要求運動と「産業振興計画」
12日、国民運動実行委員会の県の産業振興計画について、県議会での論戦を軸に「全体としてどうみるか」という報告の機会があった。短時間でアバウトなものだが、その視点は、①国政の枠内での発想の限界 ②弱い地域循環型経済の視点 ③「龍馬伝」「アンテナショップ」ありきの問題。
運動のあり方として、今がんばっている人の支援、福祉・教育・防災などを重視させることが地域循環型経済の点で重要ではないか、と要求運動の位置づけについてもふれさせてもらった。
「産業振興計画について」 (学習会での報告レジュメをもとに)
はじめに ~ 別に新しいものが出てきているわけではない
「これまでも努力が重ねられており、過去の計画と同じようなものになるのは当然」「課題を整理し、重点と方向性を県民や関連団体、市町村に示したことには一定の意味がある」(県議会質問より)
・新しい可能性はある
①これまでの県政の取り組みの土台(ボトムアップ、横のつながり、いち早い行政改革)
②自公政権の参院選敗北による国の地方への予算配分の是正 /経済危機対策での補正予算
~一定の「期待感」は、こうしたことで予算が確保できたことによるものではないか。
③自民党県議団らの党略的な県政攪乱がなくなった
◆産業問題への知事の認識
①県内のとりくみに構造的な問題がある ~ 中央政府の取り組みの肯定
知事答弁「本県の経済が厳しい状況にありますのは、三位一体の改革など国の施策だけに帰するものと、そのように考えるのは視野が狭過ぎる」「本県の経済には、根深い構造的な課題がある」
*/最近では、県営負担金の透明化~国が透明化すれば県も実施。/高知南国道路
吉野川濁水問題で現地が否定する国の取組みを積極評価
*農林漁業~ コメも野菜も・・作る人がいなくなる。
「強み」の一次産業の土台が崩れている。 オールジャパンの問題
*これまでの取組みの軽視 → 商品開発機構の一方的解消
②まちづくり、教育課題も「産業振興」に従属させる。
地域支援企画員/ 各地での住民参加のまちづくりや、地域活動への支援が軽視されることへの懸念がある。
・集落維持という活動は、「産業振興」の視点だけでは評価できない
・子どもの貧困対策 →「産業振興計画で所得を増やす」(知事)
◆地産外商について
~ 知事「県際収支の大幅な赤字」「狭くなる県内市場」という点から「地産外商」をうちだしているが、公的サービスで県内に落ちてくるお金も含めて、どう地域内循環、地域内再投資を高め、今がんばっている人を支える観点が極めて希薄。この分野こそ指標、目標を持ち高めていくべき。
①そもそも「地産地消」「地域内再投資」とかは、従来型の経済政策の反省から出てきたもの。
人口減の小さな自治体で、その力を発揮してきた ~ 長野県・栄村
②地域循環型経済が「柱」となっているか
・一次産業 ~ 給食、住宅建設で、県内資材の活用を目標として持つ。
「高知市の学校給食」は焦点の1つ
・公共事業 ~ 建設土木 / 維持補修・改良などへのシフト、入札改革、林業・環境などとの連携
業種転換、整理淘汰だけでなく育成の中長期計画を
・医療・福祉、公的サービスは大きな柱になる
3年間のモデル事業「あったかふれあいセンター」の設置以外はない。/国の枠内の療養病床再編計画
医療部門は県内総生産の11%を占め、リネン関係、給食関係など関連産業も多く、マンパワーがサービス充実に直結していることから、雇用効果は、他産業よりも大きいが、産業としての位置づけがない。
・公的サービスの県内総生産への貢献度を目標をもって高める発想が必要
☆「地産外商」とは、言葉は新しいが古い発想 ~ 「農産物を輸出する」という政府の発想と同一
・「直販所の販売額が2けたの伸びを示すとき、こういうときには加工品の販売額もまた10%前後伸びるという結果」(知事答弁)のように、地産地消の徹底が、基本。
・先日の町村長との懇談で強い批判の声。
「“コスト削減、販路拡大”というがそんなことは長年やってきた。木材の価格保障、1立米1万円プラスすれば県全体で20億円かかるが、そうした事業が今必要」「バイオマスというが上手く言ってないのは理由があるわけで、計画に載せたら出来るというものではない」などの主旨の発言。
~知事の発言は、価格保障は米の食管制度と同じことになると否定。「外商」についても、商談会を設定するという従来からの話で、財団法人になるメリットも「契約まで踏み込める」という程度のこと。
③執行体制~ 命令系統の二重化、責任所在の不明化
産業振興推進部と各ブロックの地域産業推進監を配置~農業・林業・水産業、商工業の各分野が重点的に取り組みと、命令系統が二つとなり、責任所在が不明確となる。人員がふえないもとで、屋上屋を重ねた調整のための会議が増え、実働時間がなくなる、と現場サイドから批判の声。(県議会質問より)
◆「龍馬伝」「アンテナショップ」ありき
①大河ドラマありきの観光
・観光振興/大河ドラマありき。土佐の自由民権運動、憲法の源流(女性参政権、「日本国国憲案」)の位置づけなど本物を体感できる歴史観光資源の磨き上げが弱い。
②膨大な無駄づかいになる危険・・・アンテナショップに固執
・ほとんどどこも成功してない。年間、何億円もかけて運営することの必要性、効果はまったく不透明
設置は31都道府県~「銀座・有楽町エリアにある北海道や沖縄県のアンテナショップは、豊富な品揃えと地域性を演出した店構えにより、年間200万人を超える来店客数があると言われています」(知事)は語るが、観光客の数を比べたらわかるように独特の歴史、自然の魅力の差を無視した話
・運営財団~ 官民共同といいながら、民間は参加せず。リスク分担など枠組みが不明確なまま県のみの出資でスタート(具体的役割/町村長との懇談での説明/商談会の設定、「財団になれば契約まで踏み込める」)
◆人材育成
・都会的なバーチャルなものではなく、本物に価値を見いだす視点の強化
一次産業への価格保障・所得補償の抜本的強化 /木材1立米1万円上乗せ 年20億円
公益的機能の試算
自由民権、憲法源流の地としての歴史・文化への誇り
☆「都会の人工、バーチャルに対し、高知は自然、本物で勝負することが大事。都会的経済的豊かさでない自然や人間的な豊かさ、その価値に自信と誇りを持つことが計画を生きたモノにする。結局はそういう人づくりがカギとなるが、『計画』は、基本がはっきりしない」(高知県自治体問題研究所・学習会 福田先生の指摘)
◆その他 県政上の重要な視点
(1)中核市・高知市はずし
これまで乳幼児医療費無料化などの施策もすべて平等にあつかってきたが
今回、「保育料の第3子以降の3歳未満児の無料化」については、高知市を除外・・・
これは、県政運営の基本にかかわる大問題・・・
(2)政権交代を前にして・・・
・霞ヶ関は来年度予算の作業がストップしている ~ 県政としても見通しがたたない状態では…
・高知県にかかわる大問題
①国庫補助負担金19兆円を一括交付金化して、4.3兆円削減する
②日米FTA締結 所得補償(1農家平均57万円)は、自由化の促進措置
野菜・果実は対象外なので、高知県への打撃は極めて大きい
③保育の設置基準の自由化など、国の基準の廃止
「子ども手当て」とは、施設から利用者補助への転換。バウチャー制度への布石
◆終わりに
国の補正予算とあいまって、長年の課題に対応できるようになったと「期待」する自治体がある一方「絵に描いたもち」という自治体幹部の声がある。
町村長と知事との意見交換会でのやり取り、アンテナショップ財団への民間団体の参加見合わせなど・・・を見ると、
①地域循環型経済を主軸に、今がんばっている人を支援する視点
②教育・福祉など県民生活さええる公的サービスの産業としての位置づけ
③その視点から地方から国へ大きな政策提言する構えの問題
(中山間地の所得補償、1.5車線、環境保全型農業、排出権取引、協働の森などなど・・・)
④アンテナショップや「龍馬伝」ありきの計画など、拙速・ムダ使いへのチェック
が重要と思われる。
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