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雇用安定と格差縮小で内需拡大を 09労働経済白書

 財界主導の「労働の規制緩和」がもたらした社会・経済の歪みを09年版「労働経済白書」が示している。
「雇用安定と格差縮小目指せ」労働経済白書 産経6/30製造業・登録型派遣のあり方再検討求める 労働経済白書 朝日6/30
社説:雇用悪化 失業対策に近道はない 毎日7/1平成21年版 労働経済の分析 -賃金、物価、雇用の動向と勤労者生活

 白書は、非正規労働者が雇用の調整弁としてつかわれ、若者中心に被害が拡大したとし、「製造業派遣、登録型派遣のあり方を中心に検討を深める必要がある」「非正規労働者の正社員化や長期雇用システムの活用で雇用の安定や格差縮小を図り、内需の拡大や経済の底支えにつなげるべき」「長期雇用を柱とした日本型雇用慣行を評価し、従業員の職業能力向上を進めるべき」と主張している。

 日本共産党のかねてからの主張とかぶってきた。

 また、白書は、資本金10億円以上の大企業では、2000年以降、内部留保と株主配当を増やしたが、賃金にまわる部分は「あまり大きくならなかった」と指摘している。賃金低下傾向の原因として、小規模事業所の賃金の連続低下、非正規雇用の増加を原因としてあげている。
  

【「雇用安定と格差縮小目指せ」労働経済白書 産経6/30】  厚生労働省は30日、2009年版の労働経済白書を発表した。景気低迷で雇用不安が続くなか、非正規労働者の正社員化や長期雇用システムの活用で雇用の安定や格差縮小を図り、内需の拡大や経済の底支えにつなげるべきだと主張。長期雇用を柱とした日本型雇用慣行を評価し、従業員の職業能力向上を進めるべきだと訴えた。  白書は07年秋に始まった今回の景気後退を、1997年以降の金融不安など過去2回の不況と比較し、今回は残業削減や非正規労働者の雇い止め、解雇が多いと指摘した。一方、残業の抑制や休日増加などで正社員の削減は抑えられており「(雇用削減は)非正規労働者に集中的に表れている」と分析。非正規労働者の雇用維持の取り組みが重要とした。  長期安定雇用は、7割近くの企業が今後も多くの社員を対象に維持したいという調査結果を紹介し、長期雇用の人材育成機能が評価されていると分析した。

2009年版労働経済白書のポイントは次の通り。
・02年からの景気回復で企業は非正規労働者を活用し賃金を抑制。所得格差が拡大し、すそ野の広い消費には障害。
・今回の不況を情報技術(IT)バブル崩壊や1997年以降の金融不安時と比べると、非正規労働者の雇い止めや解雇が大きく増加。雇用削減は非正規労働者に集中。
・業績・成果重視の賃金制度は勤労意欲の低下など問題も。大企業で導入機運が急速に後退。
・政労使一体的な取り組みで雇用の安定を確保し、長期雇用システムの基盤を守るべきだ。
・職業能力を向上させ、所得増加や格差縮小を通じた消費拡大の実現を。


【製造業・登録型派遣のあり方再検討求める 労働経済白書 朝日6/30】
 厚生労働省は30日、09年版の「労働経済の分析」(労働経済白書)を発表した。07年秋以降の景気後退期では、残業規制などを活用した賃金カットとともに、派遣など非正社員の集中的な雇用削減が進んだと指摘。派遣労働について、「製造業派遣、登録型派遣のあり方を中心に検討を深める必要がある」と踏み込んで提言している。
 白書は、07年秋からの景気後退期と、08年秋以降の経済危機が、賃金や雇用にどう影響したのかを分析した。
 賃金については、従業員数が5~29人の小規模事業所では01年から減少が続いた。このため02年からの景気回復の成果は働く人には十分に還元されず、「回復の実感が得られる前に、厳しい状況へ後退した」と分析する。
 後退局面に入ってからは、過去の後退期より速いテンポで賃金の減少が進んだ。07年にはボーナスが3年ぶりに減少に転じ、08年には残業時間の減少で残業代などの所定外給与も6年ぶりに減った。白書は、企業が過剰な労働力を調整するために、希望退職の募集や解雇ではなく、残業規制など労働時間の短縮という方法をとったと分析する。
 ただ、雇用維持の努力は正社員に限られ、派遣やパートなどは集中的に減らされた。97年と00年から始まった過去2回の景気後退期と比べても、非正社員の解雇や雇い止めという方法を選んだ企業は増えており、白書は非正社員も含めた雇用維持の取り組みを求めている。

【社説:雇用悪化 失業対策に近道はない 毎日7/1】  雇用・失業情勢の悪化が依然として止まらない。5月の雇用統計は「過去最悪」のオンパレードだ。  有効求人倍率は0.44倍となり、63年1月に調査を開始して以来、過去最低となった。完全失業者数は前年同月に比べ77万人増え、これも過去最大の増加幅だ。完全失業率は5.2%に上昇、過去最悪の5.5%を突破する可能性が強まっている。  厚生労働省は「雇用・失業情勢は、さらに厳しさを増している」と、判断を下方修正した。生産は持ち直しつつあるが、雇用・失業情勢は予断を許さない。景気が回復しても、失業率が改善するまでには半年~1年かかるといわれる。雇用悪化の状況はまだ続くとみておかねばならず、持続的な取り組みが必要だ。  公表された09年版「労働経済の分析」(労働白書)は、昨年秋以降の不況下と90年代後半以降の2回の景気後退期とでは、異なる雇用調整が行われたと分析する。90年代後半では、正社員のリストラを実施したが、今回は解雇を抑制し、残業短縮などで対応、一方で派遣労働者など非正規雇用労働者の雇い止めなどを集中的に実施したと指摘する。  非正規労働は経営者にとって使い勝手のいい労働力と言われてきたが、今回の不況では、まさに調整弁として使われたわけだ。非正規労働者の処遇改善を今後の雇用・失業対策の柱として位置づけるべきだ。  労働組合や市民グループが昨年末、東京・日比谷公園に開設した「年越し派遣村」が30日、解散した。派遣切りの実態を明らかにし、非正規雇用の問題点を市民に広く訴えた意味は重く、政治と行政が対応に乗り出さざるを得なくなる状況を作り出した。派遣村は解散したが、決して非正規雇用の問題が解決したわけではない。派遣村が投げかけた問題提起を重く受け止め、これからの雇用・失業問題の改善を図っていかなければならない。  非正規雇用問題では、同一労働・同一賃金原則の確立、処遇改善や雇用確保など、課題は多い。今回、社会問題化した非正規切りに対する歯止め策も検討課題だ。  雇用・失業対策を短期と中長期に分けて挙げてみたい。短期では、失業者を増やさない対策を打つ。雇用調整助成金の活用などもその一つだ。失業者には職業訓練で能力をつけさせて就職につなげる。中長期では、非正規雇用から正規雇用への切り替えを進める。失業率が高い若い人の職業教育や能力開発を充実させる。さらには環境など新しい分野での雇用を創出することだ。  雇用・失業対策に近道はない。足元の現実に目配りし、同時に長期展望をもって取り組むことが必要だ。

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