「PFI神話の崩壊」 自問研から新著
「PFI神話の崩壊」、自治体問題研究所から出版される新著が送られてきました。PFI解除した近江八幡市立総合センターを軸に、病院、廃棄物処理施設、図書館の事例の報告、編者の尾林芳匡弁護士と入谷貴夫宮崎大教授が「法と財政」とまとめの論文を書いています。
私も、高知医療センターについて、「幻想のPFI効果」として拙文を載せています。
実施・計画中も含めると全国では300事例くらいがあり、財界はまだまだ拡大を狙っているようです。
同書の尾林先生の指摘での「契約ガイドライン」(総理府内政審議室に設置された民間資金等活用事業推進検討委員会作成)で「施設運営業務の比重の重いPFI事業は想定されていない」「設置目的及び運営内容に応じた個別の検討が必要である」と書かれていることにあらためて気付いた。
一般的なガイドラインだけでも133ページにのぼる詳細な契約の内容を個別に検討することが、どれほど非現実的化か、指摘されているが・・・
先日関係者との議論で、病院のリスク分担は不可能だ、という議論になった。
診療報酬が引き下げられ収入が下がった場合に、どう公と民が分担するか。医業収入が下がった原因はそれだけか・・。不況や国民負担の増加の影響は・・。行政が取り組んでいる予防活動の影響は・・・。診療報酬が下がっても、別な収入確保の方向があったのでないか・・・ このようなことを最初から想定し、どの場合にはどの比率でリスクを分担するというのは不可能である。リスク分担が不明確なので、責任もはっきりせず、互いに相手に責任をおしつけ(公は税金の適正支出、民は利益の確保)、「パートナー」としての「共同」ではなくなっていく。
だいたい変化の環境変化の大きい医療分野で、30年もの長期契約を見通すというのは「神業」と言わなくてならないだろう。
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