市営住宅 無視された「減免制度」
先日、高知の市営住宅についての外部監査報告を見て、減免制度を知らせていない、福祉が軽視されていると書いたが、27日に緊急に建設常任委員会が開催されるなど急展開をはじめた。
本日、都市整備部住宅課から議員団に説明があった。が、減免されていれば、年5万円近く家賃が安くなることが明らかになった。
減免規定は、公営住宅法16条(家賃の決定)、市営住宅条例20条(減免または徴収猶予)にもとづき1998年4月1日に制定された「高知市営住宅使用料等の減免及び徴収猶予等取扱要領」による。
「要領」の減免の基準は第3条
(2)に「地方税法第295条第1項の規定による市町村民税の非課税世帯であるとき、当該住宅使用料の4分の1を減免する」。(3)に「前項の非課税世帯のうち、収入の基礎となる収入金額がないとき 当該住宅使用料の2分の1に相当する額」
とある。
「地方税法第295条第1項」とは、市町村税の非課税を定めたもので
・生活保護をうけている。・障害者、未成年、寡婦又は寡夫(これらの者の前年の合計所得金額が125万円を越えるものを除く。)
となっている。
ちなみに、収入と所得は違う。給与収入のみの場合は、約204万4千円、65歳以上で年金収入のみの場合は245万円が非課税の対象となる。
こうした減免の内容…義務規定でなく「できる」規定なのだか、一切知らせてなかったのだから、行政の瑕疵は明白だ。
今日の説明では、母子世帯住宅に入居している116世帯(うち生活保護22世帯)が減免の対象となり、減免されてなかった金額は、概算で月45万、年間540万円となるとのこと。
1世帯で年間約5万円近くなる。
しかも外部監査で指摘されたように、母子世帯住宅以外に入居している母子、父子世帯は把握できてないし、障害者の範囲も広い。高知市は要介護認定者についても、所得税、住民税の「障害者控除」を受けられるよう認定書を出している。
どれだけ問題がひろがるのか、今のところわからない。
今日の議論では、生命保険会社が特約の実行をしてなかったということで、過去に遡って支払いをしている。それはコンプライアンスの問題だ、という指摘があった。時効は5年ということであったが、過去の分について、どうするかの検討はされていなかった。
5年にさかのぼれば、上記の計算であれば一世帯25万円という金額の損害賠償が発生する可能性がある。
外部監査では、市営住宅内の不法駐車、駐車場代をとらず車庫証明を出している、無許可改造など様々な問題点が報告されている。場合によっては、特別委員会が必要かもしれない。
人事は、すでに、この4月に一新され、問題処理対応の布陣となっている。新しい課長には、同情も覚えるが、この際、思い切って、刷新をしていただきたい。
それもトップがどう判断するかに、かかっているのだろうが…
【「包括外部監査」で指摘された駐車場と増改築の部分】
◆駐車場使用料
以上のことから、駐車場使用料の決定が合理的になされているとはとうてい認めがたい。駐車場使用料の決定に当たっては、合理的な説明を果たせるよう基準を設けることを検討されたい。
(2)敷地の目的外使用による駐車場について
公営住宅法において、市営住宅の敷地に整備された駐車場は公営住宅の共同施設として位置付けられている。一方で、市営住宅の敷地に駐車場が整備されていない場合の敷地内の空きスペースの駐車場利用については、「公営住宅の敷地内における駐車場の設置及び管理について」(平成3 年4 月1 日住総発第15号 住宅局長から都道府県知事あて通達)により取り扱うこととされている。
この通達によれば、駐車場の法的位置付けとして、公営住宅の敷地を公営住宅入居者の保有する自動車の駐車場として使用させる場合は、駐車場を整備・管理する主体に対する、当該敷地の地方自治法第238 条の4 第4 項に基づく目的外使用許可により行うことし、その設置は公営住宅の管理上支障のない場合に行うものとすること。なお、公営住宅の敷地を直接入居者に自動車駐車場として使用させる場合は、その使用者に対する目的外使用許可によることとされている。
高知市における敷地の目的外使用による駐車場利用について確認したところ、使用料は徴収せず、目的外使用許可も与えていない。車庫証明が必要な場合は、車庫証明を出しており、事実上黙認状態である。
このような目的外使用許可を与えずに敷地を利用させることは適切ではない。
通達に従い速やかに適切な処置を講じるべきである。
◆違法増改築
市営住宅の増築等は、原則として禁止されていることから、過去の無断増築については黙認することなく適切な措置を講じる必要がある。また、無断増築について入居者との個別の折衝は勿論重要であるが、その他、無断増築等の対策について撤去等を含めて高知市の広報誌あるいは新聞等マスコミを十分活用してPR(広報)に努める必要がある。
増築等の承認については、過去において厳正な処理をしていたことを示す書類も発見されているが、すべての住宅について完全に整備されているわけではない。市営住宅の増築等の承認手続きは旧地域改善向住宅整備事業の経緯と相まって一部なしくずし的に行われていた歴史もあるやに聞き、負の遺産があまりにも大きく、処理に要する労力は莫大なものになると予測される。しかしこの際臨時の人員配置をおこなってさえ、入居者が退去時に撤去すべき部分を明確にするためにも全市営住宅を対象に増築等の承認書類を整備すべきである。
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