四万十市の選択 雑感①
4月に四万十市長選が実施される。澤田市長が、リーフや広報で、さかんに「実績」「手腕」を宣伝している。
その中心は、「新庁舎建設(合併で財源不足克服)」「財政危機を克服(全国トップクラス)」と合併成果や「人脈で不可能を可能に」とか、主張に、どうも違和感がある。
市町村合併は、派遣切り、医療崩壊、金融危機などで破綻が明確になった『構造改革』路線から出てきた「地方切り捨て」路線である。それを促進するために、一定期間のアメ・財政措置が用意されたわけで、ふるさとの未来を奪う「構造改革」路線にのって、当面の「財政改善」をしたからといって、誇るべきものではないのではないか。
財政危機克服(全国トップクラス)と、後援会リーフに書いてあるが、意味がわからない。
07年度の市町村の決算状況(県・市町村振興課)を見てみると、財政が厳しい高知県の34市町村の中でも
経常収支比率 96.2% 27位
実質公債費比率 18.7% 21位
地方債残高比率242.5% 27位
積立金残高比率 35.7% 26位
実質赤字比率 -1.00% 29位
連結 〃 -0.75% 31位
将来負担比率 194.5% 28位
という数字だ。
私は、単に指標がよければよいとは思ってない。自治体として何もしなかったら、指標はよくなり、住民サービスを前進させれば、指標は悪くなるので・・・ 要はその内容。
しかし、上の指標で「財政危機克服(全国トップクラス)」とは、何なのでしょうか。
問題は、合併後10年(あと6年)たって、交付税の算定換えなどの財政手当てがなくなった時のことである。
公報の中で、中村、宿毛、清水と予算規模はほぼ同じだったが、「今は二倍の開き」とも言っているが、合併前の予算総額は、宿毛、清水は110億円、中村140億、西土佐37億で、そもそも西土佐をはずして比べるのはおかしい。
今は清水、宿毛は90億円台と縮減しているが、四万十市も旧2市村の合計を維持しているだけであり、それもあと6年。土佐清水では、子どもの医療費が中学まで無料とか、介護サービスの減免措置とか、他の市にない個性を持って努力しており、単純に財政だけで比べ他市を見下すべきではない。
それよりも、合併特例債を利用した新庁舎、ケーブルテレビの設置など、今後の維持費増など固定的支出増はどうなるのか。村であったときと比べれば、西土佐の疲弊は加速度的にすすむのではなにか、その手当ては… などが問題となるだろう。
なにより、「合併」に逃げなくては、当面の財政運営ができなかったことをどう総括するのでしょう。
「平成の大合併」を町村はどう見ているか
全国町村会は、合併を検証(08.10月)し否定的見解を出している。
「市町村を合併に向かわせたのは、財政問題」
◆国・府県の強力な指導
・ 公債費の増加、地方交付税削減などの財政問題、府県の強力な指導により、小規模市町村は合併を余儀なくされた。国の合併推進策も、財政措置に偏るなど、強引さが顕著。合併によって生じたさまざまな弊害
・ 合併した市町村で見られた財政支出の削減効果は住民サービスの低下を伴うもの。また、行政と住民相互の連帯の弱まり、財政計画との乖離、周辺部の衰退など、さまざまな弊害が顕在化。
◆合併しなかった町村で生まれる、自治の新たな可能性
・ 合併しなかった町村では、厳しい財政状況の下、行政と住民が「愛着」と「責任感」を共有し、手触り感のある範囲で身の丈に合った地域経営を推進。
・ 既存の財政的基準、規模の大小のみで市町村の行財政運営能力を評価することなく、合併を選択せずに、行政と住民の連帯を活かした効率的な行財政運営に取り組む市町村を、正当に評価することが必要。
としている。
他に「人脈の厚さ 不可能を可能に」との項目が並ぶが、この見識、市のリーダーとしてどうか。
「市民病院の医師不足の逆転」・・・
医師不足で救急対応ができなくなるという深刻な事態は、現市政のもとで生まれたわけで、そのもとで、市民や病院職員の署名運動や県議会での質問・要望など、市民あげての取り組みがあって、また全国的問題となって、医師確保へ流れが転化したわけで、「人脈の厚さで不可能を可能に」と、自分一人でやったように言う姿勢はいかがなものか。
だいたい、それだけ「人脈が厚い」のなら、医師不足になる前に手当てができるわけではないでしょうか。
高速道路の延伸も上げられている。
この事業も、多くの関係者の力で進められている。それとも、知事をはじめ他の自治体の首長、国会議員などは「無能」で、自分の力だけ「不可能を可能に」したと言いたいのだろうか。失礼な話ではないか。
不適切な発言や行動で物議もかもし出しているが・・・
いま、求められるのは市民と行政が力をあわせて取り組むことである。この点をとっても、市民と「協働」を進める資質に欠けているように思う。
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