「市町村合併」 規模拡大で失ったもの
地方制度調査会が合併について打ち切りという方向を出したが、「成果があったとするなら大間違いだ。近隣市と合併した周辺町村の衰退は各地で深刻である。役場があったかつての中心部は寂れた。役場は支所になり、新しい市役所は遠くて敷居が高い存在になった」という中日新聞の社説は、私の実感と合致している。
「大合併」終結 規模拡大で失ったもの 中日6/22
この間、党高知市議団が実施した市政報告会では、旧鏡、旧春野地域では「合併してなにもいいことがない」「役場が遠くなった」などの声が相ついでいる。
地制調の答申について、読売、産経、毎日などの社説に共通するのは、自治体の規模と権限の拡大が、地方分権の受け皿として前提のように論をすすめていることだ。
合併は道州制とともに財界が主導する「究極の自治体リストラ」であって、そこから検証がもとめられる。
「持続可能な社会」が求められているが、環境、国土保全、食料、エネルギーなどを考えたとき、地方(農村、中山間地、漁村など)の役割はますます重要だと思う。
そして、一次産業と医療・介護を重視すれば、地方での働く場は確保でき、過疎に歯止めはかかる。地域が再生できる。
教育について、構造改革路線が破たんし、「持続可能な福祉社会」をめざすべきという話を紹介したが・・・地方のあり方についても、その視点で総括すべきである。
ちなみに、自民は国、道州と300自治体、民主は国と300の自治体という、基本は財界が求める方針と同一方向である。
「大合併」終結 規模拡大で失ったもの 中日6/22 国の進める「平成の大合併」が来春で終わることになった。この十年間で市町村数は半数近くに減った。その分、規模は大きくなったが、失ったものも多い。実態を把握し、新たな政策が必要だ。 大合併は、合併市町村に財政的な優遇措置を約束する改正合併特例法が一九九九年に成立して始まった。その後できた現在の合併新法も来年三月で期限が切れる。 学識者らでつくる政府の地方制度調査会は、合併促進を今後も続けるか検討してきたが、打ち切りを麻生太郎首相に答申した。 九九年当時は東京二十三区を除いて三千二百三十二あった市町村は、来年三月には千七百六十になる。一市町村あたりの平均人口も約三万六千人から六万七千人余と大きくなった。 しかし、国がこれで「成果があった」とするなら大間違いだ。 近隣市と合併した周辺町村の衰退は各地で深刻である。役場があったかつての中心部は寂れた。役場は支所になり、新しい市役所は遠くて敷居が高い存在になった。 調査会の資料でも、合併後の行政サービスが「悪くなった」とする住民は「よくなった」より多い。今年四月のミニ統一地方選で、落選した現職市長十七人はすべて平成の大合併を経た新市だったことは、合併後の住民の不満を浮き彫りにしたといえる。 大阪府より広い市が誕生したり、隣接しない自治体同士の合併もあった。静岡県由比町(現静岡市)や、来年三月に滋賀県近江八幡市と合併する安土町など由緒ある市町村名が消え、住民の愛着が薄らいでいる、との指摘もある。 市町村を合併に駆り立てたのは、国の地方交付税が削られる中で、合併すれば特例債発行を認めて返済の一部を国が肩代わりする「アメ」だったのが実情だろう。財政的に恵まれた大都市圏の自治体では進まず、財政難の地方で大胆に進んだことにも表れている。 規模が大きくなった利点を生かし、福祉や少子化といった専門部署や専門職員を置くなど行政の質向上に役立てている市町村も確かにある。大合併の功罪を整理して検証する必要がある。 調査会は「今後、自主的に合併を選択する市町村に必要な支援措置を」と指摘するが、その通りだろう。次の総選挙では、自民党も民主党も地方分権をマニフェスト(選挙公約)に盛り込むとみられる。現地の声に耳を傾けつつ、政策づくりを進めてもらいたい。
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