生活保護 申請権の制限狙う厚労省
昨日の講演会で、宇都宮弁護士は、派遣村の経験から「(生活再建に)使える制度が生活保護しかない。しかし、簡単ではない。住所がない。65歳以下ならまだ働けると追い返される」「それを派遣村では300人をただちに保護決定させた。異例だが、当たり前の対応」の述べ、その後、全国的に一定改善されたが「支援者がついていかないとダメなところが多い」と問題点を指摘した。ところが・・・
生活保護の代理申請、厚労省「待った」 日弁連が反発 朝日6/1
生活再建でつかえる制度が生活保護しかない、という現状で、 「代理人はなじまない」という見解は、「水際作成」を保護の必要な人を排除してきている現実を反省するどころか、目をふさぎ、生活保護から排除路線を維持しようとする姿勢のあらわれではないか。
申請を受けつけてから調査をして決定するわけで、わざわざ問答集までつくって、窓口を狭めるようなことは必要はない。
【生活保護の代理申請、厚労省「待った」 日弁連が反発 朝日6/1】 不況を背景に生活保護の申請が急増するなか、厚生労働省が1日付発行の自治体向けマニュアルで「代理人による申請はなじまない」と記していることがわかった。申請の受け付けに消極的な自治体への対抗策として、代理申請に取り組む日本弁護士連合会は「代理申請の広がりを牽制(けんせい)する狙いだ」と反発。近く国のこうした見解の撤回を求める。弁護士による生活保護の代理申請はそもそも市区町村の「水際作戦」に対抗するために始まった。生活保護費の増大に悩む自治体が、申請に訪れた人に「家を確保してから」「まだ働ける」などと言って、窓口で申請用紙さえ渡さない例が相次いだため、弁護士が乗り出し、日弁連も後押しした。07年からは申請代理事業として、日本司法支援センターを通じて、高齢者や障害者、ホームレスの人らに書類作成や同行費用を援助。窓口に同行して交渉し、申請書には代理人として署名している。
厚労省が新たに見解を示したのは、1日発行の「生活保護手帳 別冊問答集2009」。生活保護法や実施要領の解釈を例示した619の問答の中に「代理人による保護の申請は認められるか」という項目を設け、回答例として「申請は本人の意思に基づくことを大原則としている」「要保護状態にあっても申請をするか、しないかの判断を行うのはあくまで本人であり、代理人が判断すべきではない」などと記し、「代理人による申請はなじまない」と結論づけた。問答集と同一内容の事務連絡が3月31日付で厚労省から各都道府県などに送られていた。
厚労省保護課の担当者は追加の理由について「弁護士や支援者が本人を伴わずに申請に来た場合の対応について、自治体から問い合わせが多かった」と説明。「申請するか否かを、本人の意思を無視して代理人が判断するのは思想や人権の面から問題がある」と話す。
生活保護問題対策全国会議事務局長の小久保哲郎弁護士によると、代理申請でも窓口には大抵、申請者本人を同行する。弁護士だけで申請した場合も、担当者が本人に意思確認するのが普通だという。小久保弁護士は「わざわざ問答を作ったのは、我々の活動への牽制だ」と反発する。
日弁連の「貧困と人権に関する委員会」(木村達也委員長)は「弁護士の職務に不当な制限を加える内容で、容認できない」と批判する。
厚労省によると、今年1、2月の申請件数は月2万5千件前後で、前年同月よりそれぞれ約9千件増加。受給者も2月時点で約163万人にのぼり、前年同月より約7万3千人増えた。
日弁連による援助事業の利用件数も増えており、08年度は763件だったが、09年度は約2カ月間ですでに300件を超えた。(水沢健一)
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