先生・競争の現場 「毎日」
毎日新聞が、変わる学校現場の連載を始めました。教師が、上の決めた課題をこなす「実務遂行者」に変化させられ、子どもが、学びという自己反省の取組みから排除され、荒れていく一端が感じられる。先日、備忘録で書いたことが想起される。
先生:競争の現場から/1 「いい子」が荒れ始めた 毎日 4/14
貧困問題で、マスコミが役割を果たしたように、積極的な実態の報告を期待したい。
「児童と教員忙しくなる」7割超 新指導要領で小学校長会調査 共同4/4
「全国学力調査 開示請求と目標管理の暴走」 備忘録
【先生:競争の現場から/1 「いい子」が荒れ始めた 毎日 4/14】 「ぼくはできません」。運動会のリレー選手に選ばれて断る子などいるのだろうか? 4年前、東京都杉並区の小学校で6年生を担任していたベテランの男性教諭は驚いた。 男児は成績優秀、運動能力も抜群で、クラスのリーダー的存在だった。2週間かけ説得したが、私立の進学校を目指しており、朝の練習が負担だという。次のタイムの子にも次々断られ、本番まで冷や汗の連続だった。 翌年も6年生を担任した。別の学級では、成績上位の複数の男児が教師を困らせていた。消火器を道路にぶちまける。1年生相手に鉄の棒を振り回す。最後はみな、有名私立中に入学していった。 受験組は塾で成績順に座らされる。杉並区では小3から中3まで毎年、区の学力テストがある。小4と中1は都の、小6と中3は国の学力テストもある。 「ゆがんだ競争で成績のいい子が荒れ始めている」と男性教諭。疲れきって他校に転任した教員もいた。「情熱を持った先生がつぶれていく」。男性教諭は唇をかんだ。 ■ ■ 教育特区として、5年前から小中一貫英語教育を始めた金沢市。 「うちは5割を超え、平均より上でした」。ある市立中学校の職員会議で、校長が3年生の英検3級取得率を報告すると、ほっとした空気が流れた。金沢では小3から英語を「教科」として教え、成績もつける。小6で中1の教科書を学び、中3の英検3級取得率は42・8%と全国平均の2倍以上だ。 市教委は独自に英語の副読本を作り、どこまで進んだか、副読本で何時間勉強したか--などについて、各校に報告を命じている。 「足りないと何か言われると思い、時間数を水増ししたこともある。管理が強まるほど、気持ちがすさむ」。英語の男性教諭はため息をつく。 ビートルズの歌を聞かせ、歌詞の意味を考える。英語を楽しめるそんな授業を実践してきたつもりだが、最近は「授業の進め方をがっちり固められ、ためらってしまう」。小学校で既に英語コンプレックスを持ち、授業についていけない子をどうすべきか、日々悩む。 金沢市は04年度から2学期制にして行事を減らし、国が定めた標準より30~90時間多い授業数を確保。独自の指導基準「金沢スタンダード」を作り、小5で台形の面積の求め方を習うなど、国の標準より多くの項目を学ぶよう義務づけてきた。 反発する教師もいる。 「スタンダードで教える項目を朱書きしてください」。授業計画である「週案」に、金沢独自の取り組みを赤ペンで書き込めという市教委の指示を、ある50代教諭は無視している。「自主性を奪っている。教師は『これさえやれば文句をいわれない』と、一人一人に合わせた指導を考えなくなる」と批判する。 金沢市教委はいう。「先生にはきついと思う。100%受け入れてもらえたわけではないが、学校が自立する過程の最中で、努力してもらいたい」 × × 学校では今、全国学力テストをはじめとする競争や、数値目標による教師や学校の管理が進む。現場に先生を訪ねた。=つづく
「児童と教員忙しくなる」7割超 新指導要領で小学校長会調査 共同4/4 新学期から授業時間や学習内容が増える新学習指導要領の先行実施に対し、公立小学校の校長の7割超が児童や教員が忙しくなると考えていることが4日、全国連合小学校長会(池田芳和会長)の調査で分かった。 新たに導入される外国語活動(英語)や授業時間増の算数、理科に課題があると不安に感じていることも分かった。 調査は昨年夏に実施し、全国861校の校長が回答した。授業時間増などに伴う課題(複数回答)では、73%に当たる630校の校長が「児童の負担が増え、授業や生活が忙しくなる」と回答。「教員の負担が増す」との答えも80%に上り、教員の増員が必要との声が目立った。 増加する授業時間の確保方法(同)では、時間割を増やすのが86%で最多。次いで学校行事の精選が70%あった。「夏休みなどを短縮」は11%だった。 教科指導に対する課題(同)は、5、6年生で始まる外国語活動を挙げた校長が75%で最も多く、教員の指導力向上策が必要とする回答が88%もあった。算数と理科についても、69%が授業準備の時間確保で難しさがあるなどとした。
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