比較すると、身体障害者は18.4%の増加、知的障害者は2.1倍となっており、2004(平成16)年以降は、着実に上昇してきている。」
「2008年度におけるハローワークにおける障害者の就職件数は、おおむね前年同期を下回って推移しているほか、障害者の解雇数も、2008年度上半期787人に対し下半期1,987人と大きく増加しており、今後の状況の悪化が懸念される」

第4節 母子家庭の自立支援
「母子世帯の1世帯あたり平均所得額は243万2千円、世帯人員1人当たりの平均所得金額は93万6千円であり、全世帯の1世帯当たり平均所得金額556万2千円、世帯人員1人あたり平均所得金額207万1千円に比べて低い水準となっている」
「就職率(就職件数を新規求職件数で除して算出した割合)についてみると、2007年度39.5%に対し2008年度は34.9%と前年度に比べて大幅に落ち込んでおり、厳しい状況となっている」

第5節 非正規労働者で生活困難に直面した人々等に対する支援
「就業形態別に自分自身の収入で生活をまかなう労働者の割合について2003年から2007年の変化をみると、派遣労働者(59.5%から70.5%)や臨時的雇用者(44.2%から53.3%)で上昇幅が大きくなっている」
「今回の景気後退期…正規労働者では残業規制等によって雇用の削減を伴う調整は抑制されていると考えられる一方、『臨時・パート等の再契約停止・解雇』が増加していることから、非正規労働者では雇用の削減を伴う調整が集中的に現れている」
「非正規労働者の雇止め等の状況について、2008(平成20)年10月から2009年9月までに実施済み又は実施予定として2009年7月21日時点で把握できたものは、約22万9千人」「住居の状況について判明した約12万5千人のうち住居を喪失した者は約3,400人(2.7%)」
「雇用の維持・安定等を図り再就職を支援するとともに、住居の確保など生活安定のための支援を両面から一体として行っていくことが必要である。」

 なお本文の方には「正規労働者に比べて収入が低い、能力開発の機会に恵まれていないなどの問題もあり、特に、雇用が安定していないというデメリットがある。」「一度雇用の場を失うと新たに職を見つけること自体が困難であるばかりか、得ていた賃金は家計補助というより主たる生計を立てるのに充てられている場合も多く、また、一般的には在職時の収入も低いことから、離職した後の一定の期間の蓄えもないことも多くあり、直ちに生
活困難な状況に直面してしまう危険もある。」とし、「こうした事態にならないよう、まずは、安易な契約解除や雇止め等雇用の打ち切りを行わないように行政として雇用主等に努力を求め、行政機関としても従来にも増して適切に対応を図って行く必要がある」
 と、雇用主の努力にも触れている。

第6節 生活困窮者の自立支援
「生活保護受給者数、生活保護世帯数は、1995(平成7)年度を底に上昇している」「生活保護受給者数の伸び率(対前年同月比)は、昨年秋以降の伸びが著しく直近の2009(平成21)年3月では対前年同月で5.6%の増となっている。これまでも生活保護受給者数と失業率の推移には相関が見られることから、受給者数の増加には雇用情勢の悪化が関係していると考えられる。」
「生活保護受給者が抱える問題は多様化しており、一人一人の生活面及び就労面のニーズに応じたきめ細やかな自立支援が必要である。
 また、生活保護を受給している世帯に育った子どもが、成人したのちに再び生活保護を受給しているなど、近時、『子どもの貧困』の問題が指摘される中、生活保護における『貧困の連鎖』を防止するため、就労支援と相まって、子育て及び子どもの学習の支援をより充実させる必要がある。」
「人々が生活困難に直面した場合に、生活に困窮してしまわないうちに、再び自分の足で立ち上がれるようにするという観点が重要である。このため、低所得者や離職者が生活困難に直面した場合に、生活に困窮してしまわないうちに、雇用施策と福祉施策が相まって直ちに支援の手が差しのべられて自立を維持できるような支援を行っていく必要がある。」

まとめ
「。社会的支援を必要とする人々にとって、生活の自立及び就労による自立は重要であるが、自立をめぐる状況は一層厳しいものとなっている。また、若者の雇用をめぐる状況も厳しく、非正規労働者についても契約解除や雇止めが急増し、生活困難に直面する人が増加した。
障害者や母子家庭の母等については、これまでも、雇用施策と福祉施策が相まって、経済的な支援を含めた生活面での支援を行いながら、意欲と能力に応じた就労を目指すための支援を行ってきたところであるが、例えば住居等の生活基盤を失った離職者に対しても、就職して自立するためには雇用面での支援と生活面での支援が両面から必要になってきている。生活困難に直面した場合に、生活に困窮してしまわないうちに、雇用施策と福祉施策が相まってセーフティネットとして機能することは、社会保障の重要な役割であり、人々が自立できるようにするための支援として欠かせないものとなっている。」

「昨今の厳しい経済情勢は、多くの国民の生活に影響を与え、人々が就労し、自立して生きていくということに大きな困難を与えている。
人々が生活困難に直面した場合に、生活に困窮してしまわないうちに、雇用施策と福祉施策が相まって直ちに支援の手が差しのべられ、自立を維持できるようにすることがセーフティネットの重要な役割である。雇用施策や福祉施策は、こうした機能を果たしてきているが、今後も一層充実させ、強化していく必要がある。」

【厚生労働白書:雇用と福祉施策、両面の拡充が必要 毎日8/25】  厚生労働省は25日、09年版厚生労働白書をまとめた。派遣など非正規雇用労働者の雇い止めで、職と住居を同時に失う人が多数現れたことなどを背景に、セーフティーネットを有効に機能させるためには「雇用施策と福祉施策の両面の拡充が必要」との考えを初めて打ち出した。雇用支援や生活保護などはバラバラに行われており、総合的な支援の重要性を盛り込んだ。  白書は、若者と高齢者、障害者、母子世帯、非正規労働者、生活困窮者の抱える現状を分析、対策を示した。非正規で働く若年者については、45%が就職活動の失敗や就職をあきらめた者と分析。母子世帯は、世帯所得が全世帯平均の半分以下の243万円で、仕事での所得は約200万円であるとした。さらに、就職率は07年度の39.5%から34.9%に落ち込んだ。  白書は現状を「昨今の経済情勢は人々が就労し自立して生きることに大きな困難を与えている」と分析した。その上で「人々が生活困難に直面した場合、生活に困窮してしまわないうちに、雇用施策と福祉施策が相まって直ちに支援の手が差しのべられ、自立を維持することがセーフティーネットの重要な役割だ」と訴えた。【東海林智】

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