働くルールも先進国最低 ILO条約の批准
教育予算の低さ、子どもの貧困率など先進国でも最低の状況だが・・・働くルールでも・・
ILO・国際労働機関が、働くための最低限のルールとして定めた条約が188。日本の批准数は、先進国の中でも最低レベルの48。労働時間に関する17本の条約の批准はゼロ。派遣切りの横行は、その結果である。
おはようコラム 「労働ルールを“世界標準”に」 NHKおはようコラム 5/14
この恥ずべき事態の改善は、内需を拡大し経済を立て直す、少子化を解消するという国の政策推進にとっても重要だ。
ちなみに、1917年のロシア革命で生まれたソビエト連邦が8時間労働を定めたことを契機に、資本主義諸国も国際労働機関(ILO)を設立し、1919年に1日8時間・週48時間労働を定めた1号条約を採択している。日本は、世界が90年前に宣言した内容を、いまだ批准してない。
さらに1944年に、ILOはアメリカで開催した総会で、その目的を再確認した「フィラデルフィア宣言」を採択している。
その冒頭に「労働は、商品ではない」「一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である。」との基本原則が掲げられている。
2次対戦の最中であり「永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立できるという国際労働機関憲章の宣言の真実性が経験上充分に証明されていると信じ」と語っている。
歴史の教訓の目で、今一度、働くルールと貧困と平和の関係・・・日本社会のあり方を見つめなおしたい。
【おはようコラム 「労働ルールを“世界標準”に」 5/14】 働くことに関連して、ILO・国際労働機関が定めている条約について、批准を促進するための会合がきょう東京で開かれます。後藤千恵解説委員です。【質問1】きょう開かれる会合、具体的にはどのようなものなのですか?
ILO・国際労働機関の条約について、日本政府として、新たに批准すべきものがないか、批准するためにどんなことが必要なのか、政府、労働者側、使用者側、3者の代表が集まって検討する、年に一度の会合なんです。ILOの条約は、働く人の権利を守ったり、労働条件をよくしたりするために、これだけは守るべきだという最低限のルールを定めたもので、合わせて188。たとえば、雇用の差別を禁止する条約、労働時間の規制に関わる条約などがあります。
【質問2】日本はこれまでにどのくらいの条約を批准しているのでしょうか?
大変、少ないんです。これまでに批准した数は、先進国の中でも最低レベルで、48。条約全体の4分の1に過ぎません。とりわけ、労働時間に関する条約、合わせて17本あるんですが、日本は1本も批准していない先進国でも稀な国なんです。
【質問3】なぜ、批准できないのですか?
日本の労働法制が国際的な基準から立ち遅れているからです。批准しようにもできないわけです。たとえば、一日の労働時間。日本の法律では一日8時間ということで、この「原則」ではILOの条約と一致するんですが、残業については、ILOが「どうしても必要な緊急のときに限る」としているのに対して、日本では「労使の協定で認められる」として、いわば合法的に長時間労働を認める形になっているんです。その結果、たとえば年間の総労働時間、日本はドイツに比べて460時間も長くなっていますし、過労死、過労自殺など他の国にはない日本特有の問題を生み出すことにもつながっているんです。【質問4】きょうの会合では、どんなことが話し合われるんでしょうか?
労働者側の代表は、こうした残業や有給休暇に関する条約を批准できるよう、国内法を整えるべきだと問題提起する方針です。実は今年3月、雇用危機を克服するための取り組みとして、政府、労働者側、使用者側、3者が合意した文書の中で、「仕事と生活の調和」の重要性が謳われていまして、労働側は、それを実現するための具体的な法整備を進めることが、ILOの条約の批准にもつながると主張しています。労働時間は本来、労使が対等の立場で話し合って決めるもので、法律でどこまで規制すべきか、議論のあるところだとは思います。しかし、今の経済危機は、変革のチャンスでもあります。長時間労働が当たり前のように広がっている現状に歯止めをかけ、生活と調和の取れた働き方を広げるための新たなルール作りに向けて、一歩を踏み出してほしいと思います。
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