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群馬・高齢者施設火災と「貧困」

 群馬県の高齢者向け住宅の火災。高齢者の貧困と政治の貧困が見えてくる。
進まぬ身元確認、入所者の孤独浮き彫り 高齢者施設火災 朝日3/22 
今年の2月3日放送の「クローズアップ現代」が今回の火事に警鐘をならすかのように「介護つき住宅の落とし穴」を放送していた。

番組の紹介にはこう記してある。
 今、東京近郊の県にある「無届け有料老人ホーム」のトラブルが相次いでいる。生活保護受給者を受け入れ、介護保険でケアも受けられるとしているが、入居した高齢者の中には、十分な介護サービスが受けられていないという人も少なくない。実は、入所者の多くは、住所を東京都内に置いたままで、生活保護や介護保険を区から受給。区は、こうした施設を黙認し積極的に利用してきた。
 背景にあるのが低所得でも介護をうけられる施設の不足。介護報酬は全国一律なので、土地代や人件費が高い都心では施設建設が進まないのだ。介護が必要となった低所得の高齢者をターゲットにしたビジネスの実態に迫る。

 同番組の話の例を紹介すると・・・、
・ 東京都大田区で生活保護の81歳の男性。単身で車椅子生活。
 区の紹介で、千葉県の介護つき老人施設に入居。8畳間に男女3人が押し込められていた。介護サービスの入浴も1度もなし。
 施設は、生活保護費や介護報酬を手にする一方、サービスは手抜きしていた。「貧困ビジネス」である。それで苦情、トラブルが絶えない。
 「姥捨て山だ」「なんでこんなひどい施設を紹介したのか」との怒りの声が紹介されていた。
 住民票を残したまま、他県の施設に入居してい例は、判明分で478人もいる。

・区の福祉事務所の話。
 生活保護を受けていた人が高齢になり、要介護状態などになったときに入れる施設がまるで足りず、苦肉の策として、生活保護費などを区から支給したまま、他の自治体にある無届けの施設にも受け入れてもらっていた。担当者は 「ほかに選択の余地がなく、千葉の施設に一筋の光が見えたという気持ちだった」と担当者。

・都が「住民票の移動を」と指令で混乱に拍車
都は、遠くの施設では実態把握が難しくい。そもそも、実際に住んでる自治体に住民票がないのは法令に違反していると、住民票の移動を指示した。
 介護施設の利用者が増えれば、自治体の負担が増え、保険料アップにつながる。受け入れた自治体が「話が違う」と強く反発している。
 都側が負担する前提で80人の老人を受け入れている茨城県かすみがうら市は、介護保険給付だけで2億円も負担が増えることとなり「給付費が急に1割もアップする。昔から居る市民には理解できない話だ」「(住民票を移動させるということなら)これまでの協議は考え直さなければ」と話していた。
 
 貧困な高齢者の押しつけあいが始まっているのである。

 今回の火事以前にも、同種の事故で、防火施設なとの設置など義務づけがはじまっているが、さらに夜間職員の配置などの規制がつよまるだろう。

 一方で、民家を改造したその落ち着きが認知症の高齢者が不安を与えないなどの利点があり、自主的な運営をしてきた多くの施設が困難に陥るという問題がある。
グループホームの防火新基準

 要は介護報酬の低さなど社会保障の貧困さに起因するのだが・・・

 同時に、地方を疲弊させ、東京一極集中の経済構造をつくったことが、保育にしても、老人施設にしても・・・大きな矛盾を生み出していることを痛感する。

【進まぬ身元確認、入所者の孤独浮き彫り 高齢者施設火災 朝日3/22】  群馬県渋川市の高齢者向け住宅「静養ホームたまゆら」で19日夜に起きた火災で、21日夜までに10人の入所者が亡くなった。入所者の名前はすべてわかっているが、親族に連絡が取れない人も多く、遺体が誰なのかを確認する作業が進んでいない。その遅れの背景には、入所者の孤独な境遇が浮かび上がる。  渋川署によると、この日までに身元が判明したのは搬送先の病院で亡くなった3人だけだ。現場に残された7遺体は損傷が激しいこともあり、身元を特定できていない。7遺体のうち3人が男性、1人が女性と確認されたが、残る3人は性別もまだ把握されていない状況だ。  身元確認などのためには親族への連絡が必要になる。同署に自治体も協力してきたが作業は難航しているようだ。  「たまゆら」に15人の生活保護受給者を紹介した東京都墨田区。20日に同区の担当ケースワーカーが親族に連絡を取ったところ、ある親族から返ってきたのは怒声だったという。「何で電話したんだ。縁を切ったのに」。もともと身寄りのない人の場合は、連絡すら取れない。その後、親族への連絡は、署側に任せたという。  一方、21日昼までに入所者の親族の側から区役所にかかってきた電話は1本のみ。「事件を知り、巻き込まれたのではないかと思って電話した」と淡々と話したという。  火災現場には21日、区職員と群馬県議が献花した。それ以外に花は見かけられず、手を合わせに訪れる人もほとんどなかった。  入所者は地元の自治会にも入っておらず、日常的な住民との交流はなかったという。「見舞いに行く関係もできなかったのは、さびしいものです」と近所の会社員の男性(47)は話した。  「たまゆら」を運営するNPO法人「彩経会」の高桑五郎理事長(84)によると、入所者が亡くなり、遺体の引き取り手がない場合には施設で葬儀を営んでいた。年に10回ほどはあったという。  群馬県内の警察医によると、火災の被害者の身元がわからない場合は歯による鑑定が重要になる。親族などに連絡が取れて、かかっていた歯科医院などが判明すれば身元確認につながる。  だが、親族と連絡が取れても治療していなかったり、カルテが保存されていなかったりすれば照合できず、作業は困難さを増すことになる。

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