展望持てず、自信・やる気喪失 中高生で約半数
ベネッセ教育研究開発センターが7/10に発表した生活時間の調査 「6割が『忙しい』『時間を無駄に使っている』を肯定。 時間の使い方に課題がみられる一方で、楽しい毎日を送る子も多い」と題してレポートを発表している。
小学生~高校生を対象とした放課後の生活時間調査
小中高生、忙しい・疲れやすい ベネッセの生活実態調査 共同7/12
特に注意をひいたのが・・・未来への展望と現在の意欲との関係。
将来について「幸せになれる」が中高校生で5割台、目標がはっきりしているが4割台。「自分に自信がない」「やる気がおきない」が同傾向の数字で、小学生4割前後、中高生6割前後となっていること。
中高生の半数が将来幸せになれると思わず、自信もなく、やる気もない。以前、競争主義の強まりの中で、競争からさっさと降りてしまう子どもが増大していることを紹介したが・・・ 人間は、見通しがあるから頑張れるのであり、その基本の部分がこわれているのを感じる。
だから、今を楽しむという傾向がでるのは無理もない。
先日の労働政策研究研修機構の「若者問題の接近」のシンポの中で、実生活と結びつかない受験勉強の問題を紹介したが、今の競争教育が、若者の自立をますます困難にしていることをあらためて感じる。
【小中高生、忙しい・疲れやすい ベネッセの生活実態調査 共同7/12】 忙しくて疲れやすく、もっと眠りたい―。ベネッセ教育研究開発センター(東京)が、全国の小学5年生から高校2年生までを対象にした「生活時間の実態と意識調査」で、回答者全体の57%が日々の生活を忙しいと感じ、54%が睡眠時間を増やしたいと考えていたことが12日、分かった。 調査は昨年11月実施。質問書を2万5716人に郵送し、8017人から回答を得た。 調査結果によると、「忙しい」と感じているのは小学生の49%、中学生59%、高校生64%。「疲れやすい」と答えたのは小学生52%、中学生68%、高校生71%で、中学生になって多忙感や疲労が急増した。 小5で8時間36分あった平均睡眠時間は、学年が進むにつれ徐々に減り、高2では6時間32分。一方で、学校の宿題以外の勉強をする時間は小5で32分、高2で36分に対し、中3は92分。 調査を担当した明石要一千葉大教授(教育社会学)は「子どもの“大人化”が進んできた。大人に合わせるのではなく、生活リズムを守って子どもの時間をもっとつくってほしい」と話している。
「時間に関する意識」
◆増やしたい時間
「増やしたい」と回答する割合が高いのは、小学生は、「友だちとすごす」時間(約6割)、「外で遊ぶ・スポーツをする時間」(約5割)であり、中・高校生では、「睡眠時間」(約6割)、「勉強時間」(中学生約5割、高校生約6割)である。また、学校段階が上がると、「家族とすごす」時間や「友だちとすごす」時間を「増やしたい」割合が減り、「1人ですごす」時間を「増やしたい」割合が増加する。
◆時間のすごし方
7~8割の子どもが「もっとゆっくりすごしたい」と感じている
「毎日が楽しい」と感じているのは、小学生の9割、中・高校生の8割。また、「約束の時間を守るほうだ」は小・中・高校生の8割以上が肯定している。一方で、「もっとゆっくりすごしたい」「時間をむだに使っていると感じる」は、小学生から中学生になると「あてはまる」(とても+わりと)と回答する比率が10ポイント以上増加する。忙しく、時間をうまく使えなくなる中学生の様子がうかがえる。
・もっとゆっくりすごしたい
小学生68.9% 中学生81.0% 高校生80.6%
◆心や身体の疲れ
多忙感・ストレスは中学生になると急増する
学校段階が上がるにつれて、多忙感やストレスを「感じる」(とても+わりと)という回答が増加する。とくに小学生から中学生になると急増する項目が多く、「疲れやすい」「あきっぽい(集中力がない)」「やる気が起きない」「自分に自信が持てない」の4項目でそれぞれ10ポイント以上増えている。
・疲れやすい
小学生52.8% 中学生68.8%、高校生71.8%
・いらいらする
小学生51.3% 中学生5838%、高校生59.3%
・忙しい
小学生49.5% 中学生59.2%、高校生64.5%
・やる気がおきない
小学生43.4% 中学生61.7%、高校生66.6%
・自分に自信がない
小学生37.2% 中学生54.3%、高校生60.3%
「将来の生活」
◆将来について
半数以上が「将来のためにがまんするよりも今を楽しみたい」
「自分は将来、幸せになれると思う」「これからの世の中を良くするためにがんばりたい」など、将来への希望や夢を持っている子どもの比率は、小学生のほうが高く、学校段階が上がるにつれて低下する。また、どの学校段階でも、半数以上の子どもが、「将来のためにがまんするよりも今を楽しみたい」と考えている。
・将来の目標がはっきりしている。
小学生49.1% 中学生41.6%、高校生44.2%
・将来、幸せになれると思う
小学生72.9% 中学生58.6%、高校生54.3%
◆日本社会について
中・高校生の7割前後が、日本社会が「悪くなる」と予測
これからの日本社会が「良くなる」(とても+まあ)と考えている割合は、小5生は約半数であるが、小6生は4割、中1生は3割と下がり、中2生~高2生では2割台と低い。また、「とても良くなる」の比率は、どの学校段階でも6%未満であるのに対して、「とても悪くなる」は小5生で1割、中・高校生では約2割と、子どもたちはネガティブな予測をしている。
« トンネル洗浄水の垂れ流し | Main | 都議選 どの政策が勝利したか »
「教育・子育て」カテゴリの記事
- ダイバーシティ&インクルージョン 組織のアップデート(2024.08.11)
- 2024国際女性デー 差別・格差の根っ子に、非正規、奨学金ローン(2024.03.14)
- 創造と管理、心理的安全と恐怖 組織の自己改革(2024.01.11)
- 不登校 きっかけは「先生」最多・考~ 組織の構造的問題として(2023.11.16)
- 高知の校則に関して(提言) 子連10/25(2023.11.02)
Comments