西川社長続投も、矛盾噴出す「郵政民営化」
再議決を連発している暴走国会をつくった「郵政民営化」。その実態があきらかになるにつけ、矛盾が吹き出ている。かんぽの宿問題の国民財産の叩き売り、4事業一体だからこそ維持できる金融のユニバーサルサービスの後退、…
郵政4分社化見直しも-総務相 民営化議論再燃か 共同6/23
西川社長の続投についても、各紙の社説は批判的に書いている。
西川社長続投 ますます納得いかない 毎日社説6/24
西川社長続投 理解得られぬ甘い「けじめ」 読売社説6/24
【主張】郵政社長続投 経営透明化で信頼回復を 産経6/24
財界が、矛盾を力で乗り切ろうとしているように見える。
郵政民営化の狙いについては・・
山下唯志さん(吉井英勝衆院議員秘書)の講演で紹介しました。
郵政民営化一年、その矛盾とたたかいの展望 備忘録1/11
そこには民営化後の持株会社の株式配当にむらがる日米金融資本、という構図が浮かび上がっている。
また、西川社長の責任については、山下よしき参院議員のブログがわかりやすい。
日本郵政・西川社長「6つの責任」 辞任は当然 ! 09/6/9
6つの責任とは・・
① 「かんぽの宿」など国民財産をたたき売り
② ゆうちょ銀行「カード事業」など三井住友とゆ着
③ かんぽ生命「保険金未払い」を公表せず
④ 「障害者団体向け第三種郵便」の悪用を見逃す
⑤ 簡易郵便局の閉鎖など国民サービスの低下
⑥ 21万人の非正規労働者のワーキングプア化
この「6つの責任」はけっして西川社長個人の問題ではない。郵政民営化路線の当然の帰着であり、だからこそ、民営化そのものが見直しされなければならないと思う。
【郵政4分社化見直しも-総務相 民営化議論再燃か 共同6/23】 佐藤勉総務相は23日午前、日本郵政の経営形態に関して「実態に即した経営が必要で、議論しなければならない」と述べ、4分社化見直しの可能性を示唆した。那覇市内のホテルで記者団に対して述べた。 民営化の進ちょく状況を点検する政府の郵政民営化委員会(田中直毅委員長)は今春、経営形態の抜本見直しは時期尚早としていたが、総務相のこの発言により、見直し議論が再燃しそうだ。 理由として、総務相は「民営化で国民から見たら不便と考えられる問題が顕在化している」ことを挙げた。郵便配達員に貯金を頼めなくなったことや、窓口が業務ごとに分けられていることを例示した上で「郵便局の在り方としてどうかなと言わざるを得ない」と述べた。 さらに総務相は「郵政の民営化が、これでいいのかということをしっかりと日本郵政側と話さないといけないし、改善すべき点は改善する」と強調した。 西川善文社長の続投については「国民世論がこれで静まるわけにはいかないと思う。これを機に改善点を会社側としっかり話し合っていきたい」と述べ、理解を求めた。
【西川社長続投 ますます納得いかない 毎日社説6/24】
麻生太郎首相が西川善文日本郵政社長の続投を最終的に了承した。佐藤勉総務相が、かんぽの宿に関する業務改善報告書の最終案をもとに判断したことを追認したものだ。
かんぽの宿のオリックス不動産への一括売却が問題化してから約半年、政府は日本郵政グループのかじ取りを引き続き西川氏に委ねることになった。では、これですっきりするのか。かんぽの宿売却をめぐる日本郵政の対応、今回の西川氏らの責任の取り方、企業統治(ガバナンス)強化のための措置などを見る限り、依然として納得がいかない。
第一に、日本郵政はかんぽの宿の売却問題のみならず、障害者団体向け郵便料金割引制度の悪用や簡易保険の未払い、不払いなどでも経営姿勢を問われてきた。西川氏の報酬3カ月、30%返上や、西川氏に近い幹部社員の退職、日本郵政グループ経営諮問会議(仮称)の設置などで、けじめがついたと言えるのか。
第二は、この諮問会議の問題だ。3カ月以内に社外取締役から選任する会長が議長を務めることになっているが、社外取締役は指名委員長でもある牛尾治朗元経済同友会代表幹事や奥田碩前日本経団連会長、丹羽宇一郎伊藤忠商事会長らである。経済界で西川氏と親しく、小泉改革を強く支持してきた経営者だ。結論は最初からわかっているといわれても仕方がない。
自民党内の郵政民営化推進グループは、西川氏を民営化の象徴に祭り上げている。しかし、国民から見れば、郵便や貯金など公共性の強いサービスの質を維持していくことに最大の関心がある。それは重要な経営者選択の判断基準であるべきだ。
政府はこうした観点から西川体制の1年半をどのように評価したのか。西川氏が金融2社と持ち株会社である日本郵政の早期株式上場に向け、収益力強化を図っていることは事実だが、それだけが判断基準ではないはずだ。
国民の目を忘れてはならない。政府は05年の民営化関連法を審議した国会で、郵便事業でのサービス向上や郵便局全国ネットワークの維持を約束した。この約束は十分果たされていない。
第三に、手続きの問題だ。佐藤総務相は最終報告書を見た上で、続投か否か判断すると明言してきた。日本郵政は24日に提出する。なぜ、それを待ち、内容を国民にも開示し、判断しなかったのか。疑義が残る。
今回のトップ人事混乱は、麻生首相が揺れに揺れたことにかなりの責任がある。そのこともあり、郵政民営化をどう推進していくかといった論点は欠如したままだった。政治には猛省を促したい。
【西川社長続投 理解得られぬ甘い「けじめ」 読売社説6/24】 こんな決着で、国民の多くは果たして納得するだろうか。 日本郵政の西川善文社長の続投が、事実上、決まった。 佐藤総務相が22日、西川社長から本人を含む役員5人の報酬を自主返上する社内処分の報告を受けて続投を認め、麻生首相も総務相の判断を了承したという。 日本郵政をめぐる最大の疑問は「かんぽの宿」の売却問題だ。 2400億円もかけて整備した70施設を日本郵政はなぜ109億円の安値で売ろうとしたのか。売却先を選ぶ過程の記録が欠落するなど、民間では考えられない杜撰な手続きがまかり通った経緯も詳しく知りたい。 総務省は業務改善命令でこうした疑問への説明を求め、24日にも日本郵政が最終報告する予定だった。しかし、総務相は概要の説明を聞いただけで続投を認めた。 数々の疑問は、まだ解消されていない。混乱の長期化は得策ではないとみて、幕引きを急いだ印象がぬぐえない。 経営陣に対する社内処分にも問題が多い。 西川社長は、自身が頭取を務めた三井住友銀行から連れてきた幹部たちを「速やかに辞めさせる」と総務相に約束した。一方で、社長自らは報酬の30%を3か月間、自主返上するだけで済ませるというのでは、甘過ぎるだろう。 自民党からも、笹川総務会長が「(報酬返上で)自分の責任を認めたのなら辞めた方がよい」と述べるなど、疑問を呈する声が出ている。野党各党もこの問題の集中審議を要求するなど、批判は強まる一方だ。 やはり西川社長は、自発的に辞任するのが筋だろう。 日本郵政が示した改善策も、実効性に疑問がある。 経営への監視を強めるため、西川社長の上に会長を置き、新設する経営諮問会議の議長を兼任させるという。だが、会長は現在の社外取締役から充てる案だ。顔ぶれが変わらぬ「内輪同士」で、チェック機能は強まるだろうか。 西川社長の続投を決めた最終責任者は麻生首相である。 一方で首相は、鳩山邦夫・前総務相を「事態を混乱させた」として更迭した。著しくバランスを欠く対応だ。首相は数か月前、社長交代を前提に後継候補のリストを鳩山氏に渡していた。事態を混乱させたのは、心変わりした首相自身ではないのか。 首相に対する批判が高まるのは避けられないだろう。
【主張 郵政社長続投 経営透明化で信頼回復を 産経6/24】 「かんぽの宿」売却をめぐり、鳩山邦夫前総務相の更迭に発展した日本郵政の社長人事は、政府が西川善文氏の続投を決めたことで決着した。 西川氏が佐藤勉総務相に対して、自らの報酬を3カ月間30%返上する社内処分や「経営諮問会議」設置などのガバナンス(企業統治)強化策を報告し、了承を得た。一連の混乱で日本郵政に対する信頼は大きく揺らいだ。西川氏としてはけじめをつけたつもりだろう。 だが続投が決まったからといって西川氏の責任が帳消しになるわけではない。産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では西川氏続投を否定する意見が75%に上った。多くの国民は依然「かんぽの宿」をめぐる郵政の説明に納得していない。西川氏にはさらに経営の透明化と説明責任を果たすよう求めたい。 当面最大の課題はかんぽの宿の再売却だ。経営見直しの中での不稼働資産の処分は郵政改革における約束事である。透明な手続きを通じて、国民も納得する形での公正な入札を実施してほしい。 旧郵政公社時代から指摘されている不祥事体質からの脱却も課題だ。障害者団体向け割引郵便の悪用事件では職員が逮捕された。 社内調査によれば、簡易保険の不払いも約30万件に達する。早急に社内の意識改革を進めなければ、顧客の信頼回復は危うい。 今後の経営戦略も明確にしなければならない。今年3月期決算はNTTに次ぐ国内2位の最終利益を上げたものの、利益の大半はゆうちょ銀行とかんぽ生命の金融2社が稼いだ。一方では、郵便取扱量が減少して、郵便事業会社と郵便局会社の収益性はなかなか上がらない時代環境にある。 とはいえ、巨額の資金量をてこにいたずらに金融事業を拡大すれば、民業を圧迫して本来の民営化の趣旨に逆行する。大事なのは経営資源の選択と集中である。 これらの山積する課題の解決には、民営化の原点に立ち戻ることが必要だ。郵政改革は、貯金や簡易保険で集めた資金が財政投融資を通じて政府系金融機関などに回り、無駄な事業に流れていたと批判されたのがきっかけだ。 国民の間に広がった不信感は簡単に払拭(ふっしょく)できない。西川氏にはいま一度、「組織効率化と顧客サービスの向上」という民営化の理念に立ち戻り、改革を実行していく決意を新たにしてもらいたい。
【日本郵政・西川社長「6つの責任」 辞任は当然 ! 山下よしき09/6/9】 参院総務委員会にTVカメラが7台並びました。注目の鳩山総務相と日本郵政・西川社長が並んで座るからでしょう。抜群のタイミングで郵政問題の集中審議となりました。 日本共産党は、西川氏が日本郵政の社長に就任(06年1月)したときから「不適格」として反対してきました。理由は、三井住友銀行が中小企業に金利スワップ商品を押しつけ販売して大きな被害を出したときの責任者、頭取が西川氏だったからです。しかし、当時の竹中大臣が「西川氏には知見があるから」と就任させました。 その結果、日本郵政で何が起きたか。きょうはパネルにしてバーンと掲示しました。(TVカメラを予想していたので) 題して、「日本郵政 西川社長 6つの責任」。 ① 「かんぽの宿」など国民財産をたたき売り ② ゆうちょ銀行「カード事業」など三井住友とゆ着 ③ かんぽ生命「保険金未払い」を公表せず ④ 「障害者団体向け第三種郵便」の悪用を見逃す ⑤ 簡易郵便局の閉鎖など国民サービスの低下 ⑥ 21万人の非正規労働者のワーキングプア化 そう。西川社長の責任は「かんぽの宿」だけではないのです。私はひとつひとつ読み上げたうえで言いました。 「西川社長のもとで国民はこんなにも被害を被った。責任を取ってお辞めになるのが当然ではありませんか?」 西川氏は、「いったん引き受けた以上、民営化の土台をしっかりと築くことが私に与えられた責務だ」と答弁。 う~ん。国民に被害を与えた自覚と反省があまりにもなさすぎます。 私は、「あなたが“見当違い”の責任をまっとうすればするほど、国民の被害は拡大する。国民共有の財産が食い物にされ、地域社会を支えてきた郵便局のネットワークがほころび、職員のモチベーションは下がる。あなたが辞めることが、国民の立場から郵政事業を再生する第一歩になる」とズバリ! そして、日本郵政株式会社法第9条には「会社の取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議は、総務大臣の許可を受けなければ、その効力を生じない」とあることを示し、 「国民の立場に立つなら、仮に、株主総会で西川氏が社長に選任されたとしても、断じて『認可』すべきでないと思うが、大臣の考えを聞く」と質問。 鳩山総務相は、「政治家になって40年、日本共産党と意見が合うことはなかったが、きょうは8割方賛成できる。信念にもとづいて判断する」と答弁。 そこで、西川社長に「大臣の判断には従いますか?」と再質問。 西川社長もさすがに「法律で決めたことなので、法に従うまでだ」と答えざるを得ませんでした。 進退問題について「大臣の判断に従う」ことを西川社長が認めました。大臣にはしっかり判断してもらいたいと思います。 ただ、「6つの責任」はけっして西川社長個人の問題から生じたものではありません。郵政民営化路線そのものの当然の帰着です。 もともと郵政民営化の要求は、日米の大手金融機関から出たものでした。300兆円を超える郵便貯金と簡易保険、国民の金融資産を、日米の民間金融機関に明け渡せと迫ったのが郵政民営化の出発点でした。 そこから、6つ並べた国民の被害も生まれています。西川社長の辞任は当然ですが、それだけで問題は解決しません。郵政民営化そのものを根本的に見直すことがどうしても必要だということを指摘しておきました。
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