米軍艦 石垣寄港 「強制された友好親善はない」と市長
北朝鮮の「ロケット」騒ぎのさなか、沖縄の民間港湾に、復帰後はじめて米艦が入港した。「
米軍艦、本土復帰初の石垣寄港 市長・地元、反対の声 朝日4/3
友好親善のため」というが、市長は緊急記者会見で、「強制された友好・親善はあり得ない。基地のない島に軍艦が停泊しているのは大変異様な光景だ」。まったくその通り。
米艦の民間港湾への寄港が増えている。高知の宿毛にも一昨年、昨年とミサイル艦が入港。今年3月にも入港の打診があった。他人事ではない。
在日米軍再編の実施を担保する日米協定の承認をめぐり、国会での攻防の最中である。
それにあわせ、普天間基地の県内移設の動きも強引にすすめられている。
普天間代替アセス 県内移設の無理が分かった/環境保全の担保示せず 琉球新報4/3 そこには「米軍の要求に従ういびつな基地政策と、環境保護行政の貧困さを示すものだ。」と批判している。
【米軍艦、本土復帰初の石垣寄港 市長・地元、反対の声 朝日4/3】 在日米海軍の掃海艦2隻が3日午前8時すぎ、沖縄県石垣市の石垣港に入港した。米軍は「乗組員の休養と友好・親善のため」としている。同港に米軍艦艇が入るのは沖縄の本土復帰後、初めて。入港に反対してきた港湾管理者の大浜長照市長は緊急記者会見を開き、「強制された友好・親善はあり得ない。基地のない島に軍艦が停泊しているのは大変異様な光景だ」と憤りをあらわにした。 入港したのは、佐世保基地(長崎県佐世保市)の掃海艦「パトリオット」と「ガーディアン」。米軍からの通知によると、上陸人数は計128人で、5日正午に出港予定。 2隻が沖合から港に近づくと、岸壁では労働組合や平和団体などが抗議集会を開き、約50人の参加者が「軍隊は来るな」「市民は反対してるぞ」と大声を張り上げた。 遠巻きに見守る市民も多く、ある主婦(60)は「この島は基地ではないし、軍港でもない。米軍はいつでも自由に立ち寄れる港にしたいのだろうか」と不安げだった。 市は3月初めに米側からの通知を受けて以降、一貫して反対の立場を取ってきた。しかし、日米地位協定は米軍の民間港湾の使用を認めており、自治体に拒否する権限はない。米軍は07年5月にも同港への入港を市に打診したが、大浜市長が反対したため断念。同6月に沖縄・与那国島の祖納(そない)港に入港した経緯がある。外務省によると、全国の民間港湾への米軍艦の寄港は過去5年間、17~28隻で推移している。 ■知事「地元の意向に反し入港、疑問」 沖縄県の仲井真弘多知事は「地元自治体の意向に反し、親善・友好を目的として入港したことには疑問を呈さざるを得ない。米軍基地が集中する本県においては、米軍は米軍施設を使用すべきで、緊急時以外は民間港湾を使用しないよう自粛を強く求める」などとするコメントを出した。
【普天間代替アセス 県内移設の無理が分かった/環境保全の担保示せず 琉球新報・社説 4/3】 沖縄防衛局は米軍普天間飛行場の名護市辺野古沿岸部への移設に向けた環境影響評価(アセスメント)準備書を県などに提出した。 今後、県知事や住民の意見を受けて評価書をまとめる予定で、作業手続きは新基地建設へと大きく踏み出した。しかし準備書は住民生活や優良な自然環境の納得できる保全措置を示すものではなく、かえって移設計画の無理、不合理さが浮き彫りになった。 準備書は本来、住民生活や自然環境への事業の影響をはかり回避・軽減の手法を示すものだが、県や地元との事前調整もなく、準備書提出の段階で唐突に4カ所のヘリパッドほか複数施設が追加された。軽減すべき環境負荷がさらに増したと言うほかない。問われる基地建設の是非
また、米軍が配備計画を認めている垂直離着陸機MV22オスプレイについても準備書は触れていない。使用機種が不明のままでは住民生活への影響や危険性の軽減を評価しようがない。
海域の埋め立てに大量の海底土砂を使用する計画に、知事意見が環境への影響を懸念していたことについても、「購入先の選定を検討する」と不明確なままだ。
ジュゴンの生息域を辺野古北方の嘉陽沖と限定、埋め立てや航空機の騒音が影響を与えないとしていることにも疑問をぬぐえない。
県や名護市が政府案の沖合移動を求めていることから、準備書は政府案と沖合移動の6案について海域・サンゴ・海藻類の消失面積などを比較検討。3案について「環境面では(政府案と)優劣つけがたい」とし、沖合移動の可能性を残した。最終局面で沖合に“微修正”し円満決着を演出するシナリオもささやかれる。
いわば政府案を含めた7案を相対評価し比較優位の場所に落着させる方向性だが、環境問題の専門家は、「沖合移動か政府案かでなく、基地を造るか造らせないのかが争点」と指摘する。「県土面積に占める埋め立て面積の比率が2001年以降全国一」とも指摘し、「沖縄観光は美しい海あってこそだが、自然海岸がなくなっている」と批判している。
国の天然記念物で絶滅危惧(きぐ)種のジュゴンやウミガメ、餌となる海草・藻場などへの影響について準備書は「最大限の環境保全措置により、影響は総じて少ない」などとするが説得力に乏しい。環境保護団体はこの間、「海を埋め立てジュゴンやサンゴの生息環境を破壊しながら保護策は講じようがない」と批判してきた。
新基地計画に国内の自然保護団体は一致して反対している。批判は国内だけでなく、国際自然保護連合(IUCN)も海域のジュゴン保護勧告案を3度にわたり採択している。
国内外の世論は辺野古周辺海域の自然破壊を危惧し、基地建設の中止を求めている。
準備書はそうした国内外の世論と合理的な懸念の指摘に耳をふさぎ、「辺野古移設ありき」の発想で影響の軽微さを強弁し、実効性の疑わしい保全策を提示するものにしか見えない。
米軍の要求に従ういびつな基地政策と、環境保護行政の貧困さを示すものだ。静穏な自然残す東海岸
日米政府は辺野古基地建設に固執しているが輸送、展開能力が迅速化したことで、米海兵隊が沖縄に駐留する必要性を疑問視する軍事専門家の見方もある。
沖縄本島の西海岸はホテルや観光施設など開発が進み、静穏な自然環境が残る北部東海岸は将来の大切な観光資源となる。
とりわけ辺野古周辺はジュゴンやサンゴなど、持続的な観光産業の発展に寄与することは間違いない。
基地と観光は共存できない。平穏な住民生活も同様だ。県民の多くが新基地建設に反対し、県議会の多数野党も反対している。
もとより県も辺野古海域を「自然環境の保全に関する指針」で最も高い「評価ランク1」に分類している。県は辺野古海域が県内で有数の自然環境を守るべき地域であることを自ら評価している。ここに基地建設を認めることは県の環境保護行政にも大きく矛盾する。
国や県は不要な基地建設のために貴重な自然を破壊することなく、辺野古海域を含めた東海岸地区の自然の価値と発展可能性を再評価し、地域の資源をいかに保全するかの方策をこそ考えるべきだ。
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