大分キャノン事件 「逆風」続く財界
派遣切りで「人を大事にしない経営」と逆風の財界だが、かんぽの宿の「規制改革」利権に続いて、大分キャノン工事をめぐる脱税と… ある意味、本性が次々とあきらかになっている。
大賀容疑者「御手洗家と200年の仲」、キヤノン関連仲介 読売2/11
大賀容疑者 『まるで御手洗氏の秘書』 ゴルフ手配 食事、飛行機も 東京新聞2/11
財界トップとゼネコンと政治家・官僚の癒着~ 税金を食い物にする醜い姿がそこにある。
少し拾って見て箇条書きにしてみると・・・
・容疑者は、御手洗会長との「仲」を背景に口利きで鹿島から裏金
御手洗氏と一族ぐるみの付き合い。容疑者長男の結婚式にも異例の出席
・容疑者の隠し所得34億円の多くはキヤノン株の購入に
・大分県は、キャノン新工場の土地造成をキャノンの強い要求で、鹿島と随意契約。
しかも、契約後、設計変更で11億円も増額し80億円に。
80億かけて造成した土地を50億でキャノンに販売。
・大分県は、キャノンに53億円の補助金を投入
・広瀬大分県知事の選挙を御手洗会長、容疑者が応援
広瀬氏は、知事の前は、財界の指導官庁である経産省の事務方トップ。
この関係について、日刊サイゾーの記事の中に、「御手洗家といえば江戸時代から名をはせた大分の学者の家系で、その末裔が日本最大手の、カメラを中心とした精密機器会社を興した。大賀家は、その“大番頭”として仕えてきた家系。さらに広瀬家は、大分選出の国会議員を生み出した政治家一家。広瀬知事の兄は、あのテレビ朝日の広瀬道貞会長という華麗なる家柄で、御手洗家とは古くからゆかりある関係なんです」というものがある(狙われた御手洗キャノン 裏金問題は弾けるのか!? )
徹底調査は当然。この政財官の癒着構造を見ると、御手洗会長の道義的政治的責任も、経団連の影響力低下も避けられないだろう。
しかし、財界から献金をもらって、「モノを言われている政党」に、国民の願いをこたえる政治ができるはずがない、と改めて思う。
【大賀容疑者「御手洗家と200年の仲」、キヤノン関連仲介 読売2/11】 「キヤノンの工事は大賀社長を通すのが決まり事になっていた。求められれば、裏金でも支払わざるを得なかった」。 キヤノンの工場新設工事を巡る法人税法違反事件で逮捕されたコンサルタント会社「大光」(大分市)社長・大賀規久容疑者(65)側に30億円以上のリベートを提供していた鹿島の幹部はこう証言した。下請け業者に過ぎない大賀容疑者が大手ゼネコンを恐れさせるほどになった力の源は、財界トップに上り詰めた御手洗冨士夫・キヤノン会長(73)の威光だった。 「私は社員の結婚式には一切、出ないことにしていますが、新郎のおやじの友人として出席しました」 大賀容疑者の知人によると、2003年5月に都心のホテルで開かれた結婚披露宴で、御手洗会長はこうあいさつした。当時はキヤノン社長に就任して9年目。新郎はキヤノンに勤めている大賀容疑者の長男だった。 大賀容疑者は、御手洗会長との関係を「200年の仲」と称していた。大賀容疑者の親族らによると、両家はともに大分県佐伯市で江戸時代から続く旧家で、御手洗家は庄屋を務めたような家柄だという。 御手洗会長の叔父でキヤノン創業者の毅・元会長(故人)と大賀容疑者の父親は親友で、御手洗会長は大賀容疑者の実兄と佐伯鶴城高の同級生。実兄は1961年、キヤノンの前身のキヤノンカメラに入社し、御手洗会長も同期だった。 実兄は実家の工務店「日建」を継ぐため77年12月に退社するが、「退職後もアポなしで御手洗会長に会いに来ていた」(キヤノン元幹部)という。日建はキヤノン新宿本社の内装工事などを受注し、御手洗会長も91年に横浜市内の自宅を同社から購入した。 ◆私設秘書 初めは日建の社員だった大賀容疑者は、この一族ぐるみの付き合いを強固にした。御手洗会長がゴルフをする時には予約や送迎を引き受け、地元・大分に帰ると移動用の高級車を用意。常に影のように付き添う大賀容疑者は、いつしか「会長の私設秘書」と見られるようになった。 43歳でキヤノンUSAの社長、2年後に本社の役員に就任。「将来の社長」と目されていた御手洗会長に、大賀容疑者が尽くした理由は同郷のよしみだけだったのか。 以前、大賀容疑者と取引のあった鹿島元社員は、「独立して、東京で活躍したい」と言われたことを記憶している。その数年後の90年、大賀容疑者はキヤノングループの工場や社宅用地の取得・開発を目的に「大光」を設立。元社員は「御手洗会長らの人脈でやっていけると思ったから、独立したのだろう」と受け止めたという。 元社員の感想通り、大光などは静岡県裾野市の研究施設などの用地開発を手始めに、キヤノン関連のいくつもの工事でゼネコンの下請けに入り、大分事業所の警備も請け負った。御手洗会長が副社長、社長、日本経団連会長と階段を上ると、大光などのビジネスも拡大。やがてキヤノンへの売り込みで、企業から謝礼を受け取るようになった。 ◆大賀詣で 04年10月、脱税事件の舞台になったデジタルカメラ工場が大分市に完成した。完工式の会場にできた輪の中に御手洗会長や広瀬勝貞・大分県知事とともに、大賀容疑者の姿があった。工事や資材調達を請け負いたいと、大賀容疑者の前に名刺を手にした地元業者の列ができたという。 鹿島に工場用地の造成を発注した大分県土地開発公社の幹部は「大賀さんに特別な便宜は図っていない」と言いながらも、「知事や御手洗会長と対等に話をするような人で、私たちには雲の上の存在」と話す。 今回の事件では、大賀容疑者とともに逮捕された元大分県議会議長の長田助勝容疑者(80)も御手洗会長の親類にあたる。 御手洗会長は10日、大賀容疑者の逮捕を受けて東京・大手町の経団連会館で取材に応じ、「友達が起こした事件。非常に遺憾に思っているが、それ以上でもない。徹底的に調査し、事件にはキヤノンも私も関与していないことははっきりしている」と話したが、キヤノンの代理人のように振る舞う大賀容疑者を知るゼネコン関係者は、御手洗会長の責任は重いと指摘する。 鹿島の元幹部は完工式で見た光景が忘れられないという。「式を主催したうちが呼んでもいないのに、大賀さんがキヤノンの側にいるんだよ。大光や日建はうちから見たら下請け会社。施主の方に座っているのは、おかしいでしょ」
【大賀容疑者 『まるで御手洗氏の秘書』 ゴルフ手配 食事、飛行機も 東京新聞2/11】 「財界総理」とも呼ばれる日本経済団体連合会会長でキヤノン会長、御手洗冨士夫氏との親密な関係を利用し、キヤノンの代理人のように動いていたとされる建設コンサルタント会社「大光」社長大賀規久容疑者(65)が十日、法人税法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕された。口利きビジネスで得た巨額の資金の多くはキヤノン株購入に充てたとみられる。特捜部は、キヤノンが発注した大規模プロジェクトを舞台にした不透明な金の流れの解明を目指す。 「私は社員の結婚式には出ないことにしておりますが、新郎のおやじの長年の友人として参加しました」。二〇〇三年五月、都内の一流ホテルで開かれた大賀容疑者の長男の結婚式。出席者によると、キヤノン社員でもあるこの長男の披露宴で、御手洗氏は主賓のあいさつをした。御手洗氏とは家族ぐるみの付き合いだったという大賀容疑者。大分県内のキヤノン関連工場の竣工(しゅんこう)式で、影のように御手洗氏に寄り添う姿に「まるで私設秘書だ」という声が漏れた。 「休日にゴルフへ行く時、御手洗さんのゴルフ場や食事、飛行機の手配をやっている」。二人を知る関係者は数年前、大賀容疑者本人からそう聞いた。 二人の出身地・大分県佐伯市の関係者によると、御手洗家と大賀家はともに名家。大賀容疑者の口癖は「御手洗家とは二百五十年来の付き合い」だった。大賀容疑者の兄は名門の佐伯鶴城高校で御手洗氏と同級生で、キヤノンに入社した。退社後は、経営する建設会社が神奈川県内の御手洗氏の自宅の設計、施工をするなど、親密な関係が続いていた。 ◆御手洗氏『弁護する気もない』 キヤノン会長の御手洗冨士夫氏は大賀規久容疑者が逮捕されたことを受けて東京都内で取材に応じ、「わたしもキヤノンも何ら関与していない」と繰り返した。 大賀容疑者の逮捕に「非常に驚いている。容疑が事実であれば許されることではなく、長年の知人だが弁護する気もない」と述べた。 大賀容疑者との関係は「普通の友だちで、年に一回会う程度だった。(ゴルフや会食では)大抵わたしが支払っていたと思う」と説明した。 報道陣から「大賀容疑者が会長との関係を誇示しながら影響力を保っていた」と指摘されると「気づかなかったことは残念。悔しい思い」と険しい表情のままだった。御手洗氏はこれに先立つ会見でも友人関係は認めた上で「事件は非常に遺憾で、風評被害を迷惑に思っている」と蜜月関係を否定した。 <解説> キヤノン関連施設の工事受注に絡む脱税事件は、ゼネコンの裏金が不正の温床になる実態を再び浮き彫りにし、発注元の企業と建設会社の間で口利きして巨額の利益を上げるコンサルタントの存在をあぶり出した。 事件は、ゼネコン最大手の鹿島が東京国税局から、二〇〇六年三月期までの二年間に約六億円の所得隠しを指摘されたことが発端だ。 下請けに架空の外注費を払うなどして裏金を捻出(ねんしゅつ)したが、同社は所得の大半の使途を明かさず、重い税率が課される使途秘匿金として制裁課税された。 この課税制度が設けられたのは、大手建設会社の幹部が贈賄容疑で相次いで東京地検特捜部に逮捕された一九九三-九四年のゼネコン汚職事件が契機だった。 その後、公共工事をめぐる裏金工作は減ったとされるが、今回の事件に象徴されるように民間の大型工事では巨額の裏金が動くといわれる。民間プロジェクトの不透明な資金の流れは、脱税の温床になりかねない。 大賀容疑者の三十四億円に上る隠し所得の大半は、キヤノン株の購入に充てられていたとみられる。キヤノン側は「大賀氏側とは不正な取引は行われていない」としているが、大賀容疑者側からキヤノン側に何らかの資金の還流はなかったのか、大分県がキヤノン工場を誘致した際に、不透明な資金の流れはなかったのか、が今後の捜査の焦点となるだろう。
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Posted by: 古井戸 | February 12, 2009 09:04 AM