『マルクスは生きている』 読売・書評
橋本五郎・読売新聞社特別編集委員が不破さんの「マルクスは生きている」の書評。
『マルクスは生きている』 読売・書評
「これほど平易に書かれたマルクス主義指南書も珍しい」「説明の一つ一つがわかりやすく、説得力がある」と・・・
『マルクスは生きている』 読売・書評 6/22何度も死亡宣告されながら、生き返る。偉大な思想家の宿命であり、証しである。金融危機や地球環境破壊を背景にしたマルクス「蘇生(そせい)の書」であり、これほど平易に書かれたマルクス主義指南書も珍しい。
不破氏らしい明晰(めいせき)さで、マルクスの現代的意味を「唯物論の思想家」「資本主義の病理学者」「未来社会の開拓者」の三つの側面から解説する。ノーベル賞の小林・益川理論も駆使した説明の一つ一つがわかりやすく、説得力がある。
不破氏の論法に引き込まれながら、ならばなぜ、共産主義が世界の主流にならないのかという疑問に逢着(ほうちゃく)、60年前の小泉信三『共産主義批判の常識』を改めて読んでみる。
そこには史的唯物論、労働価値説、恐慌論など、マルクス主義の根幹にかかわる問題点が実に平易に描かれている。両書を読むと、マルクスの原典に挑戦してみたい気持ちにさせられる。(平凡社新書、720円)
評・橋本五郎(本社特別編集委員)
マルクスは資本論の中で「もし事物の現象形態と本質とが直接に一致するなら、あらゆる科学は余計なものであろう」と語っているが、社会の本質の科学的認識を、国民が自分のものとするには、資本主義体制を維持しようとするものの「宣伝」、イデオロギーとのたたかいが必要であり、自動的な過程ではない。というのも史的唯物論の核心の1つである。
社会変革の過程は、長期間に及ぶ・・・社会主義から逸脱した旧ソ連の存在という歴史の逆流もあったが、長いスタンスで見れば、着実な変化だと思うのだが・・・
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