国保 無保険者の受診率は53分の1
保険医団体連合会が、国保の無保険(資格書、窓口10割負担)者の受診率を発表している。
国保資格書明書を交付された被保険者の受診率(2007年度)の調査結果について
一般被保険者の受診率と「資格書」を交付された被保険者の受診率の差は、53分の1(45都道府県単純平均:一般被保険者=794.924、「資格書」=14.83)と、大きな乖離が生まれている。
さらに受診率の格差が拡大傾向であること、「資格書」発行が収納率の向上につながらないこと、高すぎる保険料などを指摘している。
◆受診率の格差広がる
各都道府県の推計値
06年の51.8分の1から拡大。高知県は26.8分の1だが、前年の25.1分の1より拡大している。
同報告は「一般被保険者の受診率は、2006年と比べて全ての都道府県で上昇しているのに対し、「資格書」を交付された被保険者の受診率は、2005年対比が可能な41道府県中、27道府県で低下していました。41道府県の単純平均では、一般被保険者の受診率が21.471上昇しているのに対して、「資格書」の受診率は0.09の上昇でした。
2005年と2006年対比では、29道府県の単純平均で、一般被保険者受診率(31.583上昇)に対し、「資格書」受診率(1.12低下)でしたので、格差がさらに広がっています。」
◆資格書発行で収納率は上がらず
「資格書」の発行にかかわらず、2000年から2008年の収納率は一貫して悪化している。
17.50% 17.80% 18.00% 19.20% 18.90% 18.90% 19.00% 18.60% 20.90%
◆原因は高すぎる国保料
協会けんぽは保険料の半分を事業主が負担、健保組合では保険料の半分以上を事業主が負担しているため、実際に加入者が払う保険料で2倍以上違う。
国 保 8.72%(2006年)
協会健保 4.1%(2008年)
健保組合(平均)3.27%(2007年)
(※ 国民健康保険は、厚生労働省保険局:平成19年度版「国民健康保険実態調査報告」、協会健保は、法定負担、健康保険組合は健保連「平成19年度健保組合決算見込みの概要」)
低所得で国保料の2割、5割、7割減免を受けている世帯の平均所得は21.9万円(00年12月)、平均保険料は40190円。負担率は18.32%となっている。
(※ 厚生労働省保険局:各年度「国民健康保険実態調査報告」より。平均所得及び平均保険料は、年額)
*資格書の場合レセプトに「特別療養費」と朱書きされることから、全国各県の国保連合会に問い合わせ、「特別療養費」の数から受診率を推計したもので、詳しい計算方法は、同ホームページへ。
保険料を払っていても、窓口負担3割が心配で受診を抑制している例が多い。抜本改革は急務だ。
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