中小零細建設業者が市に公共事業発注で要請
小泉「構造改革」は、「三位一体改革」による地方財源の切捨て、公共工事予算の「選択と集中」による巨大プロジェクト中心へのシフトにより、地域の中小零細の建設業者の仕事が激減しています。
その上、高知市は前市政の野放図な大型事業の拡大による財政危機で、投資的事業の縮小を余儀なくされています。
こうした中、高知市内の中小零細の建設業者のみなさんが「やむにやまれず」の心境から連帯し、要望書に130社の社長さんが署名・捺印。
2日、高知市に対し、公共事業の発注問題で要請。約一時間にわたり意見交換をしました。
回答では、地元業者の育成では同じ考えであること、最低制限価格は10月に引上げることで検討していること、また公共工事の情報公開・技術講習会の開催で前向きの答弁があり、専任技術者の現場管理人との兼任禁止問題でも緩和に向け独自の対応ができないか協議しているなどが示されました。
【要望項目】
1、小規模の公共工事(B、C、D級)の発注時期を繰り上げて優先発注してほしい。
2、工事金額について、経済効果が高く雇用効果も高いB、C、D級クラスの一般公募と指名工事を優先すること。
3、最低制限価格を県並にひきあげること。具体的には現場管理費を県並に70%に引き上げること。
以下、意見交換を傍聴した私のメモから
(◆「会」側 ◎市側 / テーマ毎に、発言は、整理しなおしています。)
【要望書と要望趣旨について ~ 雇用、経済対策として、小さな工事の重視を】
◆ 国も雇用対策に力をあげているが、地域の零細建設業は、地域経済と雇用を下支えしており、即効性もある。防災の観点からもその存続には社会的価値がある。
このままでは、秋風の吹く頃には、雇用を支えきれなくなる業者が続出する。発注がAランクのものが中心。ぜひ小さな仕事を優先して出してほしい。
最低制限価格は、5月から県がひきあげたが、高知市も引上げてほしい。
・4月以降の発注状況を見てもAクラスばかり。A級の仕事がにないことも理解しているが、経済波及効果、雇用効果を考え、B-D級に早急に出してほしい。要望した130社が仮に平均5人を雇用していても650人の雇用を確保。地域の雇用を下支えしている。
自治体が雇用対策に取り組み、日本全体で雇用の確保が大きな課題となっている時期。雇用、生活のセーフティネットとして大事。
町内会連合会の話を聞いても、側溝・道路を直してほしい。ガードレールやカーブミラーをつけてほしいなど身近な要求がどっさりある。ぜひ小さな仕事を優先してだしてほしい。
今回、やむにやまれん気持ちで立ち上がった。このままで秋風の吹く頃にはバタバタ倒産し、雇用も守れない。130名の業者は、高知市の発注がすべて。県や国からの発注はほとんどない。建設協会の線ではなく、市に関わる発注業者が主体として要望することとなった。
◎市側
・大変厳しい中で苦労していること認識している。なんとか仕事を確保したいという観点では同じ。発注は出来るが切り市内でと努力している。
最低制限価格は最近は毎年改定。4月に改定したばかりだが、検討中で10月にも引き上げは実行できると思う。
・建設の発注。工事事態が2001年と比べ、3割、4割に縮小。計画的で効率的な工事が求められている。
雇用の下支えから、前倒し発注に努力。9月までに大半、9割ほどを発注するようにしている。
「B-Dクラスの優先」。コスト、品質確保が求められる。分割発注が適しているか総合的に判断して選択。もう少し方法がないか検討していく。
・水道。今年は特殊で、国の2次補正の対象となった。その事業は21年度中に必ず完成しなければならない。5千万円以上の大きな工事の発注が優先した。これから5千万円以降の事業が出て行く。
◆3月に400万円の工事を請けても、職員が減らされているせいか、市の都合で検査が2、3ヶ月かかる。また、契約上のしばりで1件しか入札に入れない。これでは干上がってします。
コスト削減は大事だが、雇用問題が緊急課題となっているとき、分割できるものは分割し発注してもらえば、雇用面でも即効性がある。工事そのもののコストだけでなく雇用もふくめた全体を考えれば高いとは言えない。雇用、経済効果も考えた対応を考えてほしい。
◎現場の状況を見て、これなら分割しましょう、と判断している。今年、一般土木発注の158件のうち155件がB-Dクラス、13.9億円。A級3件。金額は6.6億円。(A級は約50社、B-D級は約350社)。
道路維持では、B級以下が多い。舗装は機械を持っているAB旧になる。
◎出来るだけ県内の企業が取れるように努力している。下水であれば他県が技術をもっていた。県外と県内をジョイントを組んで技術を高める工夫をし、今は県内同士のジョイントを組むことをしている。基準を緩和して、A級にBTが入れる。B級にCも入れるように変えてきた。出来るだけ機会を拡大し、BC級も技術力をあげる、技術の伝承ができるよう考えていく。
【専任技術者の現場代理人との兼任禁止について】
◆営業所の専任技術者が現場代理人と兼務できなくなった。不満の声が多い。緩和できないか。どういう理由でそうなったのか。
◎国の契約約款のモデルで、現場に専任しなくてはならない、となっており、県からの指導、通知もあり、市も、これまであいまいだったが、営業所の専任技術者は現場代理人になれないとの対応に是正した。小さな会社では大きな問題になっている。
ただ、技術者は、営業所の専任でも兼務できる。会社から近い場合が認められているが、その範囲は、市町村の管内。つまり高知市全域。
他の自治体で基準を緩めていく方向が出ている。改善を求める声を聴いているので、市として独自の対応ができないか協議している。
【下請け保護】
◆大きな工事の下請けに入った場合、日当程度で原価を割っている。「直工経費を割れ」と元請に言われる。保険料も含めると一人1日1万5千円になるが、下請けの場合は、1万2千円~3千円しか払われず、会社の持ち出し。小さな工事を発注してもらえば、直接雇用にもなるし、1万3千円をきちっと払う。この実態を知ってほしい。
◎発注件数ではB-Dは中心となっている。下請けについては、適正発注になるよう今年から施工通知書に、請負価格、代金の支払いなどの注意事項を記載しお願いしている。今後は、事後のフォローをしていく。代金の支払いなどを確認する仕組みを検討する。
【情報公開、技術講習】
◆制度が4月1日にパンと変わる。対応がしようがない。
・県のように高知市も年一回、来年はこう変わりますと技術講習をしてほしい。協会には、市は技術説明しているが、高知市で地区協会に入ってるのは130社。指名業者の3分の1に足らない数。
たとえば、下水道マニュアルが指名業者に行き渡ってない。指名業者には知る権利がある。協会に入ってるものは配布されるが、それ以外のものは協会で5千円で買う。市が無料で提供したものを協会が売っているのもおかしいのではないか。高知市で適切な値段で配布するか、ダウンロードできるようにするか、講習会をやって、そのテキストとして購入するなど改善を。協会に伝えてあるということだけでなく、多くが協会にはいってない現実に対応し、情報を等しく公開してほしい。この会としても今後、勉強会をすることも検討しているが、市は対応してくれるか。
◎講習で技術をあげていく。下水は県外からの技術。それを協会を通じ勉強してきた。市としては、そこを通して技術をあげてほしい、と考えている。
情報の公開は、その仕方を検討する。
技術的勉強をしたい、という要望があれば対応する。ただし、日程上、(協会と)合同の開催となるかもしれない。
◆下水・推進工法。受注して途中から推進工法に変わった場合、実績となり次から入札に入れる。しかし、実際の工事は県外の下請けにまるなげ。だったら市が講習をしてそれを受講したら推進工法の工事にも入れるようにできないか。
◎推進工法は仕事は下請けが実施。現場監督の経験があればよい。それで30メートルの実績とかを省いた。また、上水と下水でどちらかで実績があればいいように改訂した。下請けでも経験となれるよう19年度から変更している。できるだけ県内業者に入れるように変えてきている。何をすれば、何に入れるようになるか様々規定があるので見てほしい。
【最後に】
◆春名 130名の方の署名は大変重い。そこをきちんと受けとめて改善をお願いしたい。
◆下本。市長にキチンと意見を伝えてほしい。3つの要望、専任の件、講習会の件などできるだけ文書で回答ほしい。
◎ 市/どんな形で回答できるか、検討させてください。
~ なお、交渉では「一件規制」と、意欲のある業者の育成の問題での意見交換がありました。
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