日米FTA、高速無料化・・・自動車産業の願いと一致
自民党農政への怒り、しかし、民主党がすすめる日米FTA協定への懸念について各紙が報道している。
今月、12日に農協を中心に緊急集会が開催されたが、その中で、東洋大学名誉教授・服部信司氏が「米国内には日米FTAを求める声はほとんどない」、だから「交渉入りすれば多大な要求を突きつけられる」との発言が注目される。
日米FTA断固阻止 緊急国民集会特集
。
その理由は「(米国の)政権の最優先課題は国内経済。世界貿易機関(WTO)交渉でも国内業界は有力途上国への輸出拡大を求めている。日本は大量の穀物をすでに輸入している。日米FTAを結ぶ理由がない。」というもの
だから、「日米FTAが交渉入りすれば、米国から日本農業の壊滅につながる多大な要求を突きつけられることは明らかだ。締結はもちろん、交渉の促進も日本にとって不要だということを広く日本国民に明確に示すべきだ。」
と述べている。
「このポイントが大事」と、県内の農業関係者から電話を頂いた。
米国は、農業では日本にもう随分輸出している。一方、ビックスリーの破綻など国内製造業の建て直しに努力している。もし、その自動車輸入関税を引き下げるとなると、日本側に大幅な見返りを要求される、農業抜きの締結はありえない、というもの。
日米の貿易の状況を見てみよう。
最近の日米経済関係について 2007年5月8日 経済産業省通商政策局長
からひろってみると・・・
「最近の日米経済関係について 2007年5月8日 経済産業省通商政策局長」
◆主な高関税品目と税率
・米国
乗用車2.5%、商用車25%、薄型テレビ5%、カムコーダー(ビデオカメラ部品)2.1%
・E U
乗用車10%、薄型テレビ14%、複合機6%、カムコーダー4.9%
◆日米貿易の無税・有税分野の割合、構成比
・日本の対米輸入(6兆9,417億円)
鉱工業品74.99% (無税64.96% 有税10.03%) 農産品25.0%(無税12.97%、有税12.03%)
(出典)財務省貿易統計
・日本の対米輸出(15兆9069億円)のうち 無税41.00%、有税59.00%
有税の内訳 輸送機器34.86%、電子電機機器7.03%、一般機械6.98%、光学機器2.11%
米から日本の輸入( 6兆9417億円) 無税80.34%、有税19.66%
農産物の有税の内訳 肉2.42%、魚2.14%、果実1.15%、その他農産物3.92%、
農産物の無税の内訳 穀物5.36%、採油用2.38%、その他農産物3.05%
・対米輸出で、高関税となっているのは、車、テレビ、ビデオカメラなど自動車、電機関係
・有税は、日本20%、アメリカ59% と日本は無税が圧倒的
・日本の有税のうち、半数が農業、アメリカは車、電子機器がほとんど
・日本の農業のうち、すでに無税が半分と、農業でも無税は少なくない。
つまり、FTA締結は、現時点では、米国の要求ですらなく、日本の自動車、電機メーカーの要求でしかない。
高速道路の無料化もそうだが、財界、連合(民間大企業を中心とした旧同盟系労組を軸に)の要求が民主党のマニフェストにはしっかり反映している。
鳩山氏の家系がブリジストンということが関係あるとは思わないが・・・
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