国保の独自減免廃止 国の事務方の「圧力」
高知市が国保の障害者、高齢者、寡婦を対象にした独自減免を廃止しようとしている。その理由に、「総務省から基準外繰り入れは適切でない、と指導されている」ということなのだ・・・
最近の国会論議ではそんなことは問題になってないからだ・・・
国会会議録で「国民健康保険 繰出し」「国民健康保険 独自減免 是正」とかいくつかのパターンで検索しても、この10年間はヒットしない。逆に・・・
◆07年10月25日の参院厚生労働委員会
小池議員が、後期高齢者医療制度の独自減免について質問している。
・小池「確認しておきたいんですが、国保では比較的自治体からの一般財源の繰入れがやられて、そういうこともあって恐らく東京ではこの差が出ているという面もあるんだと思うんです。局長で結構なんですが、例えば国保と同様に自治体から広域連合への独自繰入れによって高齢者の保険料を引き下げる、あるいは各自治体が独自の施策で減免を行うということは新しい制度では可能なのか。」
・厚生労働省保険局長「法定外繰入れがかなり大きい、ざっと言いまして三百億円ぐらいこの後期高齢者のグループには投じられているわけであります。」「法律上の制度とは別に、例えば保険料の賦課総額の算定に当たりまして、広域連合の収入の一部として一般会計からの繰入れを行うといった方法によりまして、都道府県及び市町村において議会の議決等の手続を経た上で独自に保険料の減額を行うことは妨げられるものではないと、このように考えております。」「独自に保険料の減額を行うことは妨げられるものではないわけでありますので、正に妨げるようなことはいたしません」
◆02年6月5日衆院厚生労働委員会
小沢議員が、市町村の独自減免に対する厚労省のペナルティーと言える措置を追及したものだが・・・その中で
・小沢議員 「全国の市町村は、少しでも住民の国保税負担を軽減しようとして、多くのところで、一般財源からかなりの額を国保の特別会計につぎ込んでいます。全国で幾つの市町村がどれぐらいの一般財源を支出しておるでしょうか」
・政府参考人「平成十二年度におきまして、全国で千四百六十六市町村、総額で二千二百五十四億円というのが私どもの承知しておるケースでございます。」
・宮路副大臣「地方自治体それぞれの独自の事情を加味しながら、考慮しながら、地方単独事業として医療費の助成事業を行っておるわけであります。 そういったことをされること自体は、これはまことに結構なことであることはもちろんであるわけであります」
と、独自減免については「まことに結構なこと」「妨げるものではない」というのが厚生労働省は述べている。だから現に多くの自治体が実施している。
ところが、国会で国はこう答弁しときながら、一方で、総務事務次官名で
「事業勘定に対する一般会計等からの繰出しは、保険基盤安定制度に係る経費、国民健康保険事務費、出産育児一時金に係る経費の一部、国保財政安定化支援事業に係る経費及び一般住民を対象とする保健事業に係る経費の一部を除き、その性質上行うべきものではないことにかんがみ、財政援助的な繰出しを行っている地方公共団体にあっては、その是正に努めること。」(平成20年度地方財政の運営について 平成20年6月6日)という通達を出している。
国保は自治事務であり、自治体が決めた施策を、国の事務方が、国会の答弁とも相容れない「是正」を求めるというのはどういうことか。国会で追及してもらうよう相談したが・・・
ただ、全国の多くの自治体が繰り入れをしているもとで、「指導」を口実に、独自減免の廃止に向かうのは、「福祉の心」が問われているのだと思う。
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