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北の「ミサイル」 「騒ぎ過ぎ」と元防衛大臣も

「飛翔体はミサイルと断定したのか」との記者の質問に対し、官房長官は「言葉ではそうだが、最終的にはさらに分析を要する」と語ったとのこと。「ミサイル」と呼ぶ根拠は、 ①人工衛星が軌道にのっていない ②国会が決議したから、というもの。ミサイルと断定はしてないが、ミサイルと呼ぶという筋の通らない話。
冷静で、道理にたった対応こそ肝心だ。
特集ワイド:北朝鮮「ミサイル発射」 もっとクールでもよかった?
「飛翔体」から「ミサイル」に=呼称変更、衛星の実態なし-官房長官 時事4/10
 今朝の朝日新聞に、久間・元防衛大臣のインタビューが載っている。「北の『ミサイル』、日本は騒ぎ過ぎた」というタイトル

 「どんなに考えても今、北朝鮮が日本めがけて撃つはずがない」「騒ぎにしたのは、おたくら(マスコミ)でしょう」
「中国、ロシア、韓国も引っ張りこまないと。…北朝鮮の非核化は中国も重視しているはず。そこに英知を絞るべきです。」
強硬論について、「日本が敵基地を攻撃する意思・能力を持ったと受止められたら・・・韓国や中国からどんな反応がでくるか。それを視野に入れながら議論するのではなく、やられっぱなしじゃだめだ、先手を打てと。そういう議論が先行しがちです」「選挙を意識して・・・テレビカメラを意識して行動している面も大きい、昔なら議員仲間で軽蔑されたものです」と苦言。
「高揚せず、過剰にならず対応するのが大事です。今は何かあると、ワッと性急に議論が進んでいく。それは怖いなと思いますよ」
 自衛隊の対応やミサイル防衛計画を当然視したうえでの話たのだが、それでも氏の意見がまともに聞こえるところに、今の状況がある。

 毎日の特集の中では、アンドリュー・ホルバート・スタンフォード日本センター所長が「日本が突出すればするほど、金総書記は5カ国の歩調を乱してくれると喜ぶでしょう。」として、「声高『迎撃』ポーズ、外交上は逆効果」との主張が紹介されている。

 ちなみに読売を見ると「飛翔体という言い方をしてるのは政府と赤旗だけだ。恥じなきゃけいない」(町村元官房長官)等、自民党側の批判の強まりで、「ミサイル」と呼ぶことに「見切り発車」したと解説してある。。
 

【特集ワイド:北朝鮮「ミサイル発射」 もっとクールでもよかった?毎日4/10】
北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射した。「人工衛星発射」の通告から約1カ月、列島は騒然とし、異様な“緊張度”は発射当日にピークに達した。発射から5日、あの空気は何だったのか。聞こえるべくして聞こえてきた「冷静に」との見方に耳を傾けた。【宮田哲、根本太一、鈴木梢】
 
◇「嫌な国」広まっても 関心、議論のチャンス--静岡県立大教授・伊豆見元さん
 北朝鮮が「人工衛星」を積んだと主張するミサイルが上空を通過することと、ミサイル攻撃を受けることの区別が社会についているのか、今回の騒ぎにはそんな印象を受けました。攻撃ではないから被害が出るなら事故でしたが、その可能性も極めて低かった。
 ミサイル防衛(MD)への受け止め方にも違和感がありました。本来はミサイル攻撃を迎え撃つためのものを、落下物を破壊するために使おうとした。持っているものは使うべきですが、本来の迎撃行為を行うかのような高ぶった空気が生まれていました。
 政府は「平常の生活を」と呼びかけていたし、新聞も正しく書いた。だが、国民に浸透したかは疑わしい。政府、メディアとも、「説明した」のでしょうが、通じていないなら、責任を果たしたとは言えません。事故発生の確率の低さをもっと言うべきでした。これを教訓にパッと聞いただけの印象でも誤解のない説明方法を考えるべきです。
 北朝鮮が日本の騒ぎをどう受け止めているかは分かりません。ただ、発射前の日本の対応は北朝鮮にとっては役立ちました。北朝鮮は今後の交渉のために米国との関係悪化は避けたかったからです。日本への批判を前面に出すことで、米国批判を抑えられました。朝鮮人民軍総参謀部は日本に「『迎撃』行為を敢行したら、報復の攻撃を加える」とまで警告しましたが米国にはそこまで言わなかった。
 北朝鮮は「嫌な国」だという気分が社会に広がった可能性はあります。感情論に流れる危険性はある一方で、北朝鮮への関心が高まっている今こそ、冷静な議論の好機でもあります。危険な目に遭わされる可能性はあったのだから、二度とこんなことはやらせてはいけません。政府は「拉致、核、ミサイル」と言ってきたが、国民のミサイルへの関心は拉致などに及びませんでした。今なら「どうすれば北朝鮮にミサイルをやめさせられるか」という問いが、多くの人の胸に響くはずです。

 ◇声高「迎撃」ポーズ、外交上は逆効果--スタンフォード日本センター所長、アンドリュー・ホルバートさん
 日本政府の対応は、洗練されていたとは言えません。感情的に「迎撃、迎撃」とこぶしを振り上げ、たった一人で歌舞伎の決めポーズを取っているかのようでした。北朝鮮に圧力をかけているつもりだったのでしょうが、逆に国際社会で四面楚歌(そか)になる可能性さえあるのです。
 小泉純一郎首相(当時)が02年、平壌に行って金正日総書記と会いました。国交正常化交渉の機運が生まれたわけです。ところが拉致の問題に焦点が当たり、世論が憤りました。一部の政治家が反北朝鮮政策を声高に唱え始め、双方の関係は冷却化してしまいました。
 北朝鮮は悪で、日本は善の単純な構図ができた。ナショナリズムをあおるのに北朝鮮は「便利な敵」なわけですね。政治家は勇ましい姿を見せることが国民感情に応えることだという短絡的思考に陥りました。その延長の表れが、今回のミサイル騒動の「茶番劇」でしょう。
 しかし、敵視するだけの外交で、日本に成果はあったでしょうか。日本政府は圧力に固執していました。今回もミサイル発射を受け、日本は国連安保理で北朝鮮非難の決議を主張しています。けれども日本が突出すればするほど、金総書記は5カ国の歩調を乱してくれると喜ぶでしょう。
 中国やロシアの声も聞きながら、6カ国協議に参加する5カ国が協調態勢を徹底し、北朝鮮を完全に包囲することです。北の指導部は、それを最も懸念しているはずです。
 国際社会では、核の脅威を取り除くという目的に、拉致という「国内事情」を優先させる日本の考え方は通じません。感情的な外交姿勢は短期的には国内での支持を広げられるでしょうが、今、政府に求められるのは北朝鮮をテーブルに着かせて5対1の構図を作ることです。これこそが、拉致の解決を含めた長期的な国益なのだというビジョンを国民に誠意を持って示すべきなのです。

 ◇「万一」にそろう歩調、竹やり精神的で異様--軍事評論家・前田哲男さん
 打ち上げの一連の経過を見ていると、戦時下の「一億一心」という言葉が浮かび、政府と国民が一つになった異様さを感じました。異論が出てこない社会の雰囲気は決して健全ではありません。
 政府の情報開示については一定の評価をしますが、大量の情報が出されただけで、透明度の高さは疑問です。「木を隠すなら森」と言いますが、情報の肝心な部分を隠し、信じさせたい情報を発表していたのではないでしょうか。
 ミサイルやその一部が落下する可能性を「極めて低い」としながら、政府は大量の情報を流すことで、国民の不安を高めました。危険は「ない」のが前提なのに、「ある」として備えるジレンマがありました。さらに、「万が一」の事態への対応が、あたかも可能であるかのように語られました。そもそも迎撃ミサイルはミサイル等の軌道に従って予測した位置を狙い破壊するもので、バラバラになって落下してくる破片に対応するものではない。太平洋戦争中の「竹やりでB29は落とせる」と同じ精神論でしょう。
 現代史を振り返っても、政府の判断にただ付いていくだけでは危険。メディアは多様な視点を提供すべきで、政府のスピーカーではない。過去の検証や諸外国の見方を丁寧に伝えるなど、もっと独自の報道をすべきでした。
 緊急情報システム「エムネット」を活用したことも心配です。首相官邸から全国市町村に危機管理情報が伝えられたのは、中央統制下の訓練の予行のように見えました。
 また、今回は自衛隊法を改正して初めて、弾道ミサイル破壊の判断を現場に委ねる「破壊措置命令」を発令しました。航空総隊司令官が迎撃ミサイル発射を決定することもあり得ました。今回、政府ではなく現場が防衛上の重大な判断をするようなことがなかったのは、情報公開により現場が国民の目にさらされていたからとも思えます。その点はまだ救いでした。
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 ■人物略歴
 ◇いずみ・はじめ
 1950年生まれ。平和・安全保障研究所主任研究員を経て87年、静岡県立大助教授。現在は同大教授、同大現代韓国朝鮮研究センター所長。
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 ■人物略歴
 ◇アンドリュー・ホルバート
 1946年ハンガリー生まれ。父がシベリア抑留から解放された56年、一家でカナダに亡命。AP通信、米英紙の東京特派員などを経て、現在は東京経済大客員教授も。
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 ■人物略歴
 ◇まえだ・てつお
 1938年生まれ。長崎放送記者を経て、フリージャーナリストに。元東京国際大国際関係学部教授。沖縄大客員教授で、専攻は軍縮・安全保障論。

【「飛翔体」から「ミサイル」に=呼称変更、衛星の実態なし-官房長官】  河村建夫官房長官は10日午前の記者会見で、北朝鮮のミサイル発射について「国連安保理決議に違反する弾道ミサイル計画に関連すると断定した」と表明した。その上で、これまで「飛翔(ひしょう)体」「ミサイル関連飛翔体」としてきた呼称も、初めて政府として「ミサイル」と変更した。  その理由について、河村長官は「人工衛星の実態がなく、衆参両院の国会決議でミサイルという言葉が使われたことも踏まえた」と述べた。  ただ、「飛翔体はミサイルと断定したのか」との質問に対し、河村長官は「言葉ではそうだが、(高度、速度など)最終的にはさらに分析を要する」と語った。   「飛翔体」の呼称については、自民党内から「ミサイルとはっきり言うべきだ」との批判が出ていた。(了)

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Comments

■北朝鮮最高人民会議 奇策路線に未来はない―ますます孤立する北!?
こんにちは。北朝鮮のミサイルの打ち上げ動画はもうごらんになったでしょうか?この動画、よく見ると、点火の直後に2段目と、3段目の継ぎ目から黄色っぽい液状のものが噴出していることがはっきりわかります。これは、明らかな燃料漏れです。これは、素人目にもはっきりわかります。この燃料漏れもあったので、飛翔距離も伸びずミサイルの打ち上げに失敗したものと思います。以前の北朝鮮ならこんな動画は公表しなかったでしょう。北朝鮮の追い詰められた実情が良くわかります。イランは今年の2月に人工衛星を軌道に載せることに成功しています。ミサイルの闇市場での主導権も失った北朝鮮、ますます世界から孤立するしかなくなりました。詳細は是非私のブログをご覧になってください!!

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