介護認定・新基準は「驚愕の一言」 認知症家族の会
認知症の人と家族の会が、介護保険の新認定基準について「『驚愕』の一言」とのべ、適正な要介護認定をもとめてのアピールを出している。
新認定基準について「非常識」「軽度化指向」「意味不明」「かえって煩雑」「認知症への無理解」「不思議」と・・・極めて強い口調。
たとえば、調査日当日の状態で判断することを「認知症への無理解」と指摘している。(参考資料に詳しい)
適正な要介護認定を求めるアピール 6/6
「アピール + 参考資料」
提言・私たちが期待する介護保険2009 年版
これも継続するとして「社会保障の2200億円抑制」路線の結果であろう。
また、認知症をかかえる介護の苦労については、
リーフレット・「死なないで!殺さないで!生きようメッセージ
が胸に迫るものがある。
【適正な要介護認定を求めるアピール 6/6】 認知症の人と家族の会 09 年度総会 1 「家族の会」は07 年11 月以降、「提言・私たちが期待する介護保険」を広く普及してきた。その努力は、「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告」による対策の前進、初の介護報酬引き上げ等に反映した。また、要介護認定調査項目の削減計画も一定程度押し戻すことができた。2 しかし、今年になって明らかになった4月からの認定調査基準の変更は、私たちにとって「驚愕」の一言であった。それは、「非常識」「軽度化指向」「意味不明」「かえって煩雑」「認知症への無理解」「不思議」と感じたことである。
3 たとえば、「買い物」は、買い物の適切さは問わないという非常識。 「座位保持」の目安を10 分間から1分間にした軽度化指向。 “昔はもてた”と言うのは、「作話」でなく社会通念上冗談だという意味不明。 「食事摂取」で介護者が小さく切っている場合を「一部介助」から「介助されていない」にして、特記事項に書かせるというかえって煩雑。 認知機能を日頃の状況でなく調査時の状態で判断する認知症への無理解。必要があっても介助されていない人と、もともと介助不要の人が同じ「介助されていない」になり、能力があっても入院・入所で介助されれば「全介助」になる不思議。
4 厚生労働省は「家族の会」等の意見により、一部を見直し、経過措置を実施し、検証・検討会を発足させた。このことについては一定の評価をするものである。
5 しかし、問題は、今回の基準変更を厚生労働省がどう総括し、どのような見直し改善策をとるかである。介護保険利用の大本となる要介護認定が、本人と家族の実態を踏まえ適正かつ公平に行われることを強く求めるものである。
6 なお、要介護認定は、認定調査のみでなく、一次判定ソフトの仕組み、医師の意見書内容、介護認定審査会のあり方にも深く関係している。これを機会に、要否も含めた要介護認定そのもののあり方について、現場の専門職、利用者、家族も加えて、研究・検討が開始されることを希望するものである。
【提言・私たちが期待する介護保険2009 年版】
はじめに
認知症の人と家族の会は、1980年の結成以来、認知症の人と家族が安心して暮らせる社会の実現を願って活動してきました。人としての尊厳が守られ、基本的人権が保障された生活を送ることは、乳幼児から高齢者まで、介護を要する人もそうでない人も、国民が共通に願うことです。その願いを実現するために、2009年の介護保険制度改定の結果を踏まえて、次のように提言します。基本的な考え方
1 認知症があっても一人暮らしでも希望する自宅で、また施設でも安心して暮らせる制度へ
自宅や地域で暮らし続けたいと願う人が、見守られ、必要なサービスを受けられる在宅により重きを置いた制度に改定すること。施設にあっても、自宅と同じように過ごせ、一人ひとりが大切にされるケアと生活環境が保障されること2 早期から終末期まで、切れ目ない支援体制を整備すること
認知症の早期発見・診断、初期の相談・家族への支援から終末期のケア・看取りまで、医療、保健、福祉が緊密に連携して切れ目のない支援が行われる体制を確立すること3 認知症があっても“笑顔”で生きられる支援体制を整備すること
認知症の人や家族が地域・社会に受け入れられ、笑顔で暮らせるよう、仕事の継続や社会参加を支援する施策、市町村の実情にあった施策、地域の資源づくりなどを積極的にすすめること4 介護に従事する人材の育成と確保のために待遇改善を継続的に図ること
介護に従事する人材を育成、確保して介護の社会化を実現するために、介護従事者の生活が保障され、安心して仕事に取り組めるよう待遇改善を継続的に図ること5 暮らしを支え、生活を保障する社会保障制度へ
年金など自分の収入で生活が成り立ち、また介護保険サービスなど暮らしに必要なサービスが利用できる社会保障制度を確立すること6 高福祉を応分の負担で
「高福祉高負担」か「低福祉低負担」か「中福祉中負担」か、ではなく「高福祉応分の負担」の社会保障制度であること。心にゆとりを持って安心して生活することができ、「過分」でも「過小」でもない国民の負担であること具体的な改善提案
1 在宅で要介護4、5の人が支給限度額を超えて利用する場合は、全額自己負担ではなく介護給付を認める
2 必要な訪問介護の利用は同居家族の有無にかかわらず認める
3 認知症があると認められる場合には、要介護1以上の認定とする
4 若年期認知症の人が仕事を続けられるよう支援する体制をつくり、採用する事業体へは補助金を支給する
5 地域包括支援センターの全てに「認知症連携担当者」を配置するなど、地域のコーディネート機関として充実させ、介護保険給付実務は業務からはずす
6 介護支援専門員が中立、公平を保つことができ、質を高め、専門性が発揮できる体制とする。サービス利用に至るまでの相談支援にも報酬を認める
7 介護従事者の賃金、労働条件の改善を継続的に図るために、利用者の負担を増やすことなく、必要な対策を講ずる
8 要支援1、要支援2も介護保険給付の対象とし、予防事業は一般財源で行う
9 療養病床の利用者には、制度の推移にかかわらず、現状と同等の必要な医療と介護を保障する
10 認知症の人の一般病院入院時に、ホームヘルパーの付き添いを認めるなど対応の改善を図る
11 すべての都道府県、政令市に「認知症コールセンター」が速やかに設置されるよう必要な措置を講ずる
12 小規模多機能型サービスが安定して運営できるよう、必要な措置を継続的に講ずる
13 地域の家族の会など当事者組織の活動への支援を強化する
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