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現状でも低すぎ 保育所の最低基準研究報告 

  厚労省の委託を受けて認可保育所の最低基準の調査研究を進めてきた「機能面に着目した保育所の環境・空間に係る調査研究委員会」の研究結果の概要が、全国社会福祉協議会のホームページにアップされた。
機能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業
「報告書の概要」
 報告は、現在の最低基準について、食事の場と午睡の場を分けることができないなど「さまざまな課題がある」と指摘し、「現在の面積基準をさらに切り下げることや、切り下げられるような仕組みを導入することは、一人ひとりの子どもの発達に応じた保育をさらに困難とするものであることから、少なくとも、現行の最低基準以上のものとなるよう取組みを進めることが重要である」と「規制緩和」に否定的見解を示している。

昨年、規制改革会議は、厚労省の意見交換で、「『機能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業』において、設備基準(数値基準)の科学的・実証的な検証がなされ、その結果を受けて、厚生労働省として保育所の施設設備に関する最低基準を見直すものと考えてよろしいか。」と質問しているように、同調査は、面積基準の緩和などを検討している「保育制度改革」の根拠となるよう「期待」されていたが、そうはならなかったようだ。

 全体の報告は500ページを越える膨大でものだが、以下に結論部分がかかれている(7頁)。

「おわりに ~子どもの発達を支えるための環境を考える~」

 少し拾い上げて見ると・・・

「保育所における必要な諸室や1 人当たり面積といった施設面の設備基準については、昭和23 年以来60 年もの間、質の向上を図る見直しがまったくなされていない状況にある。」「少子化という社会問題を抱えるわが国においては、今こそ子どものための保育の質の向上を図ることがきわめて重要であり、保育所における施設面の基準の見直しもその一環として行うべきである。」

1. 諸外国と比較して低い日本の最低基準
「日本の子ども1 人あたり面積基準が諸外国と比較して低い規準にあることがわかった。また、日本は、面積基準が低いことに加え、対象面積に廊下や可動式の収納設備の置いてある床面積を含まないという記載がないために、これらの床面積を差し引くと子どもの実際の活動スペースは、必ずしも最低基準に規定されている面積が確保されていないという課題も見えた。」
「今回の調査では、保育活動の機能面から、職員配置基準とグループ規模についても各国の状況を比較した。その結果、日本は諸外国と比較して職員の配置基準は低く、特にグループ規模が大きいということがわかった。日本では子どもの人数のグループ規模については規定されていないが、諸外国では「3 歳未満児については最大6 名、3 歳以上児については最大13 名」等と小規模なグループ化が規定されており、大きいグループでも15 名程度となっている。保育所保育指針にもとづき子ども一人ひとりに応じたきめ細やかな保育を提供するためには、グループの小規模化が必要であり、職員配置基準のあり方を保育実践に照らしながら改善していくことが今後の検討課題である。」

2. 保育所の実態と物的環境が及ぼす影響
「食寝を同室で行っている場合と専用の食事室を設置している場合の比較は興味深い。専用の食事室を設置している場合には、「調理室の様子を見ることができる」や「配膳や後片付けへの参加状況」が食事室なしの場合に比べて高い割合を示した。」「また、食事室があるとあそびのコーナーを多様にセッティングできることが確認され、幼児のあそびにも影響があることが認められた。」など、食事と午睡が重ならない空間を確保を課題としてあげている。

3. 保育所に係る新しい面積基準の考え方
保育所に係る新しい面積基準については、観察調査の結果や建築設計資料集成39にもとづくデータを踏まえて、手を伸ばしたり、歩いたり、作業をする際に、人がその行為をするために必要な空間「動作空間」と、いくつかの動作空間を基本として生活行為ができるための空間領域「単位空間」という建築設計の考え方から算出することとした。この基準は、観察調査等により空間の必要性を確認したうえで、下記の条件で算出を行なった。

・2歳未満児に必要な面積基準は、4.11 ㎡/人以上とする。ただし、ほふくやあそびのために必要な空間が含まれておらず、この面積に加算して考えることが必要である。

・「あそび」の際に「食事」と「午睡」の空間を利用できる場合には、2歳以上児に必要な面積基準は、2.43 ㎡/人以上とする。ただし、「食事」や「午睡」の専用室を設け、「あそび」の際に「食事」と「午睡」の空間を利用しない場合には、「あそび」の空間(1.99 ㎡/人)とともに、必要な「食事」の空間(1.03 ㎡/人)または「午睡」の空間(1.40 ㎡/人)を確保することが必要である。

4. 保育所の空間・環境を考える
「もちろん都市部等では土地を確保することも難しい状況もある。整備財源の確保がままならないという理由で待機児童問題も解消できない現状もあることも事実である。
しかし、新たな保育の仕組みが検討されている今日において、子どもの発達保障の場として児童福祉施設である保育所には、子どもの活動スペースとして子どもの活動のための「単位空間」を確保した面積を満たす部屋の設定(廊下や収納を保育室面積に含めるのではなく、子どもの活動スペースとして確保すること)や保育所保育指針に書かれた保育を提供するための諸室、空間を備えることが必要である。そのうえで今後の保育所においては、地域の拠点としての機能を供える等、多様な機能の基盤づくりが重要な課題となっている。重要政策として、子どもの育ちの保障を「未来への投資」として、子どもの育ちを支える環境づくりが求められる。」

「本調査研究の成果は大きく2 つある。第一はこれまで60 年間手付かずであり、科学的な根拠がないとされてきた「子ども1 人あたり面積基準」の算定を試み、数値を導き出したことであり、第二は面積等の数値基準のみではなく保育所の機能面から保育の質を高める物的な環境・空間の定性的基準の作成を行ったことである。」として、現在の最低基準について課題を示している。

「① 2歳未満児 乳児室(1.65 ㎡/人)
個人差もあるものの、だいたい6 か月後には、ほふくや離乳食が始まるが、ベビーベッドを置く(1.55 ㎡/人)と、ほふく等をするスペースがなくなる。(したがって、0 歳児については、ほとんどの施設で3.3 ㎡/人を超えており、4.98 ㎡/人(=1.65 ㎡/人+3.3 ㎡/人)を確保している施設も少なくない。)

② 2歳未満児 ほふく室(3.3 ㎡/人)
食事の空間(約1.68 ㎡/人)、午睡の空間(約1.23 ㎡/人) 、移行のための空間(約1.20 ㎡/人)を確保することが困難。この場合、食寝分離ができないか、食事の空間や移行の空間が狭くなり十分な介助等が難しくなるか、午睡の空間が狭くなり布団の上を歩くこと等になるかなどの問題がでてくる。

③ 2歳児以上 保育室又は遊戯室(1.98 ㎡/人)
食事の空間(約1.03 ㎡/人)と午睡の空間(1.40 ㎡/人)が重ならざるをえない。この場合、食寝分離ができないか、食事の空間が狭くなり十分な介助等が難しくなるか、午睡の空間が狭くなり布団の上を歩くこと等になるかなどの問題がでてくる。
※ 2歳未満児 認証保育所(2,50 ㎡/人)
そもそも食事の空間(約1.68 ㎡/人)と午睡の空間(約1.23 ㎡/人)を分けることは非常に困難。」

として
「したがって、現在の面積基準をさらに切り下げることや、切り下げられるような仕組みを導入することは、一人ひとりの子どもの発達に応じた保育をさらに困難とするものであることから、少なくとも、現行の最低基準以上のものとなるよう取組みを進めることが重要である。」

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