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「FTA締結と農家補償」はカップリング

「私は、農産物については基本的に全面自由化論者」(06年4月18日記者会見)。その小沢氏が、日米FTA締結めぐっての同党幹部の「ぶれ」に異議を唱えている。
FTA締結の影響、農家補償で回避…民主・小沢氏 読売8/8
【民主党 日米FTAで「分かりやすく」文言修正 締結を打ち出すこと自体が分からないのだ 8/5農業情報研究所】
090809055

マニフェストについては小沢氏が正しい。農産物の輸入自由化が前提であるからだ・・・ 昨年配布されたビラを見てもわかる。


「民主党が政権になれば・・ 日本の農家は生き返る
☆コメがたとえ1俵五千円になってしまったとしても
☆WTOなどで外国から安い野菜・果実・肉が入ってきても
全ての販売農家や酪農家・林家の所得は補償されます。
例 市場価格5000円 + 補償額10000円以上 =合計収入15000円以上」
 
 と、輸入自由化を前提としている。カップリング政策である

そもそも所得補償は、デカップリング政策である。価格保障など生産意欲を刺激する政策でなく、農業所得の減少を生産を刺激しない程度に直接補償するものである。
これは、EUが保護政策によって生産過剰となった小麦を輸出に振り向けた。その輸出補助金が、アメリカとの競争で膨大な額となり、また、異常に安い小麦がアジア、アフリカなどに流入し、現地の農業を破壊するという内外の要因から、保護政策を転換、生産意欲を刺激する機能を無くし、しかも、生産量減少にともにう農民の所得減を補償し、全体として保護政策予算の減少を狙ったものである。
つまり「生産刺激策」とカップリング(連動)でない方法で「デカップリング」と呼ばれる。
 
  これで自給率が上がるというのはわからない。

世界最大の農業大国であるアメリカは、日本の農産物輸入の32・5%(08年、金額ベース)をしめている。そのアメリカとの自由貿易協定が、農業抜きに行われるわけがない。
農林水産省の試算によるとEPAやFTAで関税などの国境措置が撤廃された場合、日本の農業総生産額の42%に相当する3兆5959億円が失われ、食料自給率が12%に低下すると試算している。

 所得補償・・・1兆円でたりるだろうか。

所得補償の制度設計もむつかしい。まじめにつくらない方が手取りが増える、という懸念がある。味のよしあしはどう評価されるか。値崩れと売れ残りの大量廃棄につながりかねない。補償額がもっと膨大になるかもしれない。

そんな状態がつつけば、税金投入を続けることに、国民の理解を得られるだろうか。
 
 農業安楽死への道ではないか。
 
自民党の中川秀直はこう述べている。
「民主党の農業戸別所得補償は総額1兆円。これを175万販売農家で割ると57万円。1戸当たり60万円支援で農業貿易を自由化するというのが民主党農政である。私には、この60万円は『貿易自由化に伴う農業手切れ金』にしか思えない。一戸当たり60万円の戸別所得補償の民主党農政で若者は日本農業に夢を持つことができるだろうか。答えは全くNOである。」
 
 ・・・・ 農業つぶしの自民党に言える資格があるのか、という問題はあるが、この限りでは正しい。

【FTA締結の影響、農家補償で回避…民主・小沢氏 読売8/8】  民主党の小沢代表代行は8日、先月発表した衆院選の政権公約(マニフェスト)に盛り込まれた米国との自由貿易協定(FTA)の締結に関し、農業の戸別所得補償制度の導入で農家への悪影響は避けられるとの考えを示した。  小沢氏は鹿児島県肝付町で記者団に「輸入品は国内産より安いだろう。しかし、市場価格が生産費を下回れば、不足分は支払う制度を作るのだから何も問題ない」と述べた。  民主党は農業関係者からの反発を受け、「締結」から「交渉を促進」に表現を弱めることを決めたが、小沢氏は「農協がわいわい言っているケースもあるようだが、ためにする議論だ」と不快感を示した。ただ、「(修正は)担当者に任せてある」とも語った。
【民主党 日米FTAで「分かりやすく」文言修正 締結を打ち出すこと自体が分からないのだ 8/5農業情報研究所】 民主党の鳩山代表が4日、党本部で開いた会見で、衆院選マニフェストに盛り込んだ日米FTA締結の方針について、「分かりやすく直すことが必要」と述べ、農産物の自由化が前提でないことが分かるように文言を修正する方針を示したということである。「書きぶりは最終調整中」という。

 また、管代表代行も札幌市で開かれたマニフェストの説明会で、「食料自給率の向上や農業を子供の代まで[だけでよろしいのか。永久にではないのか―農業情報研究所]安心して続けられることを基本とした農業政策と矛盾したFTA交渉をすることは一切ない。そうした趣旨をしっかり盛り込んでいきたい」と強調、具体的内容は「遅くとも今週中に示したい」と述べたという(以上、日本農業新聞 09年8月5日 1面)。

「分かりやすく」ということだが、ますます分からなくなるだけだ。何故、日米FTAにこだわるのか。一体何のために、日米FTAを締結しなければならないのか?日米FTA締結は、「緊密で対等な日米関係を築く」をいう目標を達成するための行動の一環として提起されているのだから、それがこの目標の達成に役立つこと、あるいはこの目標達成の障害を取り除くことが示されねばならない。米国がしつこく日米FTA締結を迫っており、これを拒否し続ければ日米関係が損なわれるとでも言うなら、一つの理由にはなるだろう。しかし、そんないう差し迫った状況があるわけでもない。

 他方、FTA締結は経済利益を目的とした行為だから、「緊密で対等な日米関係を築く」という政治・外交目的の実現とは直接的には関係がない。それによって双方の国民経済・国民生活が利益を得て、結果的に両国関係が良くなるということは考えられる。しかし、これも幻想に近い。

 FTAは、比較優位が正常に(完全に)働く貿易関係を築くことで双方の貿易利益を最大にし、これによって双方の国民経済に利益をもたらすことを目的に締結される。つまり、米国が日本に対して比較劣位にある自動車産業から労働や資本を引き上げ(自動車は日本からの輸入に依存)、農業に特化すれば、米国経済に多大な利益が転がり込む。日本は比較劣位の農業から労働や資本(土地=農地を含む)を引き上げ、自動車生産に特化することで利益を得る。これが自由貿易(あるいは国際分業)の経済理論である。

 しかし、このような理論が想定する経済的利益が実現すると考えるのは幻想だ。米国の自動車産業労働者、日本の農業者はどうなるのか。大量の米国自動車産業労働者の農業への円滑な移動と、日本の高齢者も含む大量の農業者の自動車産業への円滑な移動ができなければ、この経済的利益は実現できない。そんなことができるだろうか。その上、日本は、農産物の「自由化」(多分、輸入割当の廃止や関税撤廃のことを言っているのだろう)はしないというのだから、米国は何の利益も実現できない。

 仮にこれが実現できたとしても、両国は、莫大な非経済的価値を失う。日本は農業・農地・農村を失う。これは、国民生活にとって、経済的利益では償えない巨大な損失である。米国民にとっても同様であろう。FTAが両国に利益をもたらし、「緊密で対等な日米関係を築く」などということには、そもそも何の根拠もない。

 日本の農業への影響ではない、日米FTA締結を提起すること自体が問題なのだ。いつになったらこれに気がつくのだろうか

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