「恒常業務は常勤が原則」と総務省
自治労連が、非正規職員の待遇改善を求めて総務省交渉をした模様が配信されている。
一般の労働者に認められている権利さえない自治体の非常勤職員の劣悪な処遇がわかる内容となっているが、総務省側の矛盾の深さも分かる。
「自治体に働く非正規職員と関連労働者にかかわる要求署名」50257筆を提出、抜本的な処遇改善・均等待遇を求め総務省に要請 3/11
総務省側は、一方で、「恒常的な業務には常勤職員が原則」とか、「公の施設の管理運営については、直営で行うのが原則」と語っており、崩されつつも、たたかいの足場になる「原則」の重さを確認できる。
このあたりは、地方議会でも「原則はなにか」を確認させることも重要となるのではないか。
【交渉での回答とやり取り】
1.自治体非正規職員の「均等待遇」を確立するため、「任期の定めのない短時間公務員制度」の創設等の法整備を行うこと。
【回答】
「任期の定めのない短時間職員制度」については、その検討の必要性について報告されていたが「任期付の短時間制度」を導入するとき「国家公務員の動向も踏まえて慎重に検討すべき」との答申を受けている。現在は「任期付短時間勤務職員」制度の普及・啓発に努めているところである。
2.「改正パート労働法」及び「非常勤給与指針」の趣旨を踏まえ、自治体非正規職員の「均等待遇」を確保するよう通知すること。
【回答】
人事院勧告で出された「給与指針」については、地方公務員についてはその主旨はなじまない。地方自治体の場合、様々な任用根拠に基づいており、それぞれの自治体において適切に対応されていると認識している。
3.自治体非正規職員に対する「雇止め」については、労働基準法をふまえ、最大限の雇用保障をはかる立場から対応するよう助言すること。
【回答】
自治体の臨時非常勤職員の場合、雇用更新されるということではなく、1年ごとに新に設置される職に任用される場合があり、「再度の任用」がおこなわれるということである。したがって「雇止め」にはあたらない。しかし、職が継続してあるのに、雇止めするのはいかがかと思う。
4.自治体非正規職員に、育児・介護休暇などを適用するよう対応すること。
【回答】
自治体の非正規職員は、本来一時的・臨時的な職に従事している者であって、恒常的な職に従事することが予定されていないので、適用されないと言うこと。
5.指定管理者制度について、廃止を含め、抜本的に見直すこと。
【回答】
公の施設の管理運営については、直営で行うのが原則であり、指定管理者制度の導入については、地方公共団体の判断により行われているところ。制度の見直しについては現在のところ考えていない。
以上の回答を受け、自治労連から、「非正規は臨時的・一時的というが、今回総務省の調査でも明らかなように全国に50万人いる非正規職員のほとんどが、恒常的な業務に従事し、正規職員と同様な仕事をしている。担任も持っている非正規保育士もたくさんいるではないか」との追及に対して、総務省は「(調査結果から非正規職員の)現状は認識している」と回答しましたが、その状況の改善については「恒常的な業務には常勤職員が原則」とし、「恒常的業務に従事している非正規職員は、正規化するということか」との問いに対しては「定数内で適切に対処していただく」と現実的でない回答に終始しました。
また、「地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告」に基づく「臨時非常勤職員の厳格適用」についての年度内通知については、「雇止めを誘発するものでないことを徹底すること」を確認しました。
引き続き自治体非正規職員の現状をしっかり認識して、その改善に向けて奮闘するよう要請して交渉を終えました。
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