保育改悪 24日に厚労省部会が報告決定?!
保育を「福祉」から金設けのための「サービス業」に転換させる~厚労省は24日の少子化対策特別部会で、この大改悪をすすめる第一次報告を最終決定しようとしているが、経済誌でも警告がならされている。
補助金不正受給や突然の廃園…保育園で不祥事多発、企業参入は大丈夫か 東洋経済09/1/23
「新たな保育の仕組み」案は、市町村が保育を住民に保障する仕組み(現物給付)から、保育サービスを市場で買うための補助金を利用者に配る仕組み(現金給付)に転換するもので、親は自分で保育所を探し、直接契約を結ぶこととなる。都道府県の認可がなくても一定の基準を満たす事業者は参入を認められる。
というものだが、
東洋経済の記事は「最近の不正の続発は、保育という福祉事業を、営利目的の株式会社に委ねることのリスクの高さを浮き彫りにしている」
「厚労省は株式会社の保育事業への全面的な参入を含む『新たな保育メカニズム』の導入を提起。制度化を進めようとしている。そして、そこに盛り込まれた仕組みの多くは、保育園と利用者との直接契約をはじめとして、都の認証保育制度と似通っている。
保育制度の改革に際しては、認証保育園の混乱を教訓にすべきだ。混乱の最大の犠牲者は、物言えぬ子どもだからである。」と警告を発している。
保育所不足を言うなら、家族関連の社会的支出が先進国で最低レベルという状況の改善が先決ではないか。
(GDP比 日本0.75% スウェーデン3.54、フランス3.02、イギリス2.93)
また、子どもの貧困が社会問題となりつつある今、0―5歳の貧困が、他の年齢期よりも最も影響があるとして、アメリカで実施されている教育を中心といる包括的な福祉プログラム「ヘッドスタート」の日本版として、保育所の「機能を認識し、サービス業務として理解するのではなく、公的に行う福祉行政の一貫として認識しなおすべき」ではないか。
OECD編「人生のはじまりを力強く」でも、親の経済や就労状況で格差をうまない対策として、0~2歳児の保育料無料化を課題として提示している。
派遣切り、「郵政民営化」の施設売却問題、障害者自立「阻害」法、介護難民 … 規制緩和、「官から民」という「構造改革」が、貧困と格差の拡大をもたらし、その破綻が明らかになった今、まったく時代錯誤である。
【補助金不正受給や突然の廃園…保育園で不祥事多発、企業参入は大丈夫か 東洋経済09/1/23】
「ゼロ歳児保育など、大都市特有のニーズに応える」「東京から保育を変える」などの触れ込みで2001年度にスタートした東京都独自の認証保育制度――。保育分野への企業参入の呼び水となった同制度が、相次ぐ不正行為によって信頼を大きく損なう結果を招いている。
東京都内の認証保育園では、08年3月に「日本保育支援協会」(三谷忠士社長)が運営していた「じゃんぐる保育園」(荒川区)が、実在しない職員を記載した名簿に基づいて開設準備経費や運営費補助金(約3800万円)を受け取ったことが発覚し、認証取り消し処分を受けた。
同12月には、小田急電鉄系列の「小田急ライフアソシエ」(土屋忠之社長)が運営する「小田急ムック成城園」(世田谷区)でも、運営費補助金の不正受給が発覚。同じ駅ビル内での複合事業である一時預かり、子育て相談業務での不正受給も判明し、同社は3事業に関して総額約3000万円の補助金返還命令を都や世田谷区から受けた。
一方、同10月末には、都内や埼玉県、神奈川県で保育園や学童保育など約30カ所の児童施設を運営していた「エムケイグループ」(初見雅人社長)が、突如、全園を閉園。大混乱を引き起こした。同社は中野区で認証園「ハッピースマイル東中野駅前園」を9月1日に開設したが、わずか2カ月で閉園。父母にその知らせがあったのは、閉園当日の10月31日で、中野区や都には連絡すらなかったというから驚きだ。◆企業参入へ規制を緩和
共働きの両親を持つ幼児にとって、保育園は一日の多くの時間を過ごす大切な場所である。子どもの健やかな成長を目的とした保育園は「第2の家庭」ともいわれ、児童福祉法第24条では、市町村に保育実施義務を課している。そして同法の趣旨を実現するために、国が認可制度を創設し、わが国の保育は認可保育園を軸に、公立保育園または社会福祉法人を中心とした民間の非営利事業者によって担われてきた。
その認可制度を「時代遅れ」「コスト高」と見なし、独自の制度を打ち出したのが東京都だった。石原慎太郎知事の就任から2年後の01年度に、都は園と利用者の直接契約方式、保育料の自由設定方式(上限の範囲内での保育料自由設定)を盛り込んだ独自の認証保育制度をスタートさせた。
当時、都の担当幹部は、認可園の多くが保育時間の延長に後ろ向きで、ゼロ歳児などの低年齢保育にも消極的と指摘。「莫大な公費を投入していながら、利用者の多様なニーズに柔軟に対応できていない」と厳しく批判した。そして「東京発・福祉改革」の目玉として打ち出されたのが、認証保育制度だった。
08年4月1日時点で、企業を主な事業者とした「認証保育園A型」は321カ所に達し、そのうち株式会社による運営が225カ所、有限会社による運営が38カ所となっている。そしてゼロ歳児など低年齢児を中心に約1万2700人(08年4月)が認証保育園で保育されている。都内の認可保育園で保育を受けている児童数約16万人と比べると少ないが、ここ数年、認証保育園の受け入れ児童数は急増している。
認証保育園に関しては、都が04年7月に実施した「利用者満足度」の調査を見てもさまざまな意見があることがわかる。「保育士の対応」や「保育園の雰囲気」「利用しやすい場所にあること」などで50%以上の利用者が「特に満足」を感じている反面、「園庭がない」「保育料(が高い)」ことなどで、半数以上が「不満」と回答している。
認証保育園は、開設コストや運営コストを低く抑えるために、(1)園庭は不要、(2)有資格者は職員定数の6割以上であれば可、(3)施設基準(乳児室、ほふく室)は2・5平方メートルまで弾力化(認可保育園は3・3平方メートル)などの規制緩和がなされている。一方、国からの支援がなく、1園当たりの財政補助が認可園と比べて少ないことから、保育料は割高だ(3歳未満児で月8万円が上限)。
ただ、共働き夫婦の増加などから都内では保育園に入園が必要な児童が年々増加。自治体が財源難などを理由に認可保育園の新設に消極的な姿勢を強める中で、認可園に入れない低年齢の子どもの受け皿を認証保育園が果たしてきたのは紛れもない事実だ。そして株式会社など企業を呼び込むために、経費融通の仕組みを柔軟にし、配当財源を確保しやすいようにしたことも、認証保育園の急増を後押しした。◆不正を発見できない行政
しかし、最近の不正の続発は、保育という福祉事業を、営利目的の株式会社に委ねることのリスクの高さを浮き彫りにしている。全園を突然閉園したエムケイグループは、通信機器およびOA機器の販売のために1996年に設立。保育事業への参入は03年からだが、経営破綻の直前の昨年8月、埼玉県内の5施設の営業権と3施設の業務委託料や補助金を担保に多額の借金をしていた事実が共産党の調査で判明。中野区の認証保育園の開園はその翌月だった。また、埼玉県内の系列園では、昨年4月から給与の遅配も発生していたが、都は認証審査の段階でそれらの事実を把握していなかった。さらに中野区の同園では、給与が遅配のまま、保育職員が解雇される事態になった。
小田急ムック成城園の開園に際しても、都は不正を見逃した。小田急ライフアソシエは、有資格で経験のある保育士をそろえることができず、未経験や保育士資格のないパート職員で代替。その事実を隠して、他園の職員が勤務しているかに装い、補助金を不正に受給した。
「売り手市場で保育士の採用が困難だった。コンプライアンス意識が欠如していた」(水上秀博・取締役総務部長)などと同社は弁明するが、悪質性はなかったのか。当時在籍していた保育士らによる再三にわたる職場改善の要請に対し、「雇われているのに生意気だ」「嫌なら辞めてもらってもいい」などと幹部社員が暴言を吐き、開設からわずか1年で十数人もの職員が辞めていったと元保育士は証言している。
認証保育園をめぐる不祥事が見過ごせないのは、現在、厚生労働省が「新待機児童ゼロ作戦」と銘打ち、保育園受け入れ児童数を今後100万人増やす構想を打ち出していることにもある。急ピッチでの受け入れ増を実現するために、厚労省は株式会社の保育事業への全面的な参入を含む「新たな保育メカニズム」の導入を提起。制度化を進めようとしている。そして、そこに盛り込まれた仕組みの多くは、保育園と利用者との直接契約をはじめとして、都の認証保育制度と似通っている。
保育制度の改革に際しては、認証保育園の混乱を教訓にすべきだ。混乱の最大の犠牲者は、物言えぬ子どもだからである。
(岡田広行 =週刊東洋経済)
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