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刑務所、病院で「偽装請負」~民間委託の必然

 罪を犯した人を改善更生する施設で違法行為。許しがたい。
「刑務所で偽装請負、団交も拒否」 栄養士が国提訴へ 朝日7/19
 公務の職場に、民間委託を導入すれば、ほぼ違法行為の「偽装請負」が発生する。公務は、人を相手にしたサービスがメインであり、個別的で変化に富む業務内容である。それを「丸投げ」し、「対応できる」というのが絵空事である。こんな記事も・・・
都立駒込病院の企業参入事業(PFI) 偽装請負横行の疑い 職場バラバラ 医療の質低下 赤旗7/18

 人権保障をする公務の場では、違法の危険性を含む「黒に近いグレー」の行為はさけるべきである。
「委託業務 疑わしきは採用せずが本来の姿では」
 この記事の中で紹介したが、東京労働局は「仕様書を当局が作成し、仕様書通りの作業を要求し、事実上そのような効果を与えるものであれば、業務委託の本質に反し委託業務の独立処理に抵触するおそれがある」
「現場には形式的に責任者を置いていても、発注者からの指示を個々の労働者に伝えるだけの場合は、発注者が指示しているのと同じことであり、偽装請負になる。」と述べている。

 ところで、高知市は学校給食調理の民間委託にどう説明しているか・・

「委託の範囲は給食調理業務で,そこには献立作成は含まれていないこと。食材の供給は委託しないため,地  産地消の取り組みを後退させることにはならないこと。業者の有する専門的な技術もしくは経験に基づいて業務を処理してもらうこと。
業務委託により人件費の低減と新たな退職手当の負担がなくなること。委託経費は,予定給食回数と調理見込み食数を基準とした業務委託の考え方に立つもので,この点は契約上,労働契約による給与の考え方とは異なること。
 安全性確保については,委託業務仕様書の作成,プロポーザル方式による業者選定,業者選定委員会の設置を通じて対処していくこと。
業者への指示等では,学校給食調理業務の経験を有し,かつ,栄養士の免許を持つ業務責任者と調理師の免許を持つ副業務責任者を配置し,学校栄養職員があらかじめ確認した事項が確実に履行されているかどうかのチェックや,確認内容と違う場合の変更等の指示については,委託者がその者を通じて行うことにより安全性を補完していくとの内容であります。」
 (08年9月議会 行政改革特別委員会の報告より)

 どうでしょうか。東京労働局の見解と高知市の説明。
  
 4月から試行が開始されたが、この点は、引き続き追求する課題となる。

 なお、赤旗記事の医療PFIでの問題は、PFIというより、民間委託そのものの問題と思う。
 PFIについては「官民共同」「リスク分担」で「最高のサービスを最低の価格で」というのが売り文句だが、官と民の責任分担が明確にならず、よって共同がなりたたないところに本質があると思う。
 

【「刑務所で偽装請負、団交も拒否」 栄養士が国提訴へ 朝日7/19】
 神戸刑務所(兵庫県明石市)で偽装請負状態で働かされたうえ、団体交渉を拒否されて精神的苦痛を受けるなどしたとして、管理栄養士として働いていた女性と女性の加入する労働組合が近く、国に計880万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こす。原告側代理人の弁護士によると、偽装請負をめぐって国が被告となる訴訟は異例という。
 訴状によると、女性は07年4月から東京の派遣会社と業務請負関係にあった神戸刑務所で献立などを作成。実際には刑務所職員から直接命令を受ける偽装請負だった。女性が複数の職員の指示が食い違うことを指摘した後の同年8月、同刑務所は派遣会社に女性を交代させるよう要求したという。
 精神的に追い詰められて出勤できなくなった女性は「アルバイト・派遣・パート関西労働組合」(大阪市)に相談、同労組に加入したが、刑務所側は団体交渉に応じなかったとしている。
 女性は「刑務所は労働者の地位が不安定となる偽装請負状態で働かせたうえ、一方的に交代を求めたのは合理性がなく、不当な解雇にあたる」と指摘。労組側は「憲法が保障する団体交渉を拒否されたことで、労働組合としての社会的評価が低下させられた」などと主張している。
 神戸刑務所の偽装請負問題をめぐっては、兵庫労働局が07年12月に是正指導し、08年12月には、兵庫県労働委員会が「団交拒否は労働組合法が禁じる不当労働行為にあたる」と認定した。

【都立駒込病院の企業参入事業(PFI) 偽装請負横行の疑い 職場バラバラ 医療の質低下 赤旗7/18】 今年4月から実施されている東京都立駒込病院(東京都文京区、職員数900人弱)の企業参入(PFI)事業による病院内の業務で、違法な偽装請負が横行している疑いが強まっています。病院関係者は「偽装請負は構造的なもの。職場のチームワークをなくし、医療の質を低下させている」と指摘します。(今田真人)

 厚生労働省の東京労働局は、駒込病院のPFI事業について「一般論でいえば、医師や看護師など病院の職員が、委託業者の労働者に、仕事を直接指示したら『指揮命令』になり、偽装請負となる。労働者派遣法に違反する」(需給調整事業部)と指摘します。
実態は不透明
 駒込病院内の業務は、医師や看護師の仕事などの一部を除き、東京都から、三菱商事(PFI事業の落札業者)の子会社「駒込SPC」(文京区)に包括して委託されました。同社はその院内業務を18種類に分け、それを個別に12の業者に再委託していることを6月26日、公表しました。(表)
 しかし、同病院内で働く委託業者の労働者の実態は不透明なままです。同病院事務局は「3月までの委託業者の従業員は100人~200人。4月以降はわからない」(同病院事務局)と説明、偽装請負の事実どころか、人数さえ把握していません。駒込SPCは「取材には、いっさいお答えできない」(広報担当者)と話します。
構造的な矛盾
 病院関係者の一人は「PFI事業が始まり、病院内の業務は偽装請負だらけになっている」と指摘します。
 例えば、病室で看護師が採取した患者の血液などの「検体」を検査室に運ぶのは、委託業者の仕事です。看護師が「これをすぐに検査室に運ぶ必要がある」と判断しても、担当の委託業者の労働者のマニュアルでは手順が決まっており、対応できません。
 この看護師は、「検体」が検査室に届くまで時間がかかると変質して正確な検査ができないため、担当でない別の委託業者の労働者に指示し、緊急に運んでもらったといいます。これも、委託業者の労働者に指示したことになり、偽装請負となります。
 こうした事例は、ほとんどの業種に共通する構造的なものです。病院内は、職員や委託業者の労働者との連携が破壊され、ばらばらにされています。
無責任な姿勢
 東京都の担当者は「駒込病院の委託業務は、あらかじめ定めた作業マニュアルがあるので、病院職員の指揮命令がなくても成り立つ。偽装請負はない」(病院経営本部)と強弁します。
 しかし、労働実態の詳しい内容を質問すると、「委託業者の従業員数や労働条件などは把握していない」(同)という無責任な回答が返ってきます。
 偽装請負の横行を解決するには、PFI事業を中止するしかないことが浮き彫りになっています。

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