平成の合併は終了すべき 全国町村会が意見書
全国町村会が地方制度調査会専門小委員会に「基礎自治体のあり方等について」という意見書を提出している。
「基礎自治体のあり方等について」
平成の大合併を厳しく批判し、小規模自治体や広域行政のあり方で、合併一辺倒の総務省に対し、モノを申している。
高知県では、最も財政力が強い高知市(吸収合併を実施)が、身の丈にあわない投資事業の結果、もっとも深刻な財政危機にあることを見れば、「自治体経営の観点から、一定の規模・能力が必要」という政府の説明は、実態を反映してない。
意見書は、平成の大合併について
「多くの町村を半ば強制的に理念なき合併に走らせた。
その結果、『合併して良かった』という声はほとんど聞こえず、むしろ、『住民と行政との距離が遠くなり、周辺部が寂れ、地域間格差が拡大した』というのがこれまでの合併の実情ではないか。」
「総務省の研究会がまとめた、『合併の検証』の報告書は、こうした合併に対する怨嗟の声に耳をふさぎ、合併のメリットだけが強調されており、しかも、そこにある評価は、主観的・情緒的なものであって、到底『強
いられた合併』の実態を明らかにしているとはいえない。」
さらに、道州制への危惧とともに合併に終止符を打つことを求めている。
「いくつかの道州制構想では、さらなる大幅な基礎自治体削減案も伝えられているが、仮にこれがそのまま実施されれば、日本は事実上、広域自治体ばかりで、基礎自治体なしという奇観を呈しかねず、住民自治の形骸化を招くことになろう。
これ以上、合併を無理強いすることはやめるべきである。「平成の市町村合併」は、「合併新法」の期限(平成22年3月)をもって終止符を打つべきである。」
また、小さな自治体についても
「小さな自治体は職員の数が不足し、行政能力が劣るかのようにいうのは、自治とは住民が自ら治めるものだという基本を忘れた見方であり、一種のドグマである。互いに顔が見える小さな自治体ほど、住民が力を合わせやすい。実際、大きな都市とは違い、小さな自治体では、職員が集落の中核になり、大事な行事には村中が総出で当たるなど、「行政と住民との協働」は日常的である。住民を含めた「地域力」を総合的に見ない限り、小規模自治体の能力を判断できるものではない。それぞれが抱えている地域の諸事情に配慮しあい、力の足りないところを互いに補いながら頑張っているのが地方の実態であり、そのことをこそ正当に評価すべきである。」
「どの地域においても、国民一人ひとりが安心して暮らすことのできる国土の多様な姿に見合った多彩な基礎自治体の存在こそが地方自治本来のあり方である。」
「小規模町村がどういう事務権限を持つかという狭い制度論ではなく、小規模といえども町村が自立できる途を模索し、国としてどういう支援ができるかを考えることこそが必要ではないだろうか。」
と述べている。
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