夕張になるわけない 高知市の財政危機の程度
昨日の行財政特別委員会。財政危機の原因に、都市計画税をとってないことをあげるのはおかしい、というのは一定の合意になったようだ。ただ、「夕張の例は誤解を招く」という複数の会派の意見には、「財政再生団体と言ってもわからない。夕張ならイメージしやすい」という行政側の説明があったに聞いた。市民をミスリードするとんでもない話である。
以下、総務省のデータをもとに見てみましょう。〈下段に語句説明〉
・実質赤字比率 財政再生・基準
夕張 730.71% 15%
高知市 - 11.25%
・連結実質赤字比率
夕張 739.45 20
高知市 5.22 16.25
・実質公債費比率
夕張 39.6 35
高知市 19.3 35
・将来負担比率
夕張 1237.6 350
高知市 308.7 350
〈数字はいずれも%〉
もっとも重要な指標は、収入で支出をまかなえているか、その赤字がどれくらいあるか、というのが実質赤字比率と連結実質赤字比率である。
夕張の連結実質赤字の規模は、標準財政規模の7.4年分にも達する。
高知にあてはめると・・・
高知市の標準財政規模 808億27百万円〈2007年度〉なので
財政不足〈赤字〉が、5981億円というとんでもない額となっている。
今、高知が議論しているのは、5年間で旧プランの財政再建計画では、100億円台で財源が不足するというもの・・・
それは、標準財政規模の10数%をどうするか、というもので、まったく水準が違う。
すでに書いたように、借金返済額も2013年をピークに減少する。きびしいのは間違いないが「全国最高の負担で最低のサービス」を2024年まで強いられる夕張のような再建計画になるわけがない〈この計画自体、人権無視の憲法違反であり、また、すでに破綻しているが・・・〉。
誤解を恐れず言えば、一時借り入れして、借金返済のピークの山の形をながらかにすれば済む話でもある。
それなのに、行政側は、夕張の記述にこだわった・・・ 正確な情報より、印象で勝負したい、ということだろう。
説明を聞くほどに、財政危機を口実に、スリムな自治体となり、そのあとで中心部の開発やら投資的経費をドンと使える自治体にしたい、ということに思えてならない。
どんな市政運営するかという価値判断以前の問題だ・・・ このまま行くのなら住民説明会は、そのこと自体を問題としないといけない。
【語句の説明~ 総務省HPより】
1) 実質赤字比率
当該地方公共団体の一般会計等を対象とした実質赤字額の標準財政規模に対する比率
2) 連結実質赤字比率
当該地方公共団体の全会計を対象とした実質赤字額又は資金の不足額の標準財政規模に対する比率
3) 実質公債費比率
当該地方公共団体の一般会計等が負担する元利償還金及び準元利償還金の標準財政規模※に対する比率
4) 将来負担比率
地方公社や損失補償を行っている出資法人等に係るものも含め、当該地方公共団体の一般会計等が将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模※に対する比率※ 標準財政規模から元利償還金等に係る基準財政需要額算入額を控除した額
早期健全化基準 / 財政再生基準
・実質赤字比率 都道府県:3.75%市区町村:財政規模に応じ11.25%~15%/都道府県:5%市区町村:20%
・連結実質赤字比率 都道府県:8.75%市区町村:財政規模に応じ16.25%~20%/都道府県:15% 市区町村:30%
・実質公債費比率 都道府県・市区町村:25%/都道府県・市区町村:35%
・将来負担比率 都道府県・政令市:400%市区町村:350%/ -
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