国保の窓口負担減免で「前向き」通知
7月1日、厚労省は、国保の一部負担金減免の積極的な活用を求める通知を、都道府県、指定都市、中核市の部長宛に出している。
「生活に困窮する国民健康保険の被保険者に対する対応について」
同通知は、医療機関の未収金の要因に「生活困窮」があるとし、「一部負担金減免制度の適切な運用」が「未然防止」を可能とし、
①減免制度の基準や運営方針について、医療機関等との連携により、適切に制度が適用されるよう努める。
②国保と生活保護との連携強化。相談におとづれ場合は、一部負担金減免制度、生活保護などについて十分な情報提供ときめ細かな相談対応ができるようにする。
ことなどを求めている。
高すぎる窓口負担が・・・未収金問題として噴出しているのである。
国保には、市町村が減免制度を独自に作ることができると法律で決まっているにもかかわらず統一基準もなく、国による財政援助もない。
この点について、6月18日、小池晃参院議員が、国会で、厚労省の未収金問題検討会の報告書が一部負担免除制度について「市町村への財政影響への懸念に対する配慮等の対策を検討すべき」とあることを示して、「本来すべての自治体で実施されるべきだ。自治体の半数近くで制度がないのは問題だ」「国の責任で減免制度の拡充を図るべきだ」と追求した。
通知は、この追求を受けてのもの。
国会論戦では、基本の考えが議論されている。
小池晃「大臣、基本的な認識をちょっと聞きたいんですけど、やっぱりこれ、今こういう社会状況、苦しい人が増えている中で、この制度をやっぱり前向きに広げていくという基本姿勢で臨むべきじゃないかと思うんですが、その点について、大臣、スタンスをちょっと言ってください。」
桝添大臣「滞納者の中に悪質なやつもいるわけですね。これに対しては厳しく当たらないといけない。しかし、生活が困窮してどうしてもという方に対しては、それはセーフティーネットを更に広げるという方向で努力すべきだと思っております。」
と、「生活困窮者へのセーフティネットを拡充する方向で努力すべき」というもの。この基本認識が大事である。
なお、厚労省は、近く統一的な運用基準を示し、今年度数十の市町村を対象にモデル事業を実施する予定。その上で、来年度から同制度を実施する市町村への財政支援を行う方針とのこと。国が市町村に交付している「特別調整交付金」を使って、減免分の半分程度(半分かよ!)を国が手当てできないか検討している。
ところで厚労省の調査で、一部負担免除で「低所得」対象が155自治体(高知県内も4自治体となっていた!?)あるというが、問題は「収入が著しく減少」「類する事由」の扱いにかかわる。
たとえば、厚木市は「対象世帯の実収月額が前年の平均実収月額と比較して50パーセント以下に減少したとき」になっている。高知市は「3割以上」となっている。
低所得だけでなく、前年より収入が大きく減っていなくてはならない。恒常的な低所得者は対象となりえないのである。
この規定があるため、大きく利用が制限されている。 この規定の弾力化、改善が必要である。
窓口負担を軽減し、「早期発見早期治療」を実践するため、西和賀町(旧沢内村らが合併)は、65歳以上の住民に「老人医療費給付制度」がある。
「医療機関に受診してかかった費用の内、患者一部負担金の外来の場合は、1,500円、入院の場合は5,000円を差し引いた額が給付されます。ただし、介護保険料徴収段階が世帯非課税(第一段階から第三段階)の方は患者一部負担金の差し引きはしません。」
7千人強の町で、病院経営に、国からの交付金分で1億2千万円、市単独で4千万円を投入して、予防を中心とした「安心」を提供している。
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