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民主党の政策INDEX2009 雑感

民主党の政策が発表された。みてみたが・・・
「政策 index2009」 
 この間のたたかいを反映して、新自由主義を掲げていた政策から、一定、「福祉国家」政策をとりだした。
 子ども手当て、高校授業料の無料化、一次産業の所得補償の充実、介護療養病床削減の廃止、派遣労働の禁止など・・・
 ここは前進させはならない。
 その上で「政策」は、財界向けには、この間の横暴をおさえる問題はほとんどスルーし、根底のところで財界主導の「構造改革」により踏み込む内容となっていると感じる。
 これらは自公政権を終らせ、あらたなページを開いたもとで、一括交付金化、農産物自由化、そして財源としての消費税増税を、国民とともにたたかいながら、どう前進させていくか、ということになる。

「政策集」の特徴
・構造改革で実施された年間7兆円の大企業・資産減税はノータッチ。研究開発減税は、「真に必要なものは恒久化」。将来は、基礎年金の税額方式で企業負担3.8兆円軽減
・政と官の癒着の話はあるが「財」はスルー
・農業。米国、アジアとの自由貿易協定締結、WTOの早期妥結~ 「食料主権」の文字はない。「農産物輸入自由化」とは書いてないが、そうなる。
  特に、野菜、果実は所得補償の対象ともなっておらず、高知、四国の農業への打撃は大きい。
・地方の財源確保 まったく不明。国庫補助負担金の一括交付金化で、4.3兆円の削減は明確。教育、社会保障関係の予算は確保するというので、負担金に入っていた防災、汚水処理、道路、まちづくりの公共投資予算は皆無となる。
・財源では、扶養控除・配偶者控除の廃止・見直しなど2.7兆円の増税
・法、政省令による義務付け見直し ~ 保育など設置基準は地方の自由裁量。これも財界の要求
・日米関係は「対等」「役割分担し責任を積極的に果たす」。自衛権は「個別的自衛権、集団的自衛権の議論に拘泥せず」と、集団的自衛権を認めないという立場を否定、また、国連平和活動は「主権国家の自衛権行使とは性格を異にしている」として自衛隊の海外派兵に道。
・教育委員会制度の解体 ~ 教育への政治介入がさらにひどくなる。
・医療 高すぎる国保料をどうするのか言及なし。一般病床半減(06年医療制度改革大綱)の方針が撤回されたか不明。また、生活保護は「安易な引き下げは行いません」ということは引き下げが視野に入っているのか。
・労働 残業時間の法的制限がない。製造業の派遣労働禁止に抜け穴。非正規雇用の待遇改善については、現行パート労働法の適用範囲の狭さが問題となるが、一般論にとどまる。
・環境 炭素税、拡大生産者責任は言及してるが、メーカー責任が不明確。
・国土交通 財界も要望するPFI推進
・憲法は自由闊達な議論 党首の鳩山氏は,9条を変えて自衛軍、天皇の元首化を主張

『気になるところをざっと拾い上げたメモ』
◆子ども、男女共同参画
・子育て・ 「多様な働き方に応じた」というのは財界の主張と同じ
    残業の上限規制、非正規雇用の解消は・・・
・保育 保育制度の根幹部分、基準の充実、自治体の関与という部分は不透明。
 地方で基準を自由に決められるよう変更する、と報道されていたが、「地方分権」の項で国の基準の廃止とあるので、そうなるとうこと。
・ひとり親家庭
 児童扶養手当てをもとに戻すことはよい。しかし、自ら賛成したことには触れていない。どんな政策判断の変更があったのか、説明すべき。
・真の男女平等  ここでの対決点は「間接差別」。きちっと明記すべき。
・女性の健康保障
年齢にふさわしい性教育・・・東京都で養護学校の性教育を乱暴に踏みにじり、有罪判決をうけたのはどこの議員か。私なら、その反省を書く。
・子ども手当ての財源として扶養控除、配偶者控除の廃止・見直しで2.7兆円 ― 批判があって高校、大学生と老人の扶養控除をはずしたので、財源としては1.4兆円に縮減。あと1.3兆円は不明。

◆消費者
・消費者相談の強化
 ここで消費者庁という「中央集権」を評価している。当然、ナショナルミニマムを保障しようとすれば、なんでも「地方分権」ではなく、そうなるのだが・・・。

◆行政改革
・霞ヶ関改革
「政と官の関係の抜本的見直し」・・政官財ではないのか? この表現が本質をあらわしていると思う。くらしも経済も破綻させたのは財界主導の政治ではないか。
・公務員人件費の削減
 日本の公務員はアメリカよりも少ない。小さすぎる政府になっている。防災、労働行政、輸入食品の検査官などくらしに関係する職員は不足している。「減らせばよい」というのは公共市場の拡大を望む財界の要求と一致。
地方に権限を移管することによる削減というが、当然、地方への財源移譲と一体となり、これは人件費は減らない。 給与を二割カットするという意味だと思うが、不明。
・独立行政法人は原則廃止というが、別のところで、病院と大学は削られた交付金を復活と書いてある。原則廃止というが、何がムダな法人が明確でない。

◆分権改革
・ひも付き補助金の一括交付金化、法律・政省令による義務づけ・枠付けの見直し
地方が自由に使える。自由に基準を決められる。ということだが、一方で、子ども手当てとか、所得保障とか・・いろいろ基準を決めてやるわけで、国が法制化し、財政の使途を義務付けなくてはならず、ここがよくわからない。
 国庫補助負担金は、教育・社会保障関係は予算を維持すると書いてあるので、4.3兆円削減は公共事業関係が皆無となること。汚水処理、防災、道路整備・・・生活関連の予算はなくなる。

◆政治改革
企業・団体献金の禁止 /自ら法律で提案した政党助成金の増額には触れてない。

◆郵政事業
05年に発表した「真の官から民」として日米保険会社の要望にそった「簡保・郵貯の縮小」がどうなるかハッキリしない。
 
◆法務
・人権侵害機関 市民の間の言動まで 「差別的言動」とするもので、部落解放同盟が設立を要求しているという背景がある。

◆外交・防衛
・日米関係 「対等」「役割分担し責任を積極的に果たす」
       米国と自由貿易協定を結ぶ ~ 農産物の自由化のこと
・自衛権  「個別的自衛権、集団的自衛権の議論に拘泥せず」と、集団的自衛権を認めない立場をとってない。これは国会での「憲法解釈を変える」という発言と一致する。
・国連平和活動  「主権国家の自衛権行使とは性格を異にしている」として自衛隊の海外派兵に道。

◆財政・金融
・財政構造改革 いわゆるデフレ化では「生活上げ潮派」による積極財政で税収をアップすることが必要だが、その視点がない。「均衡財政」論は、小泉構造改革で、経済が疲弊し、政府債務が増加した。
・また、純債務(粗債務から政府の金融資産をひいたモノ)の視点が必要ではないか。
・金融市場  あいかわらず「貯蓄から投資の流れを加速」と記述

◆税制
・所得税改革  引き下げられてきた最高税率をどうするかがない。
・給付付税額控除 これが「官製市場」の開放~いわゆるバウチャー制度との関係はどうなるか。
・証券税制  総合課税も当面見送り、優遇税制を維持
・消費税  将来は引き上げが浮き彫りに。そもそも日本の消費税は生活必需品にかかっており、見かけ以上に高率である。基礎的消費分については税額控除というが、非課税措置を導入すべきである。
・法人税 あいまい・・・大きく引き下げられた最高税率をどうするか、言及無し。 
・道路特定財源  暫定税率の地方分1兆円と国庫交付金の中の道路関係の臨時交付金は、一括交付金化・削減で1兆円がなくなり、計2兆円減る。直轄負担金廃止が1兆円なので・・「道路事業整備を維持する」というのは不可能ではないか。

◆文部科学
・教育委員会制度を解体、首長が教育行政を行う。これは戦前の反省から生まれた教育の中立性を担保する仕掛けの解体(いまでも教育委員の公選制の廃止など、相当解体されてきた)。東京都をみれば、これでどんなひどいことが行われるかは必至。
・学習指導要領の大綱化、教育の無償、予算の確保、教員の増加などはよい。
   「教員免許制度の廃止」と報道されていが「抜本見直し」である。
・学校理事会 諸刃の剣~ 教育内容の統制に結びつく面も。なにより教師の多忙か、教育の専門家としての能力を発揮する環境の確立がその前提でなければならない。

◆厚生
・医療保険の一本化  なにより高すぎる国保料の原因、削減してきた国庫負担の復活がない。(一括交付金化だから、問題にしえないのか・・・)
・医療制度改革大綱で出していた一般病床の半減化はどうなったかのか、よくわからない。
・介護療養病床の廃止の撤回(これは医療制度改革大綱からの転換)
・生活保護  「安易な引き下げは行いません」ということは引き下げは視野に入っていること。
  児童手案、児童扶養手当てが収入認定されている問題は、スルー。ここを変えないと、生活保護世帯には、子ども手当ては実質支給されない。
・消費税を財源とする最低保障年金・・・増税は不可避。また基礎年金は税法式となるため、企業負担3.8兆円が軽減される。
・非正規雇用の労働条件確保。現行パート労働法が基準が厳しすぎること、公務の非正規労働者が排除されていること・・・この問題に触れて改善がかかれてないので、一般論となっておりよくわからない。
・派遣労働  原則禁止ではない。製造業も政令で決めた「専門的業務」はOKの弱点。「直接雇用みなし制度」~ 企業の直接雇用の義務化がいないが・・・
・仕事と家庭の両立 長時間労働では、サービス残業の一掃、残業時間の法的規制が要。そこがない。

◆農林水産
・所得保障は、増産にむすびつかない。デカップリングと言われるように生産とカップルしてないのが所得保障。増産につとめなくても出すというのが所得保障。自給率増には価格保障が不可欠。なにせ農産物の自由化が前提であるので・・・野菜は「新たな支援策」となっているが、園芸が主体の高知の打撃はかなり大きいと思う。
・森林  とにかく輸入規制。それがない
・農地改革 財界がもとめる参入自由にもとづく農地法の一部改定に賛成したように、耕作者主義の放棄へ。国会の態度と「耕作者主義堅持」の政策は矛盾する。
・都市型農業 宅地並み課税をなくすことが大事だが、具体的言及なし

◆産業
・中心市街地  疲弊の原因、大型店の規制がない(イオンのこともあるしね。)
・WTO早期妥結  破綻した新自由主義にもとづくグローバル戦略が柱となったWTOは廃止、抜本見直しが必要で「早期妥結」する代物ではない。特に焦点の「食料主権」については、政策には出てきてない。それはEPA/FTAの推進という点からも見て取れる。

◆エネルギー  原子力は「着実な推進」

◆国土交通  
・高速道路の無料化/1.5兆円かかる。政策の優先順位として疑問が残る。 
・建設事業でPFIの推進  「民間だけが儲かる仕組み」「非効率」と高知医療センターで破綻。財界は推進。

◆環境
・地球温暖化対策税? 「地方財源に配慮しつつ、特定の産業に過度に負荷にならないよう」というのは排出産業に入り口で規制するのでなく、広く薄い、地方が実施している『森林環境税』を思わせる。
・リサイクルでは「拡大生産者責任」という要の部分があいまい、メーカー責任が明記すべき。
・クマ対策 ~ 今、地方で問題になっているのはイノシシ、シカ、サルが農作物を食い荒らし、山を丸裸にする鳥獣被害である。この言及がひとつもない。地方の実態をしらないのでは・・・

◆憲法
・自由闊達な議論 党首の鳩山氏は,9条を変えて自衛軍、天皇の元首化を主張

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