呼びつけ外交、片思い外交 日米首脳会談
呼びつけられ、政府専用機ではるばる10時間以上もかけてワシントンに行き、わずか1時間の会談、ランチすらご馳走にならず、金融危機やアフガニスタンへの支援(カネ)を約束させられたるという惨め、屈辱的なもので、それが、今回の日米首脳会談の「成果」なのだ。
元ニューヨークタイムズの記者で、ジャーナリストの上杉隆氏が書いている。
相も変わらぬ「片思い外交」 日米首脳会談に“成果”はあったのか ダイヤモンド2/26
上杉氏は、この間、「 「『朝貢外交』以外の何ものでもない。首脳会談などという立派なものではなく、単に呼びつけられただけ。オバマ政権の魂胆は、レームダックになっている日本の現政権から搾り取れるだけ、絞り取ってやろうというものだ。おそらく、金融支援やアフガン支援を求められ、追い返されるのが関の山だろう。新聞やテレビ、そして外交評論家は、日米同盟の絆を確認するための重要な首脳会談だ、と位置づけているようだが、私はそうした意見にまったく与しない。単に、いつものように日本の『片思い』外交に終わるだろう」と繰り返し指摘してきたというが、その通りになったとうことだろう。
また、メディアが「ホワイトハウスに招かれた初めての外国の首脳」と喧伝していることについて、「新しい米政権にとって、首脳会談は麻生首相が初めてではない。すでに先週、オバマ大統領は、カナダのハーバー首相との会談を終えている。しかも、その会談のために、オバマ大統領がカナダを訪問している。」「オバマ政権にとっての日本が、真に最重要国であるならば、なぜ自ら訪日しないのだろうか。」と「呼びつけ外交」の指摘をし、
「政府も、外務省も、記者クラブメディアも、いい加減に目を覚ましたらどうか。『片想い』を続けるのは勝手だが、正しい情報を知らされずに、結果、いつも損害を被るのは国民の側なのだ」と事実を見ようとしない姿勢を批判し、「日本外交の思考停止した「片思い外交」や「片思い報道」から脱却できる日は果たして来るのだろうか」 と結んでいる。
異常な大企業優先、アメリカいいなりという「二つの政治悪」をただすことを、私たちは一貫して目標にしてきたが、市場原理主義とイラク戦争の破綻というもとで、「アメリカいいなり」の「異常さ」を、きちんと指摘する声が広がっていることの現われであろう。。
首脳会議について、市田書記局長は、記者会見で
「麻生首相とオバマ大統領は、二十四日、ワシントンでおこなわれた日米首脳会談で、世界的な経済危機、安全保障、気候変動など地球規模の課題に対処するため、日米同盟をさらに強化し、“より重層的な同盟関係”を構築することで合意しました。
このなかで、両国で交わした『ロードマップ』に基づいて、『米軍再編を着実に実行する』ことを確認しましたが、沖縄の新基地建設などの『米軍再編』は、地球規模の米国の軍事戦略に日本を組み込むとともに、日本国民に耐え難い基地強化・恒久化、税負担を求めるものであり、強く反対します。
また、両首脳は、オバマ政権が三月末までにまとめるアフガン戦略の見直し作業に日本政府も参加することで合意しました。オバマ政権はすでにアフガニスタンへの米軍の増派を発表しており、軍事力強化によるアメリカのアフガン戦略に日本がいっそう深く協力することになれば、アフガニスタンの復興と安定に逆行することになると警告しないわけにはいきません。」
と指摘している。
オバマ大統領が米軍を増派しようとするアフガニスタンの情勢について、ペシャワール会の中村哲さんが、参考人質疑で以下のように発言している。
中村哲さんの参考人質疑 2008年11月5日 参議院外交防衛委員会
「各地域でばらばらにそういった自発的な抵抗運動が行われておる。それだけ根が深いわけでありまして、恐らく二千万人のパシュトゥン民族、農民を抹殺しない限り戦争は終わらないだろうというのは、これは私ではなくて、地元の人々、これは地元のカルザイ政権も含めた人々たちの意見でありまして、しかも、武装勢力といっても、アフガン農村について日本で知っている人は少ないと思われますけれども、兵農未分化、すなわち侍と百姓が未分化な社会でありまして、すべてのアフガンの農村は武装勢力と言えないことはない。
その中で混乱状態が何を引き起こすかというのは御想像に任せたいと思います。
しかも、アフガン農村では復讐というのは絶対のおきてであります。ちょうど赤穂浪士のようなものなんですね。
私たちはニュースの上で、アメリカ兵が今年は何名殺された、カナダ兵が何名殺されたということはニュースになりますけれども、その背後には、一人の外国兵の死亡に対して、何でもない普通の人が死ぬアフガン人の犠牲というのはその百倍と考えていい。すなわち、外国人の戦死、あるいは犠牲者の百倍の人々が、日々、自爆要員、いわゆるテロリストとして拡大再生産されていく状態にあるということは是非伝えるべきだと私は思います。」
「ところが、最近に至りまして、米国の軍事活動に協力しているということがだんだん知れ渡ってくるにつれて、私たちも身辺に危険を感じるようになりました。やはり、あの最も親しいと思っていた日本が同胞を殺すのかと思えばこれは面白くないわけでありまして、これは日々日本に対する感情は悪くなっているということははっきり言ってもいいんじゃないかと思います。かつては、我々、外国人、欧米人と間違えられないために日の丸を付けておれば、まず山の中のどこに行っても安全だった。ところが、今その日の丸を消さざるを得ないという状況に立ち入っているというのが現実であります。」と語っている。
「自衛隊派遣によって治安はかえって悪化するということは断言したいと思います。これは、米軍、NATO軍も治安改善ということを標榜いたしましてこの六年間活動を続けた結末が今だと。これ以上日本が、軍服を着た自衛隊が中に入っていくと、これは日本国民にとってためにならないことが起こるであろうというのは、私は予言者ではありませんけれども断言いたします。敵意が日本に向いて、復興、せっかくのJICAの人々がこれだけ危険な中で活動していることがかえって駄目になっていくということは言えると思います。」
軍事介入への協力は、何一ついいことがない。
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