My Photo

« 生活の多重困難に総合支援 千葉県 | Main | 二次補正と同和随契 »

障害者「自立」支援法 新たな制度を 備忘録 

 生きることに必要なサービスを「益」として負担をしいる「自立」支援法。施行3年目の見直しの時期となっているが、この間の大きな運動で、2度の見直しを余儀なくされ、政府の「介護保険」との統合という「大戦略」破綻。廃止して、障害者権利条約にふさわしい新たな制度設計が必要だ。
09.2「議会と自治体」より備忘録。

 障害者「自立」支援法 廃止し、新たな制度を ~ 09.2 議会と自治体より

1 日本共産党「政策提案」のしめす打開方向 橋本輝夫
応益負担と報酬削減で深刻な事態 3年後の見直し時期 どう解決するか
(1)3年の「見直し」をめぐって
政府の見直し / 障害者福祉サービスの利用負担~軽減措置を4月以降も継続。が、「応益負担」は継続
         報酬は、4月に5.1㌫増だが、「月額制」に戻しはせず
         育成医療 中間所得層の上限額を軽減したが、抜本見直しは先送り
   ~ 社会保障費抑制路線に、固執しているから
・「廃止」可決し、新法制定への道
 他の野党も、障害者団体のアンケートに「廃止」と回答(障全協新聞 08.10)
   自民は無回答、公明党は「抜本見直し」~ 参院では廃止法案可決できる。総選挙の結果で新法も

(2)自立支援法「抜本見直し」をめぐる論点
・政府 見直しで済ます根拠は、二度の軽減措置~“平均的な負担率は3㌫に。応能負担の考えを考慮”
   → 2度の改定は、大きな運動の結果! 「応益負担」がいかに実態を無視しているかを裏付けるもの
   ~ 実態として、サービスの抑制・断念は3.4㌫いる(党国会議員団アンケート)
・憲法と障害者権利条約に反する自立支援法
  憲法25条の生存権、権利条約は、同年齢の市民と同じ権利を差別なく保障
  → 自立支援法は、障害を、本人が「所有」するものとみなす「自己責任」の立場で、生きていくための必要最低限のサービスも「益」とする憲法と権利条約に真っ向から違反
・「構造改革」にもとづく制度の破綻
介護保険への障害者福祉の統合という路線/応益負担、報酬の日払い制、程度区分と、同じ構造
 ~ 当初、政党として、この「統合」に反対を表明していたのは日本共産党だけ
  → 市長会、町村会が「統合反対」するなか、自民、公明も「統合は前提としない」(与党「報告書」07.12)
  民主党 「統合」を積極的に主張していたが、「現行法のもとでは反対」(障害者団体への回答08.6)
   ⇒「統合」の路線は頓挫。与党から見ても、自立支援法に固執する根拠はなくなった

(3)日本共産党の政策提案の特徴
①法の廃止と具体的課題の解決策を提起
 3年連続の系統的な実態調査にもとづくもの 
177事業所、利用者数5996人。県、政令市、中核市、県庁所在地など66自治体、71㌫が回答
②「総合的な障害者福祉法」とは
1.憲法と権利条約の趣旨にそって、障害者の人権を保障する福祉法案
2.制度の谷間にある難病、発達障害、高次脳機能障害などすべての障害を対象に。「障害者の定義」の拡充
・新法制定 あわせて重視すべきこと 福祉基盤の整備、年金などの所得保障
  ~ 基盤整備は自治体の責任とされているが、地方財源削減のもと、格差が拡大
③支援法の問題点を具体的に解決する ~ 自治体に関係の深い3つの課題
 1 応益負担の廃止
   利用者の平均月負担額 1500円以下が半数「実態調査より」は運動の成果だが、
              事業者からの回答の7割が「応益負担の撤回」
   → 給食代の負担が加わり、工賃収入のほとんどが消える、利用料滞納者がいるが5割(実態調査)
 *当面、非課税世帯などの低所得者は無料、給食代の補助などを
2 事業所にたいする報酬を引上げる
97㌫の事業所が減収(実態調査より) ~ 介護報酬3㌫、障害者支援の報酬5.1㌫は運動の成果
 ~ 報酬アップ、「月払い制」の実現とともに、自治体の緊急の支援策を
3地域生活支援事業へ国の財政保障を
国の補助金(400億円 08年度)が実態に比べ低すぎ
自治体の事業費の4割(国の予算の2分の1以下で補助)(実態調査)、自治体の7割「不十分」と回答
   例)移動支援事業 利用制限が「ある」 自治体の6割、通学・通勤の利用不可が圧倒的
      ~ 国は「通学、通勤は自治体の判断でてきる」(厚労省自立支援室)としているが、国が財政保障をしてないことが最大の問題
*「障害者を締め出す社会は、弱くもろい社会」(国連・国際障害者行動計画)

2. 地域で暮らす障害者・家族の実態と緊急課題 NPOあいち障害者センター 上田孝
 応益負担による「生き苦しさ」、
急速な景気悪化の中、障害者の解雇、生徒の内定取消し、作業所の仕事激減で「就労による自立」が破綻

(1)暮らしの支えてがいない
  「ヘルパーが確保できない」「必要なサービスが受けられない」という声ひろがり
・家族にかかる大きな負担
家族介護依存が変わらず 在宅障害者667万人。訪問系サービス利用者10万1238人(08.6 厚労省)
  ~ 利用は、1.5㌫ 「家に閉じ込められそう」(全国肢障協アンケート)の不安の声
 → その最大の原因は、ヘルパー・職員の人材不足
 厚労省「08年障害福祉サービス等経営実態調査」 非常勤の賃金115~200万
  また、待機時間、移動時間が時給に反映されない。ホームでは夜勤ではなく宿直あつかい
・緊急時に利用できる場がない
暮らしの場の不足、とくに障害が重い人に対応する「ケアホーム」の不足
ショートスティの不足 何ヶ月前から予約で一杯。緊急時に対応できない

(2)「小遣いは1万円以下」、利用料以外の大きい負担
 批判の声におされ、政府は、07年「特別対策」、08年「緊急措置」で低所得者の利用料を大幅引き下げ
・給食費の食材費、光水熱費、家賃など、実費負担が大きな課題
例)ケアホーム 家賃・食費5.6万、作業所の食費5600円、国保料1000円~ 二級の障害年金6.6万円では、3900円しか残らない。工賃の1万をプラスしても、季節の衣類や日用品が買えるかどうか
  ~ 障害であるがゆえの費用—ガソリン代、オムツ代、送迎費用など1~3万の負担(障全協の調査)
    施設の後援会費、保護者会費や契約時に協力金を求められるなどの問題も…
  → 厚労省は「検討していくべき」と先延ばし

(3)不透明さを拡大した区分認定・支給決定
 ~ 住む地方によって、区分認定や財政力でサービス内容に格差
・区分認定の問題点
認定は、調査員の「力量」によって左右される。
 ~コンピュータの一次判定が、二次判定で上位区分へ 知的49㌫、精神59.1㌫(厚労省11.12資料)
しかし、二次判定の委員の中心に、障害を理解する医師が少ない 
 → 調査員、家族、審査会の医師などの力量で、結果が左右される
・自治体ごとに異なる支給決定
区分による支給量の算定基準は自治体によって異なる
 「市町村があらかじめ支給量の基準をきめておくべことが妥当」06.7 厚労省・障害福祉課事務連絡と、市町村ごとに基準をもとけることを指示した結果
  例)重度訪問介護・区分6、介護者ありの支給基準時間 国庫補助29590単位(約128時間)
     名古屋市 月279.5時間、富山市 180時間、大阪市 153時間

(4)地域間格差の広がる地域生活支援事業
 5事業~ 相談支援、コミュニケーション支援、日常生活用具の支給など、移動支援、地域活動支援
・移動支援の利用時間制限
例)名古屋 18歳以上 余暇利用36時間、中高生24時間、小学生12時間
  ~ 休日の外出や、学校の長期休暇に対応できない。
    障害児 母親が移動のコーディネイト 
 ガイドヘルパーの不足 移動支援が市町村事業に 06.10 報酬単価が半額以下の2千円に
 ~ 義務教育すら保障できない事態に  母親が病気になったAさんの場合 通学できず
    事業所・ヘルパーがいない、通学のための利用時間が短い、帰宅時の移動開始時間が固定、片道分は事業所が負担せざるを得ない 
・利用にできる時間に大きな差 ―― 移動支援
   区分、障害内容・障害種別によって、また自治体によって差
   厚労省「人口規模、公共交通機関など実状に応じ・・・柔軟な形態での事業実施が可能」と自治体まかせ
・相談支援事業の委託 ~ 行政の実態把握が後退、また相談したくてもできない事態に。
相談事業の58%は、事業者に委託 
 地域生活支援センター(社福法人に委託)に区分調査を委託~ 区分に関わる相談をすべきセンターが、調査を行っているため、相談ができない事態(名古屋)。また、地域生活支援センターは、地域活動センターと一体的に運営されているため、活動センターでの処遇に関する相談ができない、という事態に。

(5)不況対策を最優先し障害者施策の充実を
当面の緊急要求
・4月からの障害者区分の更新は、当面、従前の区分を継続し、調査・認定作業を行う
・移動支援における支給時間・利用範囲の制限をなくす
・基礎年金・手当てを引上げる

3. 施設 「応益負担」が根幹では支えられない さつき障害者作業所施設長 木津ひとみ
 ・滞納者の増  特別対策、緊急措置で、食事提供加算(9割以上が利用 なくなれば月6千が1.3万に)
(1)支える担い手がいなくなる
(2)事業体系の実態
・ 日中活動の6事業のいずれかの体系に移行(~2011末) 現在28㌫しか移行してない
「二分法」の問題~ 働ける場合は「訓練」、困難な場合は「介護」と「訓練か介護か」「雇用か福祉か」
  ~ 働く支援と福祉的な支援が個人の状況に応じて、適切に提供される仕組みが必要
・地域活動支援センター(小規模作業所の主要な移行先)
 ~ 国の財政責任があいまいな裁量的経費による市町村事業。移行しても補助金に変化ないところが多い
・個別給付事業への移行は、20人の最低定員が必要 移行の足かせ
・成果主義 一般就労の目標や目標工賃の達成で報酬加算、または減額 ~ 利用者の選択、排除の危険
・難病など法の「谷間」、不十分な対象設定

4.自治体でのとりくみの経験
◆川崎市 利用料軽減、事業者加算 
 食費 ~ 一食400円以下にする、事業者に、通所で250円、入所で550円を補助
◆ 滋賀・東近江市 通所施設の利用料ゼロプランを実現   人口11万、
   通所施設 利用料負担を一般世帯も含めて無料 09年3月までの2年間 /4月以降はまた検討
     該当条件は、予貯金が500万円以下のみ。食費は実費負担
       07年 167人・778万 08年 228人・1156万円 /国の緊急対策で、市負担は600万に
 ~ 市内の平均工賃 5千~1万円 一割負担と食費で平均工賃を上回ることから、通所をやめたり、自宅に引きこもることが発生。→ そんで利用料を無料に。事業者も通所率が増えて、収入増に。

« 生活の多重困難に総合支援 千葉県 | Main | 二次補正と同和随契 »

社会保障」カテゴリの記事

備忘録」カテゴリの記事

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 障害者「自立」支援法 新たな制度を 備忘録 :

« 生活の多重困難に総合支援 千葉県 | Main | 二次補正と同和随契 »

September 2024
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ